新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領の言葉遣い

2019-12-08 10:29:50 | コラム
トランプ大統領が本当に意識して言葉を使い分けているのか:

掲題の点についてもう少し詳細に論じて見ようと思います。報道によればトランプ大統領は1日に数十本というTwitterを発信しておられるそうです。私にはTwitterが大統領の公式な発言の場であるか否かが私には解りませんが、ここでは大統領はその地位に相応しいのかと疑いたくなる、かなり格調低い表現を用いておられます。時には知識階級では絶対に使われることがないswearwordまで使われます。その典型的な例が我が国のメデイアも専門家の一部までも「野外便所」などと恥ずかしい誤訳した“shit hole”がありました。

敢えて確認しておけば、“shit“はswearwordの代表的とも言える言葉です。これまでに何度か失敗例として採り上げましたが、私はウッカリ副社長兼事業部長の面前で使って「苟も我が社の社員たる者が使う言葉ではない」と厳しく叱責されました。そういう性質の言葉です。

それを大統領ともあろうお方が使うとは如何なる意味かということです。だが、このようなswearwordを使った表現は彼の岩盤の支持層であるプーアホワイト、労働者階層、少数民族(=minorities)には直ちに理解されますから、恐らくそこを承知で使っておられるのでだと判断しております。話は本筋から外しますが、この辺りにアメリカの労働力の質の問題があるのです。

私は何度か申し上げたように、労働組合とは一線を画している会社側の一員として異例なことで、何度も組合員たちに品質問題や日本市場の重要さを説き聞かせるプリゼンテーションと話し合いの機会がありました。その結果で、彼らの中には英語も十分に解らない移民や初等教育を受けていない者たちがいることは解っていました。工場には彼らの為に作業のマニュアルが完備していますが、中にはそれが読めない者もいれば、読んだふりをする者がいるので困ると管理職から聞かされていました。

ここで念の為にあらためて説明しておきますと、アメリかでは職能別労働組合制となっているので、工場で働いている者たちはその職種別の組合に属しているのです。W社の製紙工場にはAWPPW(アメリカ西海岸紙パルプ労働組合とでも訳すか)の他に、電機労連や輸送の組合員が作業している形です。この点が我が国の組合と非常に大きく違っている点です。それに組合員は先ず会社側に転じることはないのです。ということは、会社側に組合の経験というか現場の経験がある者は先ずいないということでもあります。

私はトランプ大統領は彼の有力な支持層である労働者階層向けに、敢えて彼らが理解しやすい表現と言葉を選んでいるのだという解釈をしています。だが、大統領としての議会等での公式な演説では(恐らくスピーチライターが原稿を書いたのだろうと思いますが)格調高い表現を用いて語りかけておられます。即ち、トランプ氏は時と場合によってはキチンとした品位がある言葉遣いをしておられると見ています。

だが、テレビの画面に出るTwitterには「大統領ともあろうお方がこの表現ではねー」と眉をひそめたくなる言葉が使われている時があります。その場合は40%とも言われている彼の支持層向けの表現なのだろうと考えれば、敢えて非難することもあるまいと思っています。そういう見方をする点でYM氏と意見が一致したという意味で「使い分け」と表現したのです。だが、私には何れが彼の本来の言葉遣いかは対話したことなどないので解りませんが、何と言ってもIvy leagueのペンシルベニア大学経済学部の出身ですから、使い分けておられるのだと解釈しているのです。