梅さんのかわら版.umelog

笛吹川フルーツ公園の紅葉

プレバト俳句~セリフをガチンコで取り合わせる勇気

2021-07-16 10:28:49 | プレバト俳句


題:夏野菜カレー
1位才能アリ 村上(マヂカルラブリー) カレーにトマト浮かぶ夏昼の鮮やかよ  
 添削 カレーにトマト浮かべて夏昼の鮮やか
2位凡人 小島瑠璃子 お昼よ!で駆ける夏の日カレーの香り
 添削 お昼よ!の声と真夏のカレーの香
3位凡人 研ナオコ 夕立にかまどに向かう母こいし
 添削 夕立の匂うかまどよ母恋し

4級で現状維持 ◆馬場典子
  成田の溽暑ただいまとカレー蕎麦
 添削 カレー蕎麦にただいま溽暑なる成田

永世名人28句目に掲載決定 ◆東国原英夫
  玉葱やこの人結局死んじゃうの

永世名人35句目に掲載決定 ◆梅沢富美男
  玉葱を刻む光の微塵まで

東国原英夫が永世名人になったことで、俄然面白くなってきた
名人二人が句集に掲載する句を競ているからだ

夏カレーではなく夏野菜カレーという題からすると、
1位のカレーにトマト浮かべて…が野菜が鮮やか!!とっても良い

さて、永世名人二人が、偶然にも玉ねぎの句となった
今回は、東国原の句について書いて見よう
 「玉葱やこの人結局死んじゃうの」
夏井先生の講評は、誰かのセリフをガチンコで取り合わせる勇気
と言っているが、説明を聞かないと理解出来ない句だ

上級になってくると、このよう句に出会うことがある
 「おおかみに螢が一つついていた」 金子兜太
金子兜太先生がご自身の句が出来上がるまでの経過を、
エッセイに書いているので、これで勉強してみよう
少し長くなるが、後半部分を全部掲載する

兜太のエッセー「おおかみに螢が一つついていた」  金子兜太 2017/5/11
秩父に両神山という、台状のいい山があるんですよ。秩父出身の詩人の金子直一という人がいたんですが、
その人が、両神山は「オオカミ山」から来ているんじゃないかと詩に書いていて、
俺はそれに感動を受けて、もとはオオカミがたくさんいたのでオオカミ山と言ったんだけど、
オオカミが全滅させられて名前だけ残ったと、そういうふうに取っていたわけです。
そこから、今の句ができた。

一匹の「おおかみ」が残っていて、孤独を託(かこ)って、夜ノコノコ歩いていると。
ふと見たら、その背中に蛍がパッパツと瞬いていたという。
孤独な「おおかみ」。孤独な秩父。

そんなふうな言葉が盛んに出てきた。それでできた句なんです。
秩父の土壌から離れて熊谷のようなところに住んで、秩父を思っているということの中には、
ある意味、俺にも、オオカミ的孤独というようなものがあるのかなと思うことが、ずいぶんあります。
今でもときどき、そう思いますね。そんなことで、あの句は非常に懐かしい。
私の郷里の皆野町に椋(むく)神社というのがありまして、町の人がそこに私の句碑を作ってくれまして、
その句が刻んで境内にあります。(前半部分省略) いま、兜太は)から 岩波書店

金子 兜太1919年9月23日-2018年2月20日死去、 俳人。埼玉県生れ。東大経済学部卒。