新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

冷静なる評論家は言う

2018-06-08 17:06:01 | コラム
*大谷翔平君が順当に打てなくなった:

私は彼が華々しくアメリカの大リーグに初登場した時に(マスコミ風に表現すれば「大谷翔平選手が華々しくメジャーリーグデビューした時には」となるだろうが)マスコミがアメリカ全土で賞賛されたと報じたのは過剰報道で、彼はアメリカ50州の一つであるカリフォルニア州のみで騒がれていたに過ぎないと言っておいた。だが、私は大谷君の類い希なる素質は十分に評価しているので、何れは東海岸にもその存在が知れ渡るだろうとは考えいた。

そして、私が何度か指摘してきた「二刀流」とはおかしな表現で、彼は初登場した後では攻守両面にわたって好成績を残しているのは大変結構だろうとは見ていた。だが、そこはスカウティングの技術が発達しているアメリカのMLBのこと故、遠からぬ将来に彼の欠陥を突く組み立てで攻めてくるか、彼が明らかに苦手としている左投手をぶつけてきて打たれないような策を講じるだろうと予測ていた。因みに、アメリカでは「二刀流」のことを Two wayと称している。この方が It makes sense. であると思う。

私は彼がアメリカに行く前から「左投手のアウトサイドに流れるボール気味のスライダーが弱点であり、これを克服しないことには」と指摘してあった。現にアメリカンリーグでも優れた左投手を当ててきているし、既に「対大谷シフト」(「大谷シフト」は誤りだが)が引かれており、センターに抜けそうなヒット性の打球は守備位置を変えていたショートストップに止められている。というような対策を練られたので、打率も3割を切ってしまったし、投手としてもマメを潰したしたりして5勝目に届かない。

私は大谷君がその輝かしき素質を如何に活かしてMLBで伸びていけるかは、これから先のことであると思っている。最初の1~2ヶ月は言わばお客様で相手にする投手たちもスカウティングの専門家たちも、彼の欠点を探っていた時期だったと見ている。私は彼はもしかして松井秀喜よりも遠くに飛ばす力があるかも知れないとは見ている。だが、日本ハムの5年間でもMLBに移ってからでも「上手いな。あの投球をあのように打つのでは止めようがないな」と思わせてくれるような好打者にまでは成長できておらず、未だその過程にあると考えている。

以前にも述べたが、アメリカという異文化の国に進出し、北アメリカ及び南アメリカ人に加えてアフリカ系の身体能力に優れた者たちの中に入って負けないように力を発揮できるようなるのは容易ではない。最短でも1年以上は必要とするのではないかと、経験上も考えている。それに東・西両海岸の間にある3時間の時差とも戦わねばならないし、幾ら通訳を付けて貰っていても所謂 language barrier だった克服せねばならないのだ。私は今年1年くらいは過剰な期待をせずに見ておく方が、彼の将来の為にもなると思っている。

*W杯サッカー代表には期待はしない:

当然のことだと思っている。私は既に「何も期待しなければ、予選リーグで一度でも勝てれば上出来だと喜べるではないか」と述べておいた。深く考えるまでもないことだが、4年前の大会ではあの成績だった。その時の大半の主力選手が今回も代表に選ばれている。私の評価では4年前には本田、香川、岡崎、長友、長谷部等が成長の極限に達していたので、欧州の高度の技術が求められるリーグでほぼ一本目を張れる力があった。あの時と同じリーグでレギュラーメンバーで残っている者が何人いるか。例えば、インテルであれだけ実力を発揮していた長友が今ではトルコのリーグにいるのが何を物語るか考えて見ろということ。

要するに、厳しいというか悪い言い方をすれば、「ロシアに行った代表テイームは、最早これ以上(現状以上)に成長することが期待できない者たちを相変わらず主力の戦力として依存せねばならないテイーム」なのである。私はこの事実は代表に選ばれた者たちの責任ではないと思っている。世代交代に踏み切れなかった協会の責任でもあれば、不適切な外国人の監督を招聘した為に、なお一層世代交代が遅れたのだと見ている。それ以外に問題にしたい点としては「交替させるべき新世代を一向に育ててこなかった罪」を挙げたい。

井手口や浅野や中島翔哉が落とされたという批判もあるが、私は現時点で彼らが大迫程度にも及ばず、到底本田や香川や岡崎等を脅かす存在にまで成長したとは評価していない。視点を変えれば、野球界における大谷翔平や柳田悠岐や山田哲人級の素材がサッカー界にいるのかという疑問もある。180 cmにも満たないような伸長で、決して人並外れた身体能力を持っている訳でもない錦織圭をあそこまで育てたような組織もないのが、サッカー界の問題点のような気がする。

法政大学フットボール部の前総監督にして「アンダーアーマー」の販売会社「ドーム」の社長兼CEOである安田秀一氏は「ラグビー選手のような優れた体格と身体能力を備えたサッカー選手を育成しよう」と企画され「岩城FC」だったかを結成されたそうだ。簡単にいえば「外国人選手と試合をしても当たり負けしない体格を基礎にした技術をを持つサッカー選手を作ろう」という試みである。いきなり結論だが、サッカー界に奮起を促したい。