新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月22日 その3 「企業のコスト上昇分の価格への転嫁動向」は「その2」であるべきでした

2022-06-22 09:21:19 | コラム
各位

謹んで訂正します。先ほど掲載した「企業のコスト上昇分の価格への転嫁動向」は6月22日 その2とすべきでした。粗忽さをお詫びします。

真一文字拝

企業のコスト上昇分の価格への転嫁動向

2022-06-22 08:42:32 | コラム
100円のコスト上昇の売価への転嫁は44円:

帝国データバンクが6月3日から6日までの間に実施した「価格転嫁」への調査では「自社の主な商品・サービスにおいて、仕入れコストの上昇を販売価格やサービス料金にどの程度まで転嫁できているか」を尋ねたのだった。

その結果では「多少なりとも価格に転嫁できている」企業は73.3%に達していた。しかし、内訳を見ると、仕入れコストの上昇分に対し「全て転嫁できている」は6.4%に止まっていた。続いて「8割以上できている」企業は15.3%、「5割以上8割未満まで出来ている」企業は17.7%、となった。一方では「全く転嫁できていない」企業も15.3%に上る。

総じて見ると、価格転嫁をしたと考えている企業で、コストの上昇分に対する販売価格への転嫁の割合を示す「価格転嫁率」は44.3%と半分以下に止まっている。これでは仕入れコストが100円上昇した場合は、そのうち44.3円しか販売価格に反映できていなかったことを示している。

一部の企業からは「零細企業の為仕入れ価格の上昇分を販売価格に100%転嫁しなければ経営を維持できない。今後も上昇分は販売価格に転嫁していく」(家具・建具卸売)と言った声が聞かれる一方、「何とか値上げしたいが、取引先の了解を得られない」(梱包)や「価格交渉を進めたいが、他社との競合もあり困難な状況」(印刷)などと厳しい声も上がっている。

上記の調査の背景には、「新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻などの情勢を背景にした原材料費の高騰に加え、極端な円安の進行などの様々な要因で仕入れコストが上昇している。経済産業省はこうした状況に鑑み、下請け企業がコスト上昇分を取引価格に転嫁しやすいようにする為に、5月24日に開いた中小企業政策審議会の専門委員会に「下請け中小企業振興法」の基準改定案を示したこと」があった。

私には上記の零細企業の声の中で「何とか値上げしたいが、取引先の了解を得られない」(梱包)や「価格交渉を進めたいが、他社との競合もあり困難な状況」(印刷)辺りが、我が国独得の二重三重の下請け構造の下にある業者が何時までも直面している困難な状況を表していると思って読んだ。デイビッド・アトキンソン氏ではないが、我が国の会社の99%が中小業者である以上、ここすとjyの問題点がここにも現れているのだろうと考えさせられた。

参考資料:紙業タイムス社刊 Future誌 22年6月27日号

アメリカのインフレーションの状況の続編:

2022-06-22 07:32:10 | コラム
従業員の給与を上げる為に値上げ:

昨21日に紹介したアメリカの元の同僚の意見の中で、私が重要なことだと感じた事柄があった。それは、

「アメリカでホテルの部屋代が値上げされている一つの理由は、それによって収益を改善し給与を上げて、不足している従業員がより多く集まるようにしたいとの狙いがあるようだ。」

との記述である。私には「これこそが経営者のあるべき姿である」と見えたのだった。

我が国でも現在数多くの業種のメーカーが、高騰するコストの負担に耐えかねて10%かそれ以上の値上げを打ち出して、マスコミが何のかのと騒いでいる。だが、それらの値上げでも上昇したコストを補い切れておらず、収益の改善にまで至っていない模様で、給与の増額にまでは至っていない様子だ。

私が先日取り上げたアメリカのホテルの値上げは何と50%だった。その幅を私の同僚は上記のように解説してくれたのだ。私は我が国の経営者を屡々批判してきたが、このアメリカのホテルの一例を見ても、単純に二進法的に物事を考えるアメリカ人の方が、経営者のあるべき姿を示していると見えるのだ。

我が国の経営者たちが思い切った値上げに踏み切れない心情と、アメリカとの文化と市場の相違点は理解できないでもない。だが、彼らにはもう少しの決断力と割り切りを求めたくなる。別途採り上げようと考えているのだが、帝国データバンクの調査では「100円のコスト上昇が売価には44円しか反映できていない」のだとあった。経営者たちの奮起を促すのは見当違いになるのだろうか。