新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

デイジタル化の考察

2020-09-27 11:19:38 | コラム
平井卓也担当大臣は5年を要すると言われた:

私には菅首相と平井大臣が何処までのデイジタル化を予定しておられるのなどは解らないが、テレビに登場される専門家等が言われることと、雑誌等に発表されたことを知ると、例えば韓国で既に実施されているような状況を目指すのか否かが分かれ目のような気がするのだ。政府は目下しきりにマイナンバーカードの取得を望んでいるというか奨励しているように思える。その狙いはデイジタル化が進めばそのカードが韓国式に言わば万能のカードのようになるのかと考えて見た。

余談だが、一時は頻繁にテレビに登場され「中小企業の保護は見要論」を唱えておられたデイヴィッド・アトキンソン氏は「試しに取ろうと思ったら区役所の本体に行かねばならなかったし、申請したら2週間後に取りに来いと言われた」と厳しく非難していた。我が家から区役所本体まで行くとなると交通の手段は30分ほど歩くか、タクシーを利用するしかない不便なところなので、意欲が一気に減退する。

例えば、そのカードが健康保険証になり、病院の電子カルテの情報も全て記録されていることになる他に、運転免許証即ち本人確認の役目も果たし、住民基本台帳の役割も担い、年金機構の資料も全てそこに記録されていて支給も出来るし、介護保険証の役目も果たす等々である。勿論、何とかpayの役目を担うのかも知れないので、恐らくスマートフォンと連動するのだろうと疑うのだ。即ち、未だに携帯電話も持たず、PCもいじっていないような超後期高齢者には辛い時代が来るのかも知れないのだ。

そこで、私が現在(最近はテレビに登場される有識者でも平気で「今現在」だの「今の現状」などと言うのはおかしいと思うが)かお世話になっている2つの大病院では「再来受付機」から始まるシステムが異なるのだ。一方では再来受付機に診察券を入れると当日の予約の内容を記載したA4判の会計票にもなる用紙が出てくる。月の初めにはその用紙に健康保険証の内容を確認して貰う為にカウンターに並んでから診療科に向かえるのだ。血液検査の場合は受付機に診察券を入れて順番を採らねばならない。診察を終えて処方箋が出てから会計課に行って自動支払機の順番の感圧紙の受付票を貰って待っているのだ。

別の病院では再来受付機から出てくるのは当日の受付番号で、この番号が診察の順番待ちにも会計の順番にも通用する仕組み。健康保険証は診察を終えて関係書類一式を会計課に提出する際に始めて添付するのだ。自動支払機の順番は再来受付機の番号で表示される。ここで私が大変なことだなと思ったことは「両病院の再来受付機から始まる手順が全て異なっているものを、マイナンバーカードを使って統一する為には全てのシステムの変更も兎も角、システムを動かしているコンピュータその他のハードを全部入れ替える投資が必要になるのではないかと言うことだった。念の為に付記しておくと、新宿区だけでも大病院は7つある。

大病院はそれは物理的に可能だろうが、開業されている個人医院やクリニックでは今でも手書きのカルテであるところは多いと思う。医療事務のソフトは勿論存在しているのだろうから、会計はPC?を使っておられるのは普通のようだ。中には予約票を出して下さるクリニックもある。問題だと思う点はこう言う医院やクリニックも一括でデイジタル化してしまうのかという疑問だ。消費税を10%に挙げる際に軽減税率を持ち出して、個人商店に悲鳴を上げられて新規のレジスター導入の援助をしたような政府の出費を伴うか、お医者様たちの経済的な負担が生じるのではないかと言う意味だ。

もっと簡単な例を持ち出せば、何とかpayをマイナンバーカードを使って普及させるとした場合に、それが中国や韓国で既に普及しているようなスマートフォンでQRコードを読み見込ませるようなシステムを構築した場合には、古き良き二つ折りの携帯電話も持っていない後期高齢者層にもスマートフォンを持たせて、NTTドコモその他を喜ばせようとすることになりはしないか。換言すれば、私が何度か指摘してきた「スマートフォンによる包囲網」を一層大規模に広げていくことになりはしないかと恐れるのだ。

だが、ここにも気休めはある。平井大臣は5年間を要すると言っておられたのでは、私はその頃には93歳だろうから、そこまで長生きできる保証もなければ、そこまでの計画もない。大体からして、現在の生活ではPCだけで手一杯でだし、携帯電話にかかってくる電話だった月に1~2回だ。それは交信する親しい友人も誰にも先立たれてしまったのだから。もしもそこまで長生きしていたら、菅内閣が強力に推進されている携帯電話の料金を引き下げて下さった後だろうと期待している。

なお、カタカナ語排斥論者の私は「デジタル」(digital)というカタカナ表記は採らない。「デイジタル」の方が英語の発音に近いから