我が代表の惜敗か、ブラジル代表の辛勝か:
昨6日の気の毒にも雨中の熱戦は、ブラジル代表のPKによる1点だけでの勝利に終わった。私はブラジルについてはFIFAのランキング1位という事と、Neymar Jr.という世界的な名手がやってくるという意外に全く何らの予備知識が無かったので、我が方の言わばA級の代表たちが何処まで通用するのだろうかという一点だけの興味と関心で観戦していた。
また、B級代表が23位の貫禄を見せて、50位にパラグアイに対して直向きなサッカーをやって見せて完勝していたので、A級だったら第1位に何処まで通用するのかとの興味と期待感もあった。
終わってみれば、「善戦健闘だった」とか「世界最高の選手たちを揃えたブラジル代表に流れの中での得点を許さず、PKの失点のみに止めた守備力を褒めたい」とか「世界第1位にあそこまで戦える所までの力が付いてきたのは誠に結構」であるとか「矢張り、上を見ればキリがない。W杯で8強か16強に残るには未だ力不足かも」等々色々な批評が出来るかも知れないが、率直に言えば「やれば出来るかないか」が偽らざる感想だった。
何が言いたいのかといえば、先日のB旧代表たちと同様に「オフェンスでは無責任で無駄なパパス交換がなく、直向きに攻め上がろうという意図が明確だった事」、「無駄な後ろ向きのパスを出して逃げる事なく、果敢に世界最強テイームの強力なデイフェンスに立ち向かっていった事」の他に、古い言い方である「限りある身の力試さん」とばかりに、三苫君のように立ち向かっていった精神はとても良かったのだという事。
私にはブラジル代表が何処まで本気で真剣にサッカーをやっていたのかは、テレビ観戦では把握できなかった。だが、相当程度の力を出して当たってきた事は確かだと思う。だが、ネイマールの動きなどを見ていると、点を取ってやろうというのではなく、専らゲームの組み立てに注力していたかのようだった。
それも、別の見方をすれば、我が方が常にダブルテイーム乃至はそれ以上の人数をかけて彼に当たっていったので、壊されるような危険を回避して組み立て役に回っていたという事かも知れない。だから、得点がなかったのかも知れない。私はもっと超美技を見せて貰えるかと期待していたが、それは僅かに前半早々のヒールパス一本のみに終わったのは期待外れだった。
我が方は遠藤航と吉田麻也を中心にした懸命の守りで、ブラジルに流れの中での得点を許さなかったのは良かったと褒めても良いだろう。だが、勝負というものでは「如何に良く守っても、勝ちには直結しない」のである。問題点は、矢張り攻撃の組み立てをする中心選手が不在だという辺りになるだろう。
アナウンサーは何度か「大迫がいないこと」に触れていたが、それは兎も角「決定力があるFWが育っていない」と「決定的な形の組み立てが出来ていない」点を何とかすべきだろう。決定力があるFWという点で考えれば古橋、前田大、上田辺りでは「帯に短し、襷にも短し」の感は免れないと見た。
特に前田大然と三苫薫の俊足振りは認めるが、サッカーはトラック種目ではないのだと知れ。足が速い事が先に出てくるのではないのである。「気が付けば足も速かった」ということになった大谷翔平を見よという事。伊東純也のように足が速いと持て囃されたものだったが、最近になって漸くサッカーも上手くはなって点も取れるところまで来たが、相変わらず「クロス」は不正確の儘という例もある。三苫は周りの選手を活かす力が不足していると見た。
吉田麻也は「問題点が見つかった」と言っていたそうだが、デイフェンスは先ず評価するとしても、オフェンスの面では能力を決定的な形を組み立ての面でも、個人の能力を向上させねばならないという点でも、より一層の訓練が必要だろう。言いたい事を言えば「大迫勇也が戻ってくるか来ないか」という問題ではないという意味だ。
上記の要改善の諸問題は、代表に選ばれてきてから鍛えるべき事ではないと見ている。森保監督の責任ではない。私の持論は「子供の頃に変な基礎と基本技の教え方をしてしまえば、大人になってからは修正しようがないのだ」なのである。スペインのサッカーで育てられてきた久保建英は「デイフェンスをしない」とかで使われないようだし、昨夜も遂に出てこなかった。要するに「子供の頃にキチンと基本技を繰り返し仕込んでおく事」なのだと信じている。