新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領に思う

2018-06-16 11:28:23 | コラム
「アメリカファースト」に徹しておられるだけか:

花田記凱が産経の「週刊誌ウオッチング」に「トランプ大統領と金正恩委員長との会談を成功と言い切っていたのは藤井厳喜(評論家)だけだ」としていたのが面白かった。アメリカ国内でも何処でもその評価は割れている。私は「そんなことが解る訳はない」と思っている。あの会談では何か直ちに結果が出るような取り決めがあった訳ではなかったし未だあれから一週間も過ぎていない時期に、あれだこれだと決めつけても意味がないような気がしている。

先日もYN氏と語り合った際にも出た話だったが、トランプ大統領が打ち出される政策というか、デイ―ルの数々の間には何の脈絡もないように見える。だが、一件ごとに見ればそれなりの結果が出ている場合が多いので、fake news派のメデイア以外ではそれ相応の評価がされており、支持率も安定的に上昇しているようななのである。しかし、その一見バラバラのように見える施策を貫いているのは確固たる「アメリカファースト」という太い柱なのだ。これこそが彼の政治信条なのだ。

私は「ドナルド・トランプというビジネスの分野から出てこられた方は、固い信念と信条に裏付けられた政治哲学や理念を引っ提げて登場された訳ではない」と思って見てきた。だが、「アメリカを再び偉大に」という旗印を掲げられたので、対中国、我が国等々との間に長年存在し続ける「貿易赤字」などは感覚的にも到底看過できる性質ではなく、何ら改善の施策を講じてこなかったこれまでの大統領たちのやり方を踏襲する訳には行かないとばかりに、保護貿易というか関税賦課に立ち上がられたのには何の不思議もないと思う。

寧ろ、「よくぞやって下さった」と褒め称える多くの支持者が出て来ても当たり前かとすら考えた。その為には中国と事を構えることすら辞さない姿勢の背景には「アメリカファースト」が見えていると思う。私はトランプ氏のやり方は「WTCなどを打破して世界に新しい貿易の仕組みを作り出そうとしておられると見るよりも、自国の利益と国民の雇用を安定化せねばという大きな狙いがあるのだ」と思っている。その「アメリカファースト」実現の為には、これまで親密であった他国との間に多少の軋轢が生じるのも止むを得ずといった信念があるのではとすら考えている。

そういう信念があればこそ、シンガポールまで出向いても金正恩委員長と会談し「何故お世辞を言われたのか」と記者会見で突っ込まれることなどは「大事の前の小事だ」くらいに割り切っておられたのではないかとすら考えている。即ち、金正恩委員長との会談などは単なる手段に過ぎず、「あのような核兵器を他国、即ちアメリカとそれ以外を不当に威圧する材料に使う国がこれ以上のさばることなどを放置する訳にはいかない」と立ち上がられたのだと勝手に解釈している。即ち、ここにも「アメリカファースト」の思想があるだけではなく「世界の為も」と考えておられるのではないかとまで疑っている。

私がトランプ大統領に問題点があるとすれば「あの言葉遣いであり、Twitterを使いまくって相手を罵ってしまわれるので、ややもすると品性を疑われる点」にありはしないかと思っている。私は決してトランプ大統領のファンではないが、これまでに打ってこられた政策には見るべきものがあるとは思う。だが、如何に貿易赤字削減の為の手段とは言え、我が国にまで鉄鋼とアルミと自動車に関税をかけるというやり方は到底受け入れられない。あれでは「安倍総理を都合良く利用するだけで、口先では上手いことを言うが、その協力に対して何らの見返りもないのは不当である」と言いたくなる。