新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

9月17日 その2 アメリカの大手製造業に見る階層(塊)間の分断

2020-09-17 10:29:59 | コラム
アメリカの大手製造業会社の経営層には生産現場の経験者は不在:

私はこれまでに何度かアメリカの社会における階層間の分断というか、各階層即ち塊は全く別個の存在であり、その塊の間にはほとんど何の交流も、他の塊への移動もないと論じてきた。そこに今や分断即ち“division”だの“decoupling”などと言われ出したので、あらためて日頃採り上げてきたアメリカのビジネスの世界における分断乃至は格差(?)を考えて見ようと思うに至った。

アメリカの製造業では会社とその社員(給与は年俸制)と労働組合とその組合員(給与は年功序列による時間給)とは法的にも別組織であり、絶対にと言って良いほどこの両者の間で人事交流はごく例外的にしかあり得ないのだ。即ち、一旦組合員となれば、生涯会社員になることはないと思っていて良いだろう。労働組合は法律で保護された団体であり、しかも職能別になっているので、我が社の工場には紙パルプ労連、電機労連、施設労連、輸送労連から派遣された形の現場の労働者が勤務していたと思って貰えば良いだろう。

私が経験した範囲内でも、組合員の中には英語も思うように話せない移民もいれば、これまでに何度も採り上げてきた元USTRのカーラ・ヒルズ大使が指摘されたような、識字率に問題があるとか、初等教育も満足に終えていない者たちもいると言うことを看過は出来ないと思う。(彼等がトランプ大統領の確固たる支持層である)

職能別組合員が勤務していると、我が国では考えられないような事態が生じる。簡単な例を挙げれば、製紙工場の機械が電気系統の故障で停止した場合に、仮令それがソケットに繋がれているコードを抜くだけの行為にしても、紙パ労組の現場の者は手を下せずに、電機労組の者が駆けつけるまで待っていなければならないのだ。また、機械の故障を会社側の技術者が現場に出向いて修理すれば「労働阻害行為」として訴追されることまであり得るのだ。要するに、別組織に属する会社側は事故が発生しても拱手傍観しかないのだ。

こういう法的は労働組合が別組織であると言うか、会社との間が分断されているのだから、組合側が操業して不良品を製造してしまって得意先の損害を補償した場合には、組合側に製造の責任を負わせるのだ。その際には得意先から提示された不良品の証拠物件と当該製造の詳細なデータ等々を取り揃えて組合に提示して納得させねばならないのが建前あ。よって、我々第一戦にいる者はその為に得意先に願い出て詳細な資料を整えて「クレーム・ノーテイス」を提示するのだ。

我が国でも広く知られていることかと思うが、会社の営業成績や景気の動向次第では組合員はリストラで一時帰休(レイオフ)されても、食事券等を支給されて保護されている。だが、社員は何らかの事情で馘首されれば何の保護もない。労働組合員はレイオフされても建前では復帰できるのだが、年俸制の社員に復帰はあり得合いのだ。

上述のように、工場は本社とは別な組織であるから、工場で採用する技術者も営業担当者も事務員も全て「地方採用」であり、本社機構には組み込まれないのだ。極言すれば「別な会社に雇用された」と考えれば分かりやすいだろう。本部員とは別個の塊だという事。従って、本部のマネージャー級が工場に出張しても、現地採用の者たちと親しく語り合うとか、打ち合わせの場に呼ばれる事など先ずないと言える。工場の本当の(?)管理職は本部で任命した者が派遣されて指揮している。

こう言う事情だから、私も本部の一員なので建前では現地採用の人たちとは挨拶程度でしかしないし、組合員と語り合うことなどあり得ないのだ。しかし、我が事業部では副社長兼事業部長の英断で組合員を我々が努めて語りかけて教育し、品質改善が如何に重要か等々を積極的に言い聞かせてきた。それは、彼等は年功序列で時間給も仕事の内容も上がっていくので、自助努力の必要がなく「やる気」は乏しい者たちもいるからなのだ。彼らの意識改革させる必要があったと言うこと。

工場の事務系統には「絶対」と言って良いほど身分が上がらないというか、昇進しない(年俸は上司の査定次第で上がるが)中間層の事務職等がいる。この連中は立身出世は望めないのだから、給与に見合うだけの働きをしていれば良いと割り切っている、というか諦めていると私は見ていた。即ち、給与以上のことをやって見せようという意欲には乏しいのだ。この連中と本部の者との交流は先ずないのが普通だ。だが、彼等を雇用し十分に機能させないと事務や総務的なことが進講しないのだ。しかし、何処の工場でもこの分野は常に人不足に悩まされていた。

中間層は本部にも当然ながらいるのだ。彼等は概ね州立大学で“under graduate”と言われている4年制の大学卒だ。この者たちも永遠に身分の垂直上昇はあり得ないと言える。副社長兼事業部長とその直轄である、我が国の組織で言う部長級は完全に支配階層の者たちが占めていて、先ず何処かのMBA以上の学歴がある。私のように即戦力として中途採用で入ってきた者たちが実務を担当するのだが、その支配階層に入って行くことは先ずないと言って良いと思う。

しかも、副社長兼事業部長や営業部長級の管理職は内部から昇任することはあるが、ある日突然何処からともなくスカウトされた者が入ってくるかは予測できない。私はこのような一流私立大学のMBAで経営者側に入ってくる者たちは、精々アメリカ全体の人口の5%程度かとみていると何度も述べてきた。そういう者たちはそもそも富裕な良家の子弟であり、年間1,000万円もするIvy League等の私立大学の学費を手もなく負担できるような収入も資産もある連中だ。

私が今でも親しく交流している元上司の夫妻は共にMBAであるし、長男はハーバードのMBAで長女はバークレーの文学博士である。私の親分的な存在だった副社長も2人の子供をIvy Leagueに入れていたことは、当時でも年間2,000万円の負担である。これぞアメリカの支配階層の一員であり、知的階層なのだ。話は元に戻るが、このようにアメリカの製造業の会社の経営者で現場を経験した者は、上述の仕組みであるからあり得ないのだ。この辺りが各塊間の断絶であり、我が国との大きな文化の相違点である。


朝日新聞はどうする気なのか

2020-09-17 07:59:42 | コラム
今日から何を生き甲斐にして新聞を発行するのだろう:

彼等は「安倍の葬式はうちが出す」と言ってきた。そして、ありとあらゆる言われなき悪口雑言を安倍晋三総理大臣(当時)と安倍内閣に浴びせ続けてきた。その対象だった総理も辞任され、内閣も替わってしまった。今日から朝日新聞は一体全体何を社是として、生き甲斐としていく心算なのだろうか。是非聞かせて貰いたいものだ。その点では毎日新聞もTBSも東京新聞も同じ苦しみ?を味わっているのではないか。

安倍晋三前総理大臣は彼等に絶対に屈して見せなかった。ご自身で決断されて辞任されたのだった。朝日新聞から7年8ヶ月を労う記事があったかどうかは、朝日新聞を見てもいない私には解らない。何れにせよ、我が国の反日的報道機関があることは嘆かわしい限りだ。