新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

10月20日 その2 専門商社マンと懇談した

2016-10-20 17:26:19 | コラム
円安が¥120にでもなれば:

久しぶりの絶好の好天の下に、これまた久しぶりに朝9時半に家を出てサングラスなどをかけて、新大久保駅前のバス停に向かった。その頃は未だ天気予報ほどには気温が上昇しておらず快適な気分でバスが来るのを待っていられた。バスの中では空調が効きすぎでジャケットを着用していたのが正解だったほど。

知人とは昼食を挟んで約2時間強も懇談した。主たる話題は勿論景気であり、紙流通業界の動向だった。言うまでもないことで好転している訳もなく、先日のYM氏との懇談と同様で、景気回復は未だ未だ先のことだろうという辺りが、いきなりの結論だった。知人をここではSY氏として置くが、輸出入の専門家である彼が紙輸入の先行きについては、為替が円安に進み¥120にまで達すれば多少は動きが出るかも知れないと言ったほど、弱気なのだった。

YM氏はアメリカの景気のバロメーターとして、私のW社時代からの持論と同様に「住宅着工」と「自動車の売れ行き」を挙げていたが、我々は業界の古くからの言い習わしである「紙類の荷動きが好転するのは、一般経済の立ち直りに遅れること最短でも6ヶ月」は最早通用しない時代に入って久しい。現時点では「何年経てば紙の需要にまで景気回復が及ぶのか不明だ」と改訂すべきだろうとの結論に達した。要するにそれほど良くないと言うこと。

次に語り合ったことが、先頃私が採り上げた「ジェトロの世界貿易投資報告 2016年版」だった。SY氏も今更ながら世界各国の貿易があれほど負の成長を続けているとまでは予想できていなかったので、この有様では輸出入に依存して国内の景気を回復させるなどということはありないと再認識せざるを得なかった」と述懐していた。彼も最早直接実務に携わっていない年齢に達しているが、あの資料のお陰で全世界で過剰設備を抱えているものだと想像できたと語っていた。

未だ未だ悲観的な話が続くが、最近のアメリカの調査機関・RISIの資料によれば、世界の紙・板紙生産量の上位100社にはアメリカが18社、中国が11社、日本が9社、カナダが8社、ブラジルが5社、韓国が5社(以下略)という具合に内需が小さく輸出に活路を求めている新興勢力が圧倒的に多いのだった。これでは全世界で紙・板紙が供給過剰に陥るのは理の当然だろうと、悲観的に意見が一致した。私のあの報告をご覧になった向きは是非思い出してみて頂きたい。

他には、自然に我がW社が紙パルプから完全に撤退したことも大きな話題となったが、これが何も我が社だけのことではなく、アメリカの業界全体を支配している流れであるのはICT化がここまで進んでは如何ともしがたいことだと、矢張り意見は一致したのだった。「この世の中には、これから先には”AI”が更に急速に普及していくことだろうし、スマートフォンなるもので何もかも動かせる時代が進んで行くだろうから、紙の需要などは一層片隅に押し込められるだろう。我々旧世代はその成り行きを見守っているだけか」との結論で、次回を約して解散した。

資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 16年10月17日号


雑感 102016

2016-10-20 08:57:30 | コラム
近頃感じた事など:

*我が国はオリンピックを余りにも聖なるものと思っているのでは:
私でも世界の運動選手が一堂に会してその力を競うのは意義ある事だと思って評価している。だが、近頃はプロ選手も参加するなど商業化しすぎた気もする。それ以上に気になるのが、我が国ではオリンピックを「聖なるもの」として言い過ぎかも知れないが神格化してしまった事だ。例えば「聖火」と言って持て囃すものの英語の表現は”Olympic flame”で、UN同様に何処にも「聖」という字がない。

この度のバッハ会長の来日にしても、あれでは国賓扱いかと思ってしまう。陛下にまでお引き合わせするのかとすら考えてしまった。私は世界規模の大運動会と表現した事もあったが、これは不適切だったと少しく反省もしているが、誰があそこまで持ち上げたのかと疑っているのだが。

*安倍内閣の劣化を憂う:
流石の自民党にも人材がそれほど豊富でゃなかったと示すような事例が多く出て来るのは極めて遺憾である。現在の改造内閣でも二人の山本大臣の存在は負の意味で光っているのは誠に困ったものである。批判と揚げ足にしか生き甲斐を見出せない民進党の格好の攻撃材料だ。私はそもそも国会議員に我々一般人以上の知性や理性や能力を期待していないから敢えて驚かないが、総理にはもう少し人材の起用にご注意願いたいものだと思う。

*陛下の生前退位のご意向:
私は率直に言ってこのご発言に対する安倍内閣の反応は遅すぎると思っている。私は安倍総理の日頃の動きを見てきたので、もっと速やかに何とか委員会でも何でも組織されて、陛下のご希望に添う行動を取られるものと思っていた。しかも、誰か所謂専門家が批判していたが、あの有識者委員会に選ばれた方々の中には言うところの「皇室問題」の専門家がいないとしか、私にすら見えてこないのだ。あれで良いのだろうかと少しだけ不安に感じている。

*アメリカ大統領選挙:
この史上最低の選挙ではヒラリー・クリントン氏かドナルド・トランプ氏の何れが当選するかも確かに大きな問題だが、我が国で外務省なり何なりが両睨みで行くのか、何れか一方に絞って大統領就任後に如何なる方向にアメリカを持っていく気かと、我が国と中国に対する政策を展開するかを十分且つ綿密に事前調査して、何れかの候補に接触を図っているという報道はない。それは隠密のすることだろうが、内閣も外務省も如何なる動きをしているのかが非常に気になっている。何にもしていないことなどないと信じているが、彼らにお任せしていて良いのだろうかとも、ふと考える時もある。