新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

何とか低い山を越えて

2016-03-30 07:49:11 | コラム
W杯サッカー二次予選でシリアに勝って最終予選に:

我が方はFIFAのランクは56位で、良くサッカーなどやっている余裕があったなと感心するシリアは123位。ランクだけではないかの国の内外に存在する条件をも考えれば、勝って当然の相手。アウエーでは3点取ってあった。昨夜は外出から戻って試合開始12~13分辺りから観戦。恐らくあの監督でもこの試合にはまともな者を使うだろうと思っていたから、勝敗の帰趨には閃くものはなかった。出ていた顔ぶれには不満はなかった。特にGKに折角呼んだ川島を使っていなかったのが気に入った。

この試合の前にはFIFAが150位台の評価を得ていたアフガニスタンに、いくら格落ちの二軍級を使ったとしても前半43分まで点が取れなかった醜態を演じた上で、5点も取れたのだから、一線級を並べた以上格下には少なくとも6点以上は取るかなと薄い希望を持って観戦していた。昨夜は前半の17分に香川がパスなのかシュートなのか判断出来なかった中途半端な左サイドからの折り返しが運良くオウンゴールとなって早めに点が取れたまでは良かった。

だがそれから後か何とも様にならなかった。アナウンサーが「惜しい」と喚くシュートなど何本蹴っても何にもならない。ボクシングとは違うのだから、ジャッジによる判定勝利などないのだから。彼ら、特に酒井高徳などは点を取るべきポジションの者ではないにしても、あれだけのフリーな立場を与えられて外してしまう技術には呆れる他なかった。丁度観戦前にフットボール出身の愚息が「我が代表のシュートの下手さ加減に呆れる」と言っていた通りになったのが前半の1:0の結果だった。

誰かが外す度に、ハリルホジッチ監督が大げさな身振り手振りで嘆いて見せていたが、その気持ちも分かるし、余りの情けなさに腹を立てるのすら忘れて見ていた。シリアは必ずしも引き気味に守っていた訳ではなかったので、フリーになった場面が多かったが本田も岡崎も香川も外し続けていたのは納得出来なかった。先頃NHK御用達の解説者・山本昌邦が何処だったかの弱敵に勝った後で「こんな低い山を越えただけでは何にもならない。最終予選や本番に行けばもっと鋭い強敵が待っているのだ」と言ってのけて「良いことを言う」と愚息と評価したものだった。

その山本も前回のアフガニスタン戦の解説を務めた時には、スタジオを早野とともに言わば「おべんちゃら解説」で、シュートを外しまくった金崎を「意欲的で評価出来る」と褒めちぎる有様で名実ともに御用解説者に成り上がって、言うなれば”job security”を揺るぎなきものにしたようだ。昨夜の福西も嘗ては往年の慶応の主将を務め80歳を超えた今でも本気でサッカーをやっているS君が褒めた解説振りから、昨夜は立派に御用解説者に昇格していたのは大いに遺憾だった。

「御用解説者」で何を言いたいかを此処で詳細に述べる必要はないだろうし、kazkさんにもご納得頂けると思う。私がウンザリだったのはあの監督は弱敵相手にあれだけ不正確なシュートを連発した金崎をまたぞろ昨夜使ったことだった。それに替えるに事欠いてあの顔ぶれの中で数少ない進歩し続けている岡崎を代わりに出したのだ。それだけではない、ちょこまかするだけの清武まで出してしまったし、不運な負傷で交代せざるを得なかった山口の代役が役立たずの原口とはどういう訳だと尋ねたくなる人事だった。

後半に余分につけられた3分の間も含めて4点を取ったのでテレビも新聞も褒めそやすが、私に言わせて貰えば10点取ってもおかしくない試合だった。貶してばかりいたが、GKの西川は良く守っていたと思う。かなり危なっかしい場面をバックス間の無用なパス交換からも出てきたし、シリアはペナルテイーエリア中には入れないこともあって思い切った中距離シュートなどで攻めてきたが、西川のポジション取りが良かったので何とか防ぎ切れたと見た。

香川も本田も岡崎も長谷部も長友もそれなりの力を出していたと言えるが、彼らは矢張りUKやドイツなりイタリアなりにいてこその選手であって、周りが上手いから彼らが持てるものを巧みに引き出して使っているのだ。ところが代表に来れば、彼らの持てるもの以上の力を引き出せる実力者などいる訳がないので、昨夜のように「チャンスの形は出来るのだが・・・・」という煮え切らない試合運びになってしまうのだ。監督さんもお解りだと思うが、それならば何故原口だの金崎だの清武などをお使いになるのか、お伺いしてみたい衝動に駆られる。金崎が岡崎の代わりが務まると思うこと自体が不可解ではないのか。でも、低い山を越えて良かったが、この先には本当に高い山が待っているのだ。

やや余談になるが、相手とヘデイングで競り合った際に顔を打たれて鼻から出血して退場した山口の処理は誠に不適切だった。何度も言ってきたことで、21世紀の今日、負傷者を人力で担架で運ぶのは時代遅れも甚だしい。「アメリカに行けば」などと今更言わない。また、頭を打たれて倒れ込んでいる山口を直ぐに動かした処置も良く解らない。アナウンサーはドクターが行ったようなことを言ったが、救急車が来た様子もなく、テレ朝では沢登の中山も試合終了後のインタビューでニュースがないと言ったのも不可解。局側もちゃんと追跡すべき案件だ。サッカー協会は何時までこんな前時代的なことを続ける気か。