円安が¥120にでもなれば:
久しぶりの絶好の好天の下に、これまた久しぶりに朝9時半に家を出てサングラスなどをかけて、新大久保駅前のバス停に向かった。その頃は未だ天気予報ほどには気温が上昇しておらず快適な気分でバスが来るのを待っていられた。バスの中では空調が効きすぎでジャケットを着用していたのが正解だったほど。
知人とは昼食を挟んで約2時間強も懇談した。主たる話題は勿論景気であり、紙流通業界の動向だった。言うまでもないことで好転している訳もなく、先日のYM氏との懇談と同様で、景気回復は未だ未だ先のことだろうという辺りが、いきなりの結論だった。知人をここではSY氏として置くが、輸出入の専門家である彼が紙輸入の先行きについては、為替が円安に進み¥120にまで達すれば多少は動きが出るかも知れないと言ったほど、弱気なのだった。
YM氏はアメリカの景気のバロメーターとして、私のW社時代からの持論と同様に「住宅着工」と「自動車の売れ行き」を挙げていたが、我々は業界の古くからの言い習わしである「紙類の荷動きが好転するのは、一般経済の立ち直りに遅れること最短でも6ヶ月」は最早通用しない時代に入って久しい。現時点では「何年経てば紙の需要にまで景気回復が及ぶのか不明だ」と改訂すべきだろうとの結論に達した。要するにそれほど良くないと言うこと。
次に語り合ったことが、先頃私が採り上げた「ジェトロの世界貿易投資報告 2016年版」だった。SY氏も今更ながら世界各国の貿易があれほど負の成長を続けているとまでは予想できていなかったので、この有様では輸出入に依存して国内の景気を回復させるなどということはありないと再認識せざるを得なかった」と述懐していた。彼も最早直接実務に携わっていない年齢に達しているが、あの資料のお陰で全世界で過剰設備を抱えているものだと想像できたと語っていた。
未だ未だ悲観的な話が続くが、最近のアメリカの調査機関・RISIの資料によれば、世界の紙・板紙生産量の上位100社にはアメリカが18社、中国が11社、日本が9社、カナダが8社、ブラジルが5社、韓国が5社(以下略)という具合に内需が小さく輸出に活路を求めている新興勢力が圧倒的に多いのだった。これでは全世界で紙・板紙が供給過剰に陥るのは理の当然だろうと、悲観的に意見が一致した。私のあの報告をご覧になった向きは是非思い出してみて頂きたい。
他には、自然に我がW社が紙パルプから完全に撤退したことも大きな話題となったが、これが何も我が社だけのことではなく、アメリカの業界全体を支配している流れであるのはICT化がここまで進んでは如何ともしがたいことだと、矢張り意見は一致したのだった。「この世の中には、これから先には”AI”が更に急速に普及していくことだろうし、スマートフォンなるもので何もかも動かせる時代が進んで行くだろうから、紙の需要などは一層片隅に押し込められるだろう。我々旧世代はその成り行きを見守っているだけか」との結論で、次回を約して解散した。
資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 16年10月17日号
久しぶりの絶好の好天の下に、これまた久しぶりに朝9時半に家を出てサングラスなどをかけて、新大久保駅前のバス停に向かった。その頃は未だ天気予報ほどには気温が上昇しておらず快適な気分でバスが来るのを待っていられた。バスの中では空調が効きすぎでジャケットを着用していたのが正解だったほど。
知人とは昼食を挟んで約2時間強も懇談した。主たる話題は勿論景気であり、紙流通業界の動向だった。言うまでもないことで好転している訳もなく、先日のYM氏との懇談と同様で、景気回復は未だ未だ先のことだろうという辺りが、いきなりの結論だった。知人をここではSY氏として置くが、輸出入の専門家である彼が紙輸入の先行きについては、為替が円安に進み¥120にまで達すれば多少は動きが出るかも知れないと言ったほど、弱気なのだった。
YM氏はアメリカの景気のバロメーターとして、私のW社時代からの持論と同様に「住宅着工」と「自動車の売れ行き」を挙げていたが、我々は業界の古くからの言い習わしである「紙類の荷動きが好転するのは、一般経済の立ち直りに遅れること最短でも6ヶ月」は最早通用しない時代に入って久しい。現時点では「何年経てば紙の需要にまで景気回復が及ぶのか不明だ」と改訂すべきだろうとの結論に達した。要するにそれほど良くないと言うこと。
次に語り合ったことが、先頃私が採り上げた「ジェトロの世界貿易投資報告 2016年版」だった。SY氏も今更ながら世界各国の貿易があれほど負の成長を続けているとまでは予想できていなかったので、この有様では輸出入に依存して国内の景気を回復させるなどということはありないと再認識せざるを得なかった」と述懐していた。彼も最早直接実務に携わっていない年齢に達しているが、あの資料のお陰で全世界で過剰設備を抱えているものだと想像できたと語っていた。
未だ未だ悲観的な話が続くが、最近のアメリカの調査機関・RISIの資料によれば、世界の紙・板紙生産量の上位100社にはアメリカが18社、中国が11社、日本が9社、カナダが8社、ブラジルが5社、韓国が5社(以下略)という具合に内需が小さく輸出に活路を求めている新興勢力が圧倒的に多いのだった。これでは全世界で紙・板紙が供給過剰に陥るのは理の当然だろうと、悲観的に意見が一致した。私のあの報告をご覧になった向きは是非思い出してみて頂きたい。
他には、自然に我がW社が紙パルプから完全に撤退したことも大きな話題となったが、これが何も我が社だけのことではなく、アメリカの業界全体を支配している流れであるのはICT化がここまで進んでは如何ともしがたいことだと、矢張り意見は一致したのだった。「この世の中には、これから先には”AI”が更に急速に普及していくことだろうし、スマートフォンなるもので何もかも動かせる時代が進んで行くだろうから、紙の需要などは一層片隅に押し込められるだろう。我々旧世代はその成り行きを見守っているだけか」との結論で、次回を約して解散した。
資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 16年10月17日号