fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『さよなら、ぼくのひみつ』(井嶋敦子他)-国土社

2014年02月26日 | 本の紹介

                                   さよなら、ぼくのひみつ  中学年~

 2冊シリーズの2作目。秋田市の小児科医井嶋敦子さんの最新作「いちご肌のふたり」が載っています。子どもたちを取り巻く生きにくい状況の中、問題を真正面から捉えた作品を集め、すばらしい一冊になっています。

「いちご肌のふたり」は、アトピー性皮膚炎に悩んでいる子どもの話。アトピーという言葉がギリシャ語で「不思議な」とか「奇妙な」という意味だと、この物語で初めて知りました。オレンジではないいちごの肌なのだから、ゴシゴシこすってはいけない。その視点の優しさは、さすがたくさんの子どもたちを日々診察してらっしゃる敦子さんならではです。

「季節風」の仲間である、あだちわかなさんの「作ろう! 安全マップ」も収録。あだちさんは、図書館司書をしてらっしゃいます。図書館でふざけて怪我をしてしまった子が、そこから学校マップを作ろうと意欲的、自発的に動く様子が生き生きと描かれています。怪我をしたことで、学ぶということもあり、危ないことを全て排除するのがいいというのではなく、自分で気づいていくという過程が大事。(私も子どものとき、木のぼりをしていて手を掛けた枝が腐っていて、落ちて骨折したことがありましたっけ。椿という低い木だったのに……)

表題の「さよなら、ぼくのひみつ」は、児童虐待を扱った、胸の痛くなる作品でした。子どもたちが、これらの作品を読んで、身の回りを違った目で見ることができますように、たくさんの子どもたちがこの本を読んでくれることを願います。