新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月6日 その2 アメリカ大統領選挙の混乱に思う

2020-11-06 16:42:32 | コラム
誠に嘆かわしく悲しい思いだ:

誰の責任に帰するべきか知らないが、アメリカの大統領選挙の投票後に起きているような滅茶苦茶とでも言いたくなるような状態は「呆れた」などを通り越して、悲しい思いすらある。そこで、この思いを往年の同僚にぶつけてみた。その内容を見て頂こうかと思った次第だ。日本語にすれば、大要以下のようなことを送信してみた。

「何という目茶苦茶な状態か。今や衰えてしまった私の英語力では、このアメリカの混乱の状態を表せるだけの適切な表現が思い浮かんでこない。貴君も知っての通り、アメリカ合衆国は私が尊敬し良い国だと心底から思ったからこそ、22年半も我が社の一員として身を粉にして尽くしてきたのだ。そのアメリカがこんな状態でどうするのか」とでも言えば良いのだと思った次第だ。なお、「何という目茶苦茶な状態」が肝心な点なのだ、英語では“What a mess!”として置いた。

“mess”はジーニアス英和にはまさに「めちゃくちゃ」と出ているが、“chaos”とも”confusion”とも言い換えられている。“chaos”は「無秩序」か「大混乱」で良いだろうし、“confusion”も似たような意味でもあるが、“disorder”(=混乱している状態)に言い換えられると思う。同僚からはこれらの単語も使って私の嘆きを表現した。彼からは「これらの三つの言葉が当て嵌まる状態だと思う」と返信が来ていた。余計なことだが、ここでカタカナ語批判をしておくと「カオス」というのは“chaos”なのだが、正しい発音は「ケイアス」に近いのだ。

トランプ大統領の本日の2度目のスピーチは、バイデン候補というのか民主党の工作なのか、私などが知り得る性質ではないが、「民主党側の不正があって、なかったはずの票が忽然として現れるというようなことがあった。彼等が選挙を盗もうとしたのだ。正式に数えれば我が方の勝利だ」と強調されていた。それが正しいか否かは別にして、私にはトランプ氏の語り口が非常に控え目というか、穏やかだったのが不思議だった。あのキャンペーンの末期にバイデン候補を罵っていた人とは別人の感があった。もしかすると、“low key”(地味な)だったのは、大衆に訴える為の作戦かと解釈した。

何れにせよ、トランプ大統領がいくつかの州で訴訟に持ち込まれた以上、そう簡単に結果が出ないだろうから、気長に待っているしか無いと思う。それにしても、アメリカはどうなって行くのだろうか。そこが気懸かりだ。


カタカナ語を批判する種は尽きない

2020-11-06 10:58:43 | コラム
誰が決めているのだろう:

つい先日のことだった。Prime Newsに同時通訳の女性が出ておられて、アメリカから中継されたスピーチを通訳された。その際に大袈裟に言えば驚愕させられたことがあった。それは(余談だが、現時点で未だ得票数が確定していない)“Pennsylvania”を「ペンシルベニア」と言ったことだった。正式な発音からすれば、これは明らかに誤りであるテレビ局というかマスコミ御用達の「カタカナ語」である。私には何故このような誤った表記乃至は発音をするのが理解できなかった。

原語に近いのは「ペンスルベイニア」か「ペンソルベイニア」だと思う。何処の誰が、如何なる根拠で「ペンシルベニア」としようと指示したのだろう。しかも通訳を生業としておられる方までが、如何なる信念か根拠でマスコミに妥協して「ペンシルベニア」と言ったのだろう。あの中継では事前に打ち合わせが出てきていたとは思えないので、通訳の業界では「ペンシルベニア」と言うべしとの合意が成り立っているのかと疑った。彼等がカタカナ語と妥協してどうするのかと、腹立たしかった。敢えて言うが「マスコミには英和辞典くらい見ていないのか」と思う。

話題を変えよう。毎年のことだが「流行語大賞」という季節がやって来た。テレビ局では何の躊躇いもなく「30語がノミネートされました」と報じている。最早この世には「推薦」という難しい漢字を使った熟語は消え去ったようである。それだけではない。“nominate”は動詞である。その後に「されました」とつけるのは文法的におかしいのだと、この際小うるさいことも言って置こう。テレビは新聞ではないのだから「推薦」と言ったって、何の差し障りもないと思うのだが。何!聞いた方が「水洗」か「水仙」のことと思うかも知れないってか。

彼等は次に「こういうワードが」とも言った。何故「言葉」や「言い方」や「熟語」とは言わないのだろう。彼等もそうだが、国会議員なども屡々「キーワードがどうしたこうした」と言う。私は英語ばかりで暮らしていた20年以上もの間に“key word”という表現を使った記憶がないので、辞書を引いてしまった。しかも、これが一つの単語か2語の組み合わせかも知らなかった・その意味はジーニアス英和によれば「(解釈上の)かぎとなる語」とあった。Oxfordには“a word that tells you about the main idea or subject of ~”とあった。勉強になった。

「我が国では」と敢えて言うが、“word”を当たり前のように「ワード」とカタカナ表記する。だが、言語での発音は「ウワード」に近いのだ。理屈を言うと「ウ」のところで口を両側に引っ張るように開くのが先で、それから「ワード」と言うのが、正確な“w”の発音だ。この発音を正確にする為には、頬の筋肉を強化しておかねばならないのだ。これが出来るとか出来ないではなく、学校では「こうするものだ」と教えるべきだろう。

似たような言葉に“ward”というのがあるし、“award”というのもある。いや、戦争という意味の“war”もある。ここから先は混乱しそうだが、良くお読み願いたい。“ward”は「ウオード」が最も近いカタカナ表記であって「ワード」ではない。“award”は困ったことにマスコミ用語では「アワード」にしてしまったが「アウオード」が原語に近いのだ。妥協しても「アオード」だ。戦争の“war”を「ワー」と読む者はいないが、何故か“award”を「アワード」にしてしまうのは、余りにもお粗末ではないか。英語教育の欠陥だと思う。“forward”は何と表記すべきかお考え願いたい。

英語という言葉はかくも複雑というか、不規則な点が多いのだ。そういう辺りをキチンと把握して教えるべきだし、カタカナ語製造業者も弁えて、罪なき一般人を混乱させてはならないのだと自覚すべきだ。