米価を良く分析して考えよう:
昨日の「アメリカ国内の米価」を更に補足致します。先ずお断りしておきますが、私は輸入の担当者でも専門家でもありませんでした。
こレから述べるようなことまで考慮しないと、真の国産米対輸入米の経済的比較にならないと存じます。このような我が国の貿易に関する規定の細かさを、アメリカ側が「非関税障壁」というのも解らないではありません。そこが我が国の貿易管理令が基本的に輸出入は禁止だが、例外として認める場合があるという精神で貫かれているからだと思います。先生には釈迦に説法かと危惧致しますが、20年以上も戦ってきた法律ですので、言いたくもなります。以前にも指摘したことですが、牛乳の容器はガラス瓶とするという省令があり、現在のような紙パックは「例外容器」としてのみ認められていた時期があったのです。今や「例内容器」を探すのは大変でしょう。
輸入品のコスト分析:
念のため申し添えておきますと、アメリカの小売業者(恐らく大型のGSMでしょうが)がどれほどの利益率で店頭に出しているかは解りませんが、それが仮に15%であったとして、その原価日本に出そうとしてもその他に輸出梱包と港までの内陸運賃がかかります。その上に港湾荷役料と海上運賃がかかります。それがC & F価格です。そこに輸入者が保険をかけますし、日本の港での通関費用他の諸掛かり、最短でも数週間の保管料と輸入業者の立て替え金利に小売業者の倉庫乃至は店頭までの国内運賃がかかります。
普通の場合、商社や自分で輸入する需要者は自社倉庫等に搬入するまでの経費を、C I F価格の1.13~1.15倍(関税無しとして)にして原価計算します。これだけの経費は避けられません。それでも、国内に流通する米価よりも格段に安くなるとは、私の経験では考えられないのです。民進党等の代議士先生(中には玉木だの何のと財務相出身者も経産省出身もいます)がこのような実務をご存じでないはずはないと、一応敬意を表しますが・・・。自民党でも承知している実務経験者がいるのでしょうか。
もっと言えば、米の輸送をコンテイナーにするのか、バルク(=bulk)と呼ぶバラ摘みにしてくるかで、コストは変わりますし、便利さも変わります。また、肝腎な事は米のような食料品は、事前に機械油の臭気が残るような機械類や飼料用の干し草等を積んだコンテイナーの後には積めません。まず、内部に残った臭気が包装を通して米に移ってしまいますから。
カリフォルニア州ならば、日本からの輸入も多く無臭のコンテイナーを選択できますが、ロッキー山脈以東の内陸には日本からの輸入品が少なく、コンテイナーを選べる余裕がなく、経費をかけて完全洗浄しない限り食料品の輸送には使えないのです。これは船社では常識ですし、輸出者も先刻承知です。私はそれ故に、アメリカの業者が米の輸出をする気ならばカリフォルニア州以外になく、内陸の産地からはコスト倒れになると思っています。我が国の需用者が機械油その他の臭気がついた米を、仮に国産米よりも安いからと言って買いますか?
この辺りが私が「実務を経験していない人に何が解るのかなー」という根拠があります。我が国の消費者と中間に介在する業者の厳格さはアメリカ人には解りません。何かを軽率に臭気が残った箱に積んで大クレームになって初めて解った事です。私は一度その臭気の事故で、工場から来た技術者と何十個ものコンテイナーの内部の臭いをかがされた事がありました。そのクレームの原因は、良かれと思って内部を洗剤で洗った上に、新たに塗装したペンキから溶剤の臭いがでたのでした。
以上、ほんのご参考までに、何事についても世界で最も厳密な受け入れ基準を設定している我が国のお話のご紹介でした。
販売店乃至は小売店の利益を加算すべし:
先ほどの言わば輸入米の「コストブレークダウン」には、我が国で何処かが販売する場合の利益が含まれていません。私は大規模・中小規模を問わず、彼らが何㌫の利益を取っているかは知りませんが、国産米と比較する場合にはそれを忘れてはなりますまい。また、金利は絶対に忘れてはならない要素で、通常は現地(即ち、アメリカ)では本船が出航後に書類一式(インヴォイスやB/L等で、ドキュメンツと言います)が揃い次第、商社の現地の支店等に渡して即現金決済するか、輸入者宛てに即刻郵送して、受け取り次第現金送金で決済します。
本船はアメリカ西海岸から通常2週間で日本の港に到着しますから、どんな事があっても立て替え金利は発生します。ましてや、商社の現地の支店から本社にドキュメンツを送り、更に需要家に請求するとなると、簡単に30日分の金利が発生します。しかも、商社の口銭などは余程の事がない限り(輸入代行等の場合は)1~3%程度ですから、金利や為替の変動分の負担などのリスク負担などあり得ないのです。
こういう手続きを経るのに、輸入米が安くなるという計算が何処から出てくるのでしょうか、私には理解不能です。為替が¥120が¥100くらいに円高になっても、末端価格が直ぐに下がる事なあり得ません。そんな事をしたら、高い為替の頃に輸入して在庫になっていた分は誰かの大損になるだけ。輸入ってそんな生易しい商売ではないのですがねー。
昨日の「アメリカ国内の米価」を更に補足致します。先ずお断りしておきますが、私は輸入の担当者でも専門家でもありませんでした。
こレから述べるようなことまで考慮しないと、真の国産米対輸入米の経済的比較にならないと存じます。このような我が国の貿易に関する規定の細かさを、アメリカ側が「非関税障壁」というのも解らないではありません。そこが我が国の貿易管理令が基本的に輸出入は禁止だが、例外として認める場合があるという精神で貫かれているからだと思います。先生には釈迦に説法かと危惧致しますが、20年以上も戦ってきた法律ですので、言いたくもなります。以前にも指摘したことですが、牛乳の容器はガラス瓶とするという省令があり、現在のような紙パックは「例外容器」としてのみ認められていた時期があったのです。今や「例内容器」を探すのは大変でしょう。
輸入品のコスト分析:
念のため申し添えておきますと、アメリカの小売業者(恐らく大型のGSMでしょうが)がどれほどの利益率で店頭に出しているかは解りませんが、それが仮に15%であったとして、その原価日本に出そうとしてもその他に輸出梱包と港までの内陸運賃がかかります。その上に港湾荷役料と海上運賃がかかります。それがC & F価格です。そこに輸入者が保険をかけますし、日本の港での通関費用他の諸掛かり、最短でも数週間の保管料と輸入業者の立て替え金利に小売業者の倉庫乃至は店頭までの国内運賃がかかります。
普通の場合、商社や自分で輸入する需要者は自社倉庫等に搬入するまでの経費を、C I F価格の1.13~1.15倍(関税無しとして)にして原価計算します。これだけの経費は避けられません。それでも、国内に流通する米価よりも格段に安くなるとは、私の経験では考えられないのです。民進党等の代議士先生(中には玉木だの何のと財務相出身者も経産省出身もいます)がこのような実務をご存じでないはずはないと、一応敬意を表しますが・・・。自民党でも承知している実務経験者がいるのでしょうか。
もっと言えば、米の輸送をコンテイナーにするのか、バルク(=bulk)と呼ぶバラ摘みにしてくるかで、コストは変わりますし、便利さも変わります。また、肝腎な事は米のような食料品は、事前に機械油の臭気が残るような機械類や飼料用の干し草等を積んだコンテイナーの後には積めません。まず、内部に残った臭気が包装を通して米に移ってしまいますから。
カリフォルニア州ならば、日本からの輸入も多く無臭のコンテイナーを選択できますが、ロッキー山脈以東の内陸には日本からの輸入品が少なく、コンテイナーを選べる余裕がなく、経費をかけて完全洗浄しない限り食料品の輸送には使えないのです。これは船社では常識ですし、輸出者も先刻承知です。私はそれ故に、アメリカの業者が米の輸出をする気ならばカリフォルニア州以外になく、内陸の産地からはコスト倒れになると思っています。我が国の需用者が機械油その他の臭気がついた米を、仮に国産米よりも安いからと言って買いますか?
この辺りが私が「実務を経験していない人に何が解るのかなー」という根拠があります。我が国の消費者と中間に介在する業者の厳格さはアメリカ人には解りません。何かを軽率に臭気が残った箱に積んで大クレームになって初めて解った事です。私は一度その臭気の事故で、工場から来た技術者と何十個ものコンテイナーの内部の臭いをかがされた事がありました。そのクレームの原因は、良かれと思って内部を洗剤で洗った上に、新たに塗装したペンキから溶剤の臭いがでたのでした。
以上、ほんのご参考までに、何事についても世界で最も厳密な受け入れ基準を設定している我が国のお話のご紹介でした。
販売店乃至は小売店の利益を加算すべし:
先ほどの言わば輸入米の「コストブレークダウン」には、我が国で何処かが販売する場合の利益が含まれていません。私は大規模・中小規模を問わず、彼らが何㌫の利益を取っているかは知りませんが、国産米と比較する場合にはそれを忘れてはなりますまい。また、金利は絶対に忘れてはならない要素で、通常は現地(即ち、アメリカ)では本船が出航後に書類一式(インヴォイスやB/L等で、ドキュメンツと言います)が揃い次第、商社の現地の支店等に渡して即現金決済するか、輸入者宛てに即刻郵送して、受け取り次第現金送金で決済します。
本船はアメリカ西海岸から通常2週間で日本の港に到着しますから、どんな事があっても立て替え金利は発生します。ましてや、商社の現地の支店から本社にドキュメンツを送り、更に需要家に請求するとなると、簡単に30日分の金利が発生します。しかも、商社の口銭などは余程の事がない限り(輸入代行等の場合は)1~3%程度ですから、金利や為替の変動分の負担などのリスク負担などあり得ないのです。
こういう手続きを経るのに、輸入米が安くなるという計算が何処から出てくるのでしょうか、私には理解不能です。為替が¥120が¥100くらいに円高になっても、末端価格が直ぐに下がる事なあり得ません。そんな事をしたら、高い為替の頃に輸入して在庫になっていた分は誰かの大損になるだけ。輸入ってそんな生易しい商売ではないのですがねー。