私は、どれほどの人の肩を
揉んできただろうか。
おはようございます。
以前、10年ほど、整体師をしていた。
とういっても、へっぽこ整体師だった。
肩が凝るといっても、原因は様々だし、症状も様々だ。
その原因を究明し、理論立てて改善に繋がる施術をするのが、
整体師という仕事だ。
ならば、私は、どちらかというと、祈祷師だった。
いや、応援団長だったろうか。
ひたすらお客様の肩を揉みながら、心の中で、
「ばーんばれ!がーんばれ!」って応援してたっけ。
「痛いの、痛いの、飛んでけ~」とも叫んだっけ。
「痛いの、こっちさ来ーい」とも祈ったなぁ。
そんな暇があるんなら、もっと勉強すればいいのにさ。
ところで、最近、皆さんは肩が凝りませんか?
季節替わりのこんな時期は、
肩の凝りも感じやすいようですね。
かくいう私も、肩凝りなのだ。
滅多に人に揉んでもらう事のない私だが、
さすがに、我が家のおじさんに頼んでみた。
私の経歴を知っているからか、
おじさんの気合はハンパなかった。
死ぬかと思った。
「おじさん、ちょっと肩を揉んでもらえませんか?」
こんな感じで、微笑ましく始まったが・・・
おじさんは、ノッてきた模様で、力いっぱい揉んでくる中、
私は黙って耐えた。
そして、ついに、おじさんお得意の
「首揉みという名の首絞め」が始まった。
酸欠で、死ぬかと思った。
本当は、「もっと、こんな感じで揉んで」と言いたい。
指図したい。
でも、私はこの体を、おじさんに委ねて黙っていた。
それには、理由がある。
おじさんは、プロの料理人なのに、私の料理に一切の文句を言わない。
私の料理が、ぐうの音も出ない程の腕前だからではない。
おじさんは、我慢して食ってんだ。毎日。
昨夜だって、「ハンバーグだよ~」と言って出てきた物は、
明らかに、何かが違っていた。
まず、色がハンバーグじゃない。
ちょっと白っぽい訳だ。
一口食べた、おじさんは言った。
「これは・・・鶏ミンチですね。
鶏のつくねですね。味付け無しのつくねですね。」
合いびきミンチと間違えて買って来た、鶏ミンチ。
味付けという概念を、一切、取り払った、つくね。
文句ひとつ言わず、
照り焼き風にしましょうと、台所に立つおじさんに、
私は、声を出して、応援したのだった。
「がーんばれ、がーんばれ」ってね。
そんな私が、肩の揉み方を指図できるはずもなく、
息も絶え絶えに、なんとかギリギリのところで、
「あ・・・ありが・・・とう。もうだいじょ・・・ぶ」と伝えた。
そして今、私は、
揉み返し、はんぱねーです!
うんこさん?
大丈夫か?
揉み返しか?
頑張って~!
おたまー!
生きてるか?
せめて、眼、閉じて!
頑張って、お願い!!