新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

再び“r”の発音について

2022-01-26 10:03:43 | コラム

何でこんな事に気が付かなかったのかと反省:

私は長いことカタカナ語製造業者たちが「何故“r”を『ル』と表記するのか」と批判してきた。だが、どうしてそうなるのかとぼやくだけで、一向にその原因を究明できずにいた。そんな不甲斐ない私だったのだが、ある何でもないことが切掛けとなって、漸く「これが原因だろう」と思うことを見出したのだった。

そこに行く前に「ル」となっている例をあらためて採り上げておこうと思う。昨日も触れたことで、五つある母音のa、e、i、o、uの後に“r”が来た場合には、一部の例外を除いては「アー」という発音になるのだ。だが、“or”の場合には昨日も取りた“retort”(=レトルト)のように「リトート」と「オー」になるし、portやsortやsportsのように「オー」なのだ。

だが、conductorやlaborやmotorやtutorの場合には「アー」なのだ。「コンドクトル」、「ラボル」、「モートル」、「テユートル」とはなっていない。余談だが、laborはアメリカ語で英連邦ではlabourとなっているし、我が国の厚生労働省の英語表記は何故かLabourなのだ・・・。矢張り英連合王国崇拝なのかと疑っている。

私が気付いた点は「昭和20年4月に初めて敵性語の英語を教えられたときに、アルファベット26文字の発音の中で“r”は「ル」だとなっていた。だが、今となって解ったことは「ル」となるのは、その後に母音が来た場合のみであって、五つの母音の後に付いた場合には上記の例のように「アー」となるのであり、Modernaを「モデルナ」としたようにはならないと言う簡単なことだった。彼ら製造業者のおかしな点は「モデルナ」としているにも拘わらず、containerを事もあろうに「コンテナ」にしたが「コンテイネル」とはしなかった矛盾だ。

重ねて言えば「“r”が母音の前にある時は『ル』となるが、母音の後に付いた場合には『アー』乃至は『オー』となること」なのだ。また、昨日も指摘したが、アメリカの英語では母音の後の“r”を響かせる発音をする場合があるが、決して「ル」とまで明らかにはしないのだ。“center”は絶対に「センテル」とならないのだ。また余談だが、英連邦では“centre“という綴りだが「セントル」とはならないのだ。

更にもう一つ、「ル」としてしまうことの一因だろうと思うことを挙げておこう。それはアルファベットの“r”は広く我が国では「アール」とされているようだが、正確に言えば「アメリカでも英連邦でも『アー』と呼ばれていると思って誤りではない」のだ。Oxfordの発音記号には“r”を響かせることもあるようになってはいるが。「何でこんな事に気が付かなかったのか」と反省した。少しこじつけめくが「『アール』だと思っているから、カタカナ表記でも『ル』としたがるのではないのか」と見ている。

何れにせよ、私は英語の教育でこのような点を細かく教えていないから「エネルギー」や「レトルト」や「モデルナ」のようなおかしな表記になってしまうのだと思っている。

独り善がりかも知れないが、これを以て結論としようと考えている。今年の入試センター試験の英語も一寸だけ見たが、「こんな難しいというか面倒な試験問題を出して、一体全体何を判定しようというのか」と理解不能だった。もしかして「英語の言語学者養成試験かな」とも疑った。そんなことを試す前に「何故『ル』になってしまうのか」を追及しておいて欲しかった。