新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

流行語大賞

2019-12-03 08:06:21 | コラム
“One Team”だったそうだ:

残念なことに、私の英語の理解力ではこの言葉が採り上げられるようになって、マスメディアがしきりに引用するようになっても何の意味かが良く解らなかった。それが何時の間にか流行語大賞に「ノミネートされ」(馬鹿なカタカナ語で、素直に日本語で「推薦された」と言えば良いのだ)大賞となってしまった。その報道を聞いて、その使用例に小池都知事がオリンピック関連の談話で「ワン・チームとなって」と言っているのを聞いて、漸く“as one team”即ち「一つのテイームとして」という意味だと察しがついた。

それだったならば、何故我が国で広く用いられている「一丸となって」と言えば良いのではないかと思った。ところが、更にテレビ報道の解説を聞いているとこの熟語はラグビーの日本代表のクラブテイームのヘッドコーチのジョセフ氏が言い出した言葉で「外国人が半数を占めている集団を一つのテイームとして戦っていく」ということを言いたくて使ったのだと解った。即ち、英語を母国語とする人が使ったのだった。尤も、最早聞き取り能力が順当に衰えた私の英語能力では彼とその前任者のジョーンズ氏の訛りが強い英語は何を言っているのかほとんど解らなかったが。

ここから先は私の嫉妬に由来する言わずもがなの注釈であるとお断りしておく。ラグビーはそのゲームが如何なるものかを心得て観戦すれば、確かに面白い点が多々ある。だが、我が国での人気は野球やサッカーやバスケットボールやゴルフよりは高くはなかったと思っていた。だが、先頃のW杯開催ではマスコミの持ち上げ方も手伝って一気に異常なほどに人気が高まったのは結構なことだったと思う。そう意味では、マスコミに対しても協会から大賞を授与しても良いと思う。

テレ朝だったかの説明によれば、ジョセフ氏が「テイームの半数ほどを外国人が占めているのを一つに纏めよう」という意味で使ったとなっていたが、言いたくはないがそんなことは当たり前で、テイーム全体が一つに纏まるように指揮するのが監督とコーチ陣の務めではないのかと思う。恐らく「一丸」という観念がない外国人のヘッドコーチが我が国の業界に入って「それは大切なことだ」と思い当たったのだろうと邪推している。私は永年全員が一丸とはならない国の会社に勤務していたので、個人の能力依存の国の人には新鮮だったのではないかと思う。

マスコミはしきりにラグビーの代表が「ベストエイト」に入った成果とヘッドコーチを称えるのは一寸理解に苦しむ。何故かと言えば、ラグビーのW杯では予選は4組しかなく、そこで上位2テイームに勝ち上がれば決勝トーナメントに行ける仕組みだ。それは、そこには8ヶ国の代表しか上がって来ないのだ。称えるのながら予選リーグ全勝の実績ではないのか。サッカーのW杯では予選が8組もあるので、勝ち上がった時点では言うなれば「ベスト16」でしかないのだ。しかも我が代表は一度も「エイト」に残れていないで、対照的に弱く見えているのではないか。

最後に未だに「ラグビーのルールが解らないので・・・」と嘆いてみせる人が多いことを槍玉に挙げる。先日のTBSの「喝」の時間に登場した卓球の平野早矢香さんはこの不可解なことを言っていた。するとラグビー協会の理事でもある谷口女史(だったか?)が「ルールが解らないままにやっている選手は幾らでもいる」とたしなめられたのは面白かった。かく申す私は、恥ずかしながら1945年からやって来たサッカー即ちアソシエーションフットボールのルールブックを未だに読んだこともない。野球も通ぶって見せているが、ルールは長い年月かけて覚えただけだ。

これまでに何度も指摘して来たことだが、「ルールが解らないので」というのは誤りで「その競技の試合の進め方と得点の仕組みが解らない」と言う方が適切であると思っている。誰だってボクシングのルールなど知らずに見ていても、ノックアウトとなれば何れが勝ったかは解るし興奮するのではないか。フットボールではタッチダウンがあれば得点できたと解るのではないか。野球にはカタカナ語で「エンタイトルツーベース」となっているグラウンドルールなどというものまである。元の英語は「グラウンドルール・ダブル」だ。これを知らずとも、バウンドして塀を越えれば2塁打だと承知している観客は多だろう。

誰でも、競技を見るまえにルールの解説を聞かされたら観戦しようという意欲が湧かないのではないか。アメリカの小話に「野球がなかった時代に野球を考案したした人物が、此れ此れ然々のルールを設けた球技を広めようと思うが如何かと提案したところ、そんな面倒くさいルールの競技などやれる訳がないと一蹴された」というのがある。