新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月21日 その2 かんぽ生命の不祥事に思う

2019-12-21 14:56:14 | コラム
疑問点が多い企業だった:

目下、この会社では総務省の事務次官から転進した元官僚の役付役員と、現職の事務次官が機密漏洩というとんでもない事件を起こしていると報じられている。この会社ではそれ以前に不正な保険の取り扱いでも大きな問題を起こしており、内部での実態調査が進行中である。問題が多過ぎるようだ。だが、私はこの会社に対しては3年ほど前から限りない不信感を抱いていた。


その根拠は、家内が遙か以前にかけていた簡易保険の満期が近付き最早継続しないと決めていた時に、管轄する局(で良いのかな)の担当者の執拗なまでの継続の説得というか勧誘攻撃に負けて継続したのだった。その暫く後に持病のすべり症が極言まで悪化して医師から手術すべきであると診断された。そして手術を受けた。保険求償した。すると、調査員とか言う高齢の男性がやって来て「かんぽ生命からの依頼」と称して根掘り葉掘り失礼な質問を続けた。そこで私が割って入り「貴殿は我が方が保険詐欺と疑って来たのか」と尋ねると、私の質問が失礼であると言い返してきた。

余りの無礼さに呆れてその場で会社の担当者に電話させて「御社は我が方を保険詐欺と疑い、このような無礼な調査員を派遣したのか。それならそれで結構だから、この保険が満期になったら即刻解約するから左様心得よ」と告げると、テレビの刑事物ドラマと同様に「誰にでも伺っている質問であるから悪しからず」と言うのだった。「それならば、我が方が保険金詐欺をやるほど金に困っているかどうかを、この無礼者に見せるから」と言って預金通帳島の我が家の莫大な(?)財産を見せて「これでも僅かな保険金詐欺を働くと疑うか」と言って追い返した。

ところが、この調査員は別途家内の手術をして下さった大病院の先生まで訪問し、非常に失礼極まりない質問をしていたとその直後に判明した。先生は怒り心頭で「質問に答える気はない」とまで言っておられた。そこで直ちに担当者に電話して「あの大病院の有名な先生を疑ったとは何事か。貴方方は何をしたか解っているのか」と詰問した。そこで会社側も事の重大さが解ったようで、調査を打ち切ることとして保険金の支払いに応じた。そして調査員を厳しく叱責したようで、間もなく我が家に来て詫びると共に「良い勉強になりました」とまで述べて帰って行った。

これが私がイヤと言うほど見せつけられた、かんぽ生命という会社の実態なのかと思わざるを得なかった。お客を詐欺と決めつけて求償に応じないようとするのだ。

私はこの経験の他に、何処かのテレビ局がサラッと取り上げていた事が気になったいた。それは「民営後に元某大銀行の辣腕で鳴らした元頭取のX氏が社長に就任していたのだから、厳しいノルマが全営業担当者に課されていたのでは」という点だった。ここから先は余り掘り下げていくのは憚るが「かのX氏であればそのような経営方針で陣頭に立たれて指揮されたとしても不思議はない」と思っている。マスコミは不正があったの何のと、かんぽ生命の社員を槍玉に挙げるが、X氏についてはその後は全く触れようともしない。

その短い報道だけで、その後は触れないだけに「何かがあったのか」と推量したくもなる。いや、第一戦で奮闘していた担当者たちに少しは同情したくもなるのだ。このニュースを聞かされたので、あの時に我が家で粘りたいだけ粘っていた担当者の直向きさの裏には、そういうのっぴきならない事情もあったのかと考えているのだ。この件などは「民営化」という響きの良いコインの裏側には、そのような事情があったのかということのようだ。


グラフィックデザイナーのデザイナーのぼやき

2019-12-21 08:12:48 | コラム
建築のデザイナーは:

隈研吾氏が設計された新国立競技場が無事に予定の工期内に完成したのは、大変結構なことだったと思う。この隈研吾氏について、旧制中学以来の級友から「なるほど」と思わせられる話を聞いた。それは彼の勤務先だった銀行が隈研吾氏と付き合いがあって、設計を依頼した建物があったそうだ。だが、同氏のデザインした建築物は兎角維持費がかかってしまう結果になったということだった。新国立競技場も維持費だけでも年間20億円超との報道があったと思う。

そこで思い出したのが、もう半世紀以上も前になる、私がアメリカの会社に移るよりも以前の経験だった。私はある興味ある仕事を受注した際に、今風に言うならばグラフィックデザイナーと「コラボ」したのだった。ところが、そのデザイナーのデザインは2度3度とやり直しを命じられて、大いに手こずったのだった。そのデザイナーと偶々通りかかった国立競技場(その昔の明治神宮競技場)を仰ぎ見た彼は「建築デザイナーは良いな。一度設計してそのままで作ってしまえば、やり直しなどしようもないのだから」とぼやいたのだった。

私には建築設計のことなど皆目わからないが、事この新国立競技場についてはマスメディアの報道はどちらかと言えば絶賛の嵐である。やれ「我が国独自の木材を多用した」とか「座席の色彩が散らしてあって、空席があっても満員の如き感を演出している」とかである。維持費の件は何処かに行ってしまったようだ。だが、何処かのテレビ局が報じていた新たな問題点が出てきたのだった。それは、あの斬新な外観の設計には鳥が巣を作る場所が沢山あり、既にその害に悩まされているのだという。なるほど、あの近隣には明治神宮も外苑の森もあって、鳥は無数にいるのである。

隈氏はそこまで配慮されたのだろうかと思った。そうなってみれば、現時点では設計は愚か僅かな手直しでも困難だろうと思ってしまう。しかも、我が国の法律では鳥類は無闇に殺傷できないのだ。これでは維持管理費に新たに「鳥害対策費」を書き加えねばならないのではないのかな。この様子を見たあの当時コラボしたグラフィックデザイナーは、何と言うだろうか。