新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日本シリーズ第3戦観戦記

2020-11-25 09:35:58 | コラム
最早パシフィックリーグが格上か否かの問題ではないのでは:

4対0というホークスの3連勝という結果で終わったが、3試合を通じて総合的に見れば「強い方が勝っただけ」と、簡単に纏められると思う。昨日も批判した原監督が移動日に「猛練習だ」と言った辺りに、何とも例えようもない時代遅れの精神主義を未だに引き摺っていると見た。このような「救いがないのではないか」という感覚が3連敗の惨状を生じさせたのだと見ている。あの歴然たる(短期勝負における)力の差は、猛練習などで補える性質ではない。原監督と雖もその辺りは承知した上で言っているのだろう、選手たちの手前。

私は「勝負はそのテイームの欠陥である者の所を衝かれて決まる。勝負とはそういう風に意地悪く出来ているのだ」と信じている。実際に高校3年の時の国体に出られるか否かを決めるだろう準決勝戦で、我が方の穴から2失点して負けた経験があった、サッカーの話だが。昨夜の第3戦では私が欠陥だと指摘しておいた2塁手の吉川尚輝の守備にほころびが出た。私はその瞬間に「これで試合は終わった」と呟いていた。あの失敗は足が速すぎる周東が放ったゴロを飛び付いて捕ったまでは良かったかも知れないが、あの態勢から1塁にな投げた判断が悪すぎた。一本目、失格である。

原監督というか誰か守備のコーチの責任かは不明だが、基本を叩き込んでいないのだ。故野村克也が何と言ったかを、私はこれまでに何度も引用してきた。それは「ゴロの捕球の練習は正面等に来る球筋を読んでその線にいち早く入り、腰を落として正確に捕球する事で十分。離れた場所に飛んだゴロを飛び込んで捕るのは野球の技術の問題ではなくて身体能力の問題だと、繰り返して往年のブラッシングゲーム監督に教え込まれた」なのだ。吉川尚は飛び込んで捕ることを目指す身体能力を鍛えてあっただけで、あの態勢から投げた辺りは頭脳的には未熟だったということ。

今になって言っても仕方がないが、あの3回の裏に入る前の私の「閃き」は「8番からの打順で2アウトの後で周東に回るのは、彼を出せば次に中村が出てくるので面白い展開になるのかも」だった。果たせるかな、2塁まで行っててしまった周東をサンチェスが気にしたのか、「ここぞ」という時に打つ危険極まりない中村にホームランを打たれてしまった。3回にして取り返しが付かない試合の流れを決めてしまった。吉川は幾ら責められても仕方がないが、では1塁に投げずにいたら結果は変わったいたかと考えると、周東に盗塁をされれば同じ事だったかも知れない。

次なるジャイアンツの欠陥は前夜に宮本慎也が指摘した「セントラルリーグにパワーピッチャーがいないから」という問題である。2試合とも150 km以上の速球を当たり前のように投げ込んでくるホークスの投手たちに、ジャイアンツの打者は対抗も抵抗も出来ていなかった。昨夜のムーアも7回を終わるまで直球は概ね150を超えていた。坂本などはその速い直球でインサイドを執拗に攻められた後のアウトサイドに流れるボール球で討ち取られていた。この点はホームランは打てるが未熟な打者の岡本も同様。甲斐の組み立てか、スカウテイングかの何れかの勝利ではないか。

今更ホークスの長所を採り上げて賞賛しても余り意味がないと思うので、ジャイアンツの問題点を挙げて、原監督とコーチ陣に反省材料を提供しよう。先ずは1と2番打者の吉川と松原。珍しく自前で育ててきたのは良かったが、ホークスを相手にして勝てる材料となれるような次元にはほど遠い。経験を積ませて来年に期待するかという程度のタマ。他に駄目だったのが、原監督が希望して取ってきたアメリカ帰りの中島。無残なほど役に立っていない。精々毎試合デッドボールを貰って出塁したことが貢献度。世代交代させろ。

宮本投手コーチは低次元だと証明しつつあるセントラルリーグでは使えていた投手は育てたようだが、ホークスの強打を誇る左打者に左投手を当てても効果が出なかったことを立証してしまった。これは飽くまでも結果論だが、サンチェスがあれほどホークスを抑え切れたのだったならば、何故第2戦に私が通用すまいと酷評した今村を出したのかという疑問が出てくる。私はシーズン中のサンチェスを何度か見て「結構、嫌らしい投手だ」と密かに評価していた。本日は畠だと言うが、思い切って菅野を当てて、後は継投に継ぐ継投にでもしないと、ホークスを止められないと思うがね。

ここまででフットボールの指揮系統の考え方を当て嵌めてみると、ジャイアンツの失敗は全てオフェンスコーチとデイフェンスコーチのゲームプランの構成の不備にあると思う。監督(=ヘッドコーチ)はコーチ陣の作戦を信じて任せているのであり、監督が選手たちに細かい指示を出しているのが、我が国の野球も問題点なのだ。責任と権限の分担がハッキリと決められていないとしか見えない。私が守備のコーチだったら、吉川を下げていたし、攻撃のコーチだったら中島は下げていただろう。バッテリーコーチならば大城も替えていただろう。

ジャイアンツが4連敗を何としても回避したければ、和田には手が出せそうに見えない左打者を引っ込めることだが、ホークスがそこを読んで早めにパワーピッチャーに切り替えてきたとすると、第3戦までと同じ事になりそうだ。昨日は神がかりの栗原を押さえ込めたのは良かったが、代わりに中村晃に打たれてしまった。彼らに気を取られていると、柳田、グラシアル、デスパイネがいるのだ。周東だけ1安打に抑えていても勝てなかったことを忘れてはならない。樂天で1軍にいなかったウイーラーだけが打点を挙げているのを、恥だと思っているのか。