今日は、あやの日。
おはようございます。
七夕の翌日は、あやの日だ。
10年前の7月8日、
私は川岸にへばり付いている子猫を拾い上げた。
震える子猫を抱いて、
「うわ~、どうしよう?」と空を仰いだら、太陽がまぶしかった。
ちょうど、今日みたいな空だった。
まるで、あやの頭の中みたいに晴天だ。
我が家のおじさんにとっては、
生まれて初めて子猫を抱いた日でもある。
「子猫って、こんなに可愛いんですか?!」
と、もはや泣きそうな顔であやを抱く男に、私はきっぱり言った。
「あのね、この子はそこまで可愛い子猫じゃないよ。
可愛い子猫の破壊力は、こんなもんじゃないから!」と。
この言葉は、まるで予言だった。
実際、その2年後、おたまを拾って、それを証明した。
その1年後、正統派可愛い3匹を拾った時、
私はおじさんに披露する前に、
「いい?まず気を確かに持ってよ。
あり得ないぐらい可愛いのが来ちゃったからね。まず、心臓を叩け!」
と伝えてから3匹を見せたが、おじさんは秒速で壊れた。
あり得ない可愛さを前に、人は酸欠になるものなのだ。
あやを拾った当時、この部屋には4匹のメス猫が暮らしていた。
とっくにキャパオーバーだった。
さらに私は、その数年前に患った、くも膜下出血の後遺症で苦しんでもいた。
だけど、私はあやを誰かに貰ってもらおうとは、最初から考えていなかった。
見た目が、そんなに可愛くない子猫だったから。
酷い話だが、本当にそういう理由で、あやをここへ残した。
その代わりに、私は
「あやは、私の集大成だ。大いに可愛がって育てるぞ」
と張り切った。
私の脳内は、いつ脳卒中が再発してもおかしくない状態だった。
主治医は
「あなたの脳は、まるで爆弾みたい。
何万人の脳内を見て来たけれど、こんな細い血管は初めて見た。
いつ、どこで切れても、おかしくない。
むしろ、今まで無事だったのが不思議だとさえ思えてしまう。」
と言い、
「だから、思うように生きなさい。
怖がらず、生きている限り、思うように生きて下さい。」
と励ました。
私は思った。
そんなこと言われたら、怖いわ!
でもだから、私にとって、あやは集大成だったのだ。
あやが、私にとって最後の猫になると思ったからだ。
あや、10年だね。
私は、生きてるよ。
けっこう、楽しく生きてる。
あやのおかげだ。
あやと見送った4匹のメス猫達のおかげだ。
あやが仕切っている3バカ兄弟のおかげかは分からないが、
あや、私は貴女のことも、最後まで見送るよ。
だから、それまで、大いに遊ぼう。
あや「こいつとも遊びましょうよ」
どうやって?
あや「せいや!って、やってやるわ!」
やめてあげて~
あや「おばちゃん、こいつはもっと、簡単よ」
あや「シャー!」
あや「はい、一丁上がり~」
かわいそーーーー
あや「のんちゃんはいいのぉ。コロンちゃんしましょうね~。」
えこひいきが凄い!
あや「さっ、洗濯物畳みの邪魔、続行よ~」
退いて~お願い退いて~。
あや、貴女は本当に、楽しい猫だ。
あや「見た目が可愛くないタイプとか、言わないでよ~」
可愛い、可愛い。
オスのカンガルーみたいで、可愛いよ。
私は、あなた達と生きる。
必ず。