新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月26日 その2 保護貿易に対する企業の意識調査

2018-07-26 14:29:12 | コラム
結論は自由貿易支持も、各論は微妙:

帝国データバンクでは先に「保護貿易に対する企業の意識調査を実施して農・林・水産、金融、建設、不動産、製造、卸売、小売、運輸・倉庫、サービス、その他の10業界の見解についての結果を公表した。調査期間は2018年6月18~30日、調査対象は全国の23,149社で、有効回答企業数は9,694社(回答率41.9%)だった。

調査の結果の要旨:
*「自由貿易が望ましい」とする企業は全体の56.9%で「保護貿易が望ましい」とする企業の9.9%を大幅に上回った。しかし、自社の属する業界にとって「自由貿易が望ましい」とする企業は43.0%に低下。一方、「保護貿易が望ましい」とする企業は13.1%に上昇。

*保護貿易主義が広がりを見せた場合に自社の業績に「マイナスの影響がある」と回答した企業は28.7%。「プラスの影響」とした企業は2.5%、「どちらとも言えない」は38.5%だった。

*保護貿易主義に対する対応策を実施している企業は0.5%、「対策を検討中」と合わせても4.9%。

*対応策を実施している企業は、「情報収集・分析の強化」が57.0%で最多。以下、「仕入先企業の見直し」(32.0%)、「販売計画の見直し」(28.8%)、「自社の商品やサービスの種類・内容の見直し」(26.9%)、「生産計画の見直し」(20.8%)の順。

*「生産計画の見直し」を進めている企業が主に実施・検討しているのは「国内生産の拡大」で30.6%。「販売計画の見直し」は「国内向け販売の拡大」が46.3%で、精算・販売計画の見直しはいずれも「国内」の拡大を図る傾向にある。

企業の約6割が日本にとって「自由貿易」が望ましいと認識:
一般論として自由貿易、保護貿易(国内産業保護)の何れを選ぶかと尋ねれば自由貿易が望ましいと答えた企業は56.9%と6割弱に達していた。望ましいとする企業の業界別では「卸売」(60%)、「製造」(59.7%)、などと海外進出を展開する業種に見られた。一方、保護貿易が望ましい」とする業界は「農・林・水産」(13.5%)、「建設」(12.5%)、「小売」(10.5%)と内需産業型で比較的多かったものの、全体として自由貿易が保護貿易を上回った。

ただし、自社の属する業界では「自由貿易が望ましい」は43.0%に対して「保護貿易が望ましい」は13.1%と、一般論と異なる結果となった。業界別では自社業界の「自由貿易が望ましい」としたのは「卸売」(49.9%)→「製造」(47.8%)→「小売」(44.1%)の順だった。一方、「保護貿易が望ましい」については「農・林・水産」が46.2%と突出。以下、「建設」(17.4%)と続いた。

自由貿易が望ましいという業界からは「自由貿易を維持しなければ日本経済は成り立たない」(冷凍調理食品製造/神奈川)、「自由貿易により打撃を受ける産業もあるが、少子高齢化を考えれば必要」(自動車(新車)小売/栃木)などがあった。

これに対して、保護貿易が望ましいとする業界からは「国内産業を保護して力を付けて自由貿易に耐えられるまでになった時に実施すれば良い」(輸送用機械器具販売/奈良)、「基本的に自由貿易は重要と考えるが、自然環境への影響、その国・民族の文化・歴史を互いに尊重する関係がなければ行けない」(森林組合/茨城)といった声が聞かれた。

参考資料:紙業タイムス社刊行 FUTURE誌 18年7月30日号





特称命題と単称命題

2018-07-26 08:43:22 | コラム
関東学連対監督会の対立と再発防止策:

監督会が学連に対して「日本大学フェニックスが提出した改善及び悪質タックルの再発防止策を開示せよ。さもなくば考えがある」との要求を出していると報じられたと聞いて、昭和20か21年頃に湘南中学(当時)の赤城愛太郞校長がその訓示の中で採り上げられた「特称命題」と「単称命題」を想起した。これらは今となっては馴染みがない熟語だが、広辞苑には載っている。同時に、私は既に採り上げて論じたことだが、再発防止の最善にして唯一かも知れない対策は「内田前監督と井上前コーチを排除したこと」であると考えている。

更に言えば厳密に再発防止策を開示せよとの要求は「橋詰功内定新監督」にも「再発させぬ」という誓約書でも出させる他あるまいとも思っている。だが、翻って無理矢理に監督会の立場で考えれば「出直してくると雖も、日大フェニックスの今年の顔ぶれは新入生を除けば昨シーズンの内田監督が率いていたテイームである以上、再発の危険性を内蔵しているのではないか」という疑念を抱くのは理の当然かも知れない。

ここで一つのことに拘る「単称命題」に思いをは馳せてみれば「絶対に再発させないと誓え」と言いたくなる気持ちは解らないでもない。そういう危険性がある大学と対戦すれば、いつ何時大切な自校の部員が危険な目に遭わないとは限らないからである。だが、それを厳しく日大と学連に要求するのであれば、自分たちが率いる大学でも絶対に悪質な、相手の選手を傷つけるようなプレー(タックルだけと特定しないで)をさせないという保証をするべきではないのかという気がするのだ。

私はこの監督会の主張を聞いてふと感じたことは(方々から反論や非難されそうだが)「仮令あの毀誉褒貶相半ばした原子力規制委員会が安全を保証した原発であっても、それが存在する地方自治体(現実には新潟のように県知事らしいのだが)が認めない限り稼働を再開できないという案件に似ている気がした。福島の原発の事件は誠に重大であり、且つ件の内外どころか国外にまで色々な影響を与えた。それらは否定しようもない。

だからこそ、希代の悪宰相だった菅直人は福島から遙かに離れた静岡県の浜岡をいきなり停止させたし、数多くの要らざる規制を実施して「原子力発電所が如何に危険な存在で太陽光等の他のエネルギー源に転換すべしと唱え、多くの賛同者を創り出したし、電力価格を引き上げるという要らざる結果を残して退陣した。

私如きには福島原発の事故の本当の原因が何処にあり、どこを改善して取り除けば安全になるかなどは解る訳がないのだ。だが、原子力規制委員会が何を保証しようと「原発は危険極まりなし」と「原発」と聞いただけで反対する政党から市民までを創り出した。私にも反対する心は解らないではないが、現実の問題として火力発電に過剰に依存して二酸化炭素を吐き出し続けているよりも、原子力発電を活かして家計に影響する経済的な問題を解決する必要はあると思うのだ。

だが、私には福島のような事故が起きるか起きないかなどは解らない。悪質タックルの再発とても同様な要素があるのではないのだろうか。日本大学フェニックスが誓約し、学連が対策を講じたとしても、確かに如何なる条件の下で別種の悪質なプレーが出るかも知れない。だが、それと同時に他の大学も姿勢を正したフットボールをして、あのタックルにも似たようなプレーをしないと保証する必要があるのではないか。学連は原子力規制委員会と同様な役割を果たした以上、監督会は無理押しは避けて欲しい気がするのだ。