新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

“handgun”を買いに行くので付き合って

2022-06-06 08:12:45 | コラム
アメリカの銃社会:

今回は回顧談である。最近はアメリカの方々で銃の乱射事件が発生し、またまた「銃の所持を規制せよ」との声が上がり、NRA(全米ライフル協会)が当然の事で反対している。このような事件が発生するので、さぞかしアメリカは治安が悪い国のように思われているのだろう。私は現実にそういう目に遭った事はないが、街中を徒歩で移動するときなどには常に警戒態勢だった。

先ずは、最も普及していると思われる「拳銃」とは如何なる物を指して言うのかを考えてみよう。Wikipediaによれば拳銃とは“防衛省がけん(拳)銃を英語のpistolに対応する語とし、「片手で保持して照準し,弾丸を発射できる銃。」と定義している”とある。更に、「拳銃とは英語の“handgun“の意訳である」としてあった。何だか良く解らなくなったが、あの小型の銃は「ピストル」と呼んでも「拳銃」と呼んでも良いようだと解った。

ショッピングモールで:
そこで、件名の“handgun”の話に行こう。1976年の秋頃だったと思う。本部の若手のMBAの精鋭が放課後に「ハンドガンを買いに行くから付き合え」と言うので付いていった。何処に行くのかと思えば、ショッピングモール内のスーパーマーケットに入って行くのだった。「こんな所で買うのか」と尋ねてしまった。なるほど、そういう売り場があって、何か証明書のようなものを見せて一つ買っていた。

ハンドガンを触らせて貰ったかどうかの記憶はないが「アメリカではピストルをスーパーマーケットで買えるのか」とただただ驚いているだけだった。彼に言わせれば「持っているのは当然の事で、それが安全対策である」とのことだったが、アメリカ本土進出4年目の私には、未だピンとこない衝撃的な出来事だった。

ハンドガンは何処に置いてあるのか:
アメリカに馴れて来て、その銃社会の事情や治安状態という問題が解ってきた後での事だった。永年アメリカと我が国で行動を共にして来た技術サービスマネージャーに何気なく「自宅では何処にハンドガンを置いてあるのか」と、「持っているのか」という質問を省略して尋ねてみた。答えはアッサリとしたもので、「ベッドサイドの引き出しの中。ここが最も万一の時に便利だから」だった。

彼が住んでいるのは人口が3万人程度の、我が社の大規模製紙と製材工場の他に、中小の製材会社があるだけの長閑な田舎の町である。その治安の良さは野外の駐車場に車を置いても誰もロックしないほどなのだ。そんなところに住んでいても、ハンドガンは持っているのだ。矢張り、誰しもが所有しているものだと思わせられた。

道に迷って:
2011年の11月だった。アメリカはカリフォルニア州にSM、YM、MMこと小生が集合して、3M Clubを開催したときの事。YM氏と私は滞在中のガーデイナのホテルから約1時間半のドライブで、Diamond BarのSM氏の自宅に集合する事になった。YM氏の運転で出掛けた。ところが、彼がSM氏の自宅の住所を誤ってメモしていた為に、直ぐ近所まで来たとまでは解っていても、迷ってしまった。

そこは当然の事で住宅街の中なので、人っこ子一人歩いていない。YM氏は迂闊に個人の住宅に向かっていって尋ねるのは危険だから、「何処かで人が出てくるまで待とう」と路上駐車となった。アメリカならば当然の事で、増してYM氏が当時はフロリダに住んでいたし、アメリカの治安問題には詳しいのは当然だった。暫くして、直ぐそばの家から男性が出てきて、車の掃除を開始した。YM氏がダッシュで近付いて助けを求めた。

幸いにして我々はSM氏の自宅の電話番号は持っていたので、(我々は携帯電話などと言う便利な道具を持ち合わせていなかった)その家から照会して貰うと、何と我々が駐まっていたところの目の前の家がそうだったのだ。SM氏からは「見慣れない車が駐まっていると承知していたが、敢えて外に出て声をかける事はしなかった」と聞かされたのだった。

言うまでもない事で、上記のYM氏が危険を回避しようと言ったのは「ウッカリ近付けば銃で撃たれる事があるから」という意味である。SM氏が出て来なかったのは同じような理由だ。こういうことをアメリカ人たちは“Welcome to the United States of America!“などと言うが、意訳も出来ないような微妙な表現だろう。