新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月18日 その3 コロンビア戦を前にして私の「閃き」

2018-06-18 21:15:01 | コラム
>コロンビアに負けないかも知れない:

体調の不備が何日置きかに襲ってくるので気分的に滅入っており、W杯が始まっても、余所の国のサッカーの試合などを見ようという殊勝な気分にはなれない。結果をニュースで見るか、特集のようなもので点が入ったところを見る程度だ。今年は案外な結果が多いのが特徴だろう。優勝候補だったはずのスペインがポルトガルに引き分け、ドイツがメキシコに負け、圧倒的に強かったはずのブラジルも我が代表に勝った程度のスイスと引き分けていた。かのメッシ君はPKを外したのも「案外」の部類に入るか。

そこで、今日中に言っておかないと意味がなくなる危険性があるので、特異の「閃き」を公表するかと思い立った次第だ。初戦の相手のコロンビアは前回に確か4点も取られて言わば惨敗させられたのだった。そこにはそれ以降欧州で活躍中のハメス・ロドリゲスが健在だ。余談だが、「ハメス」とは英語の James のスペイン語読みだ。私は海外のサッカーには暗いのだが、ロドリゲスに加えてFalcaoとミドルネームで呼ばれるGarcia Zarateという強力なFWもいるらしい。

私は前回の実績もあるし、西野監督に代わって以来の不成績と前監督の疑問だらけの指導力もあって、とても予選リーグ突破の可能性はないだろうと、早くから諦める気分だった。だが、現実に本戦が始まってみれば「案外な結果」ばかりではないか。特に、ドイツもこいつもと言いたいが、つまらぬギャグをやめれば、ブラジルも一寸見ただけでは我が代表と変わらないようなパス回しの為のパスばかりで、引き気味に守るメキシコとスイスを崩し切れていなかったかに見えた。

「なるほど、そういう手もあったか」というか、積極果敢に?引いて守り、且つ逆襲もするサッカーを展開すれば、勝てるとまでは言わないが、少なくとも引き分けには持っていけるチャンスがあるかも知れないと閃いたのだった。「情けないことを言うか」と批判されるのは覚悟の上だが、相手の焦りを誘えるだけの試合を展開できれば、勝てることもなきにしもあらずかと上も思った次第だ。

しかし、基本的にはパス回しの為のパスを排除して攻める気迫と、相手のパスの先を読み、且つ体を張った守備を展開すれば「何としても初戦には勝ってみせる」という強い精神力と気構えを見せて欲しい。さもなくば、ロドリゲスや出てくるのかどうか知らない得点力が高いファルカオを抑えきれずに、「負けに不思議なし」に終わる危険性も高くなるのだ。だが、私の「閃き」は割りに良く当たるのだ。


6月18日 その2 比亜迪股份有限公司に思うこと

2018-06-18 14:07:11 | コラム
長年築き上げてきた技術が不要になる時代の到来:

18日の朝に比亜迪股份有限公司(BYD)の電気自動車を論じていて途中から、一寸おかしいかなと思い出したことは「中国の電力は安価なのかどうか」という辺りだった。充電の設備がBYD以外にも街中にあるのかなという点も気にはなった。走行中のバスが「もうじき電気切れ」というような、テレ東の出川哲朗の人気番組「充電させて下さい」のような電気切れの状態になったらどうする気なのかなとも考えてしまった。

余談だが、先日一泊した箱根湯本の吉池旅館の駐車場には、これは何かなと一瞬戸惑った充電の設備が用意されていた。旅館業としての先見の明のなのか、またはお客様向けのサービス精神の表れか否かは解らなかったが、時代はそこまで来たかと感じたのは確かだった。

それよりも何よりも、私は先進工業国在来型の製品を低い能率で生産する工場の時代が終焉を告げる時期が予想よりも早くなった気がするのだ。思い起こせば、1988年に我が社の最新鋭のフィンランド製の抄紙機を導入したカナダの新工場を技術指導に訪れたN製紙の課長さんが、そのマシンを具に視察・検討されて「我々が長年かけて築き上げてきた熟練と鍛え上げた勘とに裏付けられた技術が不要になる時代が確実に来る」と予言された通りになって行く時代になってしまったと思わずにはいられない。

但し、新時代の超大型生産設備はそれなりの多額の設備投資コストが必要になるが、生産能力が在来型とはかけ離れて大量になるから、案外に短期間で投資分を回収してしま得るのだろう。先ほど例に挙げたAPPは中国に続々と世界最大級の規模の工場と最新鋭のマシンを導入して、先進国の(在来型の生産設備しかない大手)メーカーを凌ぐ競争力がある価格で世界中に売り回ってきた。だが、その結果からか、アメリカやEUでは高率の関税で、その最新鋭の高品質の紙が閉め出される目に遭っている。

即ち、高率の関税で閉め出す保護貿易はオバマ大統領とEUが先鞭を付けていたことで、何もトランプ様が編み出された特別な手法ではないという事実があるのだ。オバマ大統領は印刷用紙だけではなく、ドイツからの感熱紙(キャッシュレジスターのレシートに使われている薄い紙)まで関税で閉め出してしまった。不思議なことに、この保護貿易政策を非難したり報じたメデイアは、私が知る限り皆無だった。マスメディアはオバマ大統領がやったことでは人目を惹かないとでも考えたのだろうか。

思うに、これから先に最新鋭の生産設備を整えた新興勢力の大工場の製品と、生産設備の合理化投資もままならなかった嘗ての先進国というか在来型のと言うか嘗ての世界をリードしてきたメーカーとの競合が暫くの間は続くのではないのだろうか。だが、製品の質と価格では新興勢力が有利でも、先進国側は高率の関税による保護貿易策に依存するかFTAの締結などを主張して自衛策を講じようとするのではないか。

その結果如何では、先進国の需要者も需要家も自国製の古くて割高な製品を使わされる事態に直面するのかも知れない。トランプ大統領はその危険性までを読まれて、中国との貿易戦争(と言って良いのかな?)に打って出られたのだろうか。



比亜有限公司(BYD)

2018-06-18 07:58:32 | コラム
後発なるが故に:

毎度のことながら、何処の局が流したニュースかは失念した。だが、そのBYD関連の内容には1997年1月に初めて訪れたインドネシアの、今では世界的な大製紙会社となった Asia Pulp & Paper(APP) の最新鋭機の、未だ且つ見たこともないような大型の能力に圧倒されたのと同じような衝撃を受けた。その抄紙機が凄いという前評判を聞かされていたが、実際にその規模と速度と超高速で出て来る紙質を見れば、大袈裟に言えば言葉を失うほどだった。しかもその機械は日本のM重工製だったのにも圧倒された。因みに、年産能力は所謂「模造紙」で50万トンだった。

念の為に申し添えておけば、その数年後だったかに我が国の大手メーカー4社が挙って導入したやや似通った印刷用紙ようのマシンの年産能力が30~35万トンで、それでも業界の消息通は「それほど大型の設備を導入して一体何処に売るという宛てがあるのか」と揶揄したほど、当時の我が国では過剰な生産能力だとの評価が与えられたのだった。

APPに話を戻そう。この会社は華僑系の財閥が経営するアジアの新興勢力で、後発なるが故にその新鋭工場に次から次へと導入される抄紙機は何れも世界最新式で、最早世界最大の製紙国のはずだったアメリカや第2の我が国には今更新規に設備投資して導入することなどあり得ない超最新鋭の超大型機のみだった。簡単に言えば、その新鋭機はほとんど人手を排除し、完全にコンピュータ制御されており、最初に原料のパルプを投入すれば最後には規定の寸法に裁断されたコピー用紙が段ボール箱に詰まって出てくるという仕掛けになっているのだ。

一寸恥ずかしい比較をすれば、2005年までは世界最大級の上質紙(=模造紙)メーカーの一角を占めていた我がW社が最後まで運転していた古いマシンの年産能力は15万トンだったのだ。この比較だけでもAPPのマシンが如何に巨大かが解ろうというもの。即ち、20世紀末になって製紙業界に進出してきたAPPや中国や韓国やタイ等のメーカーは後発なるが故に既存の大手製紙国が所有しているような「時代遅れ」の抄紙機は入手できず、年産能力が50万トンから100万トンにも迫る大型機しか導入できなくなっていたのだ。

更なる問題は、これらの新鋭マシンではこれまでの旧型マシンを長年蓄積してきた経験と技術を活かして高度な品質の紙を製造してきた練達熟練の現場の技術者を必要としなくなっていたのだった。機械がその役目を十分に果たし、熟練した技術者が作ってきた紙に比較して遜色がなくなっていたのだった。私が「製紙の神様」と称えた某大手製紙会社の現場の課長さんも「蓄積してきた技術と経験がものを言わぬ時代が近くなった」と嘆息された。

今回は製紙業界の変革を語るつもりではなかった。私は深圳の街を走っている100数十台のバスや無数のタクシーの大部分は最早「比亜迪股份有限公司(BYD)」の電気自動車に置き換えられつつあるという報道に衝撃を受けたのだった。そして、このニュースを聞いて上記のAPPでの経験を思い出したのだった。即ち、中国は自動車産業では後発なるが故に一気にHybridを通り越して電気自動車の分野に突入できたのだということだと感じた。何でも90分の充電で900 km走行可能とか言われていた。

比亜迪股份有限公司の日本支社長の説明では「中国には大気汚染というのっぴきならない事情があって電気自動車を推進した」となっていたが、それは兎も角、欧州では今後はガソリン車の生産を認めないという国まで現れた現在では、BYDは明らかに我が国対してだけでも一歩も二歩も先んじていることになると危惧した。トヨタにしてもホンダにしても現時点では到底BYDには追い付いていないのではないか。追い付く場合の等の投資は生易しい金額ではあるまい。

先日も某電器会社の元幹部役員だった方とも語り合ったのだが、こと電気自動車の時代ともなれば電池の分野で遅れていては追い付いていけぬ時代となったのは明らかであると振り返っておられた。アメリカのテスラーだって生産能力の他に電池の手配でも行き悩んでいる様子だ。私は電器自動車にするのは結構だと思うが、アメリカのように今でもあれだけ大量の従来型自動車が走っている国ではどうする気なのかと、トランプ様に伺って見たい衝動に駆られる。

今や、嘗ての先進国は気が付けば後進国になってしまう危険性が極めて高い時代となった。スマートフォンを考えて見よ。固定電話が普及しなかった後発国ではあの普及振りだ。ここ新宿区に来てイスラム横丁を歩いて見よ。露天のような店が勝手にビルの壁にガラスケースを設けてスマートフォンを商っている。時の流れの速さと変化は恐ろしいものがある。そのうちにBYDの電気自動車が東京の街を疾駆するのではないか。そんなことがあってはなるまい。