新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2021年度世界の紙パルプメーカー上位75社

2023-01-17 08:12:00 | コラム
今昔の感に堪えない統計だった:

この度、アメリカの紙パルプ技術協会(TAPPI)が発表した世界の上位75社の詳細が、紙業タイムス社の「FUTURE」誌23年1月16日号に掲載された。一読しての率直な感想は「今昔の感に堪えない」なのだった。

それと言うのも、以前は常に上位にあったWeyerhaeuserの名は最早見えなくなっているし、多くのアメリカのメーカーの社名を見ると「はて、これは何処と何処の合併だったか」と混乱するばかりになってしまったのだから。

それもそのはずで、私がリタイアしてから今年で29年目になったし、その間にアメリカというか世界の紙パルプ産業界では壮烈な「業界再編成」が急速に進んだのだから。その結果というか何と言うか、世界最大の製紙国は中国であり、アメリカが2位で我が国は3位なのだ。またこの統計を見れば、21年度の世界最大の生産会社は中国の玖龍紙業で、プロクター・アンド・ギャンブルを除く紙パルプ製品の売上高世界第1位のインターナショナルペーパー(IP)は第2位だった。

紙パルプ製品の売上高で第3位、連結売上高では5位に入ったアメリカのウエストロックには、確か我が古巣であるMead Corp.もその一部分になっていたはずだったかなと承知しているように、ウエアーハウザーは6年前だったかに紙パルプ分野から完全に撤退したし、IPも既にアメリカ国内では印刷用紙の生産はしていない。印刷用紙と情報用紙の大手メーカーだったMeadも業界再編成の荒波に呑み込まれて、歴史ある社名が消えてしまった。

売上高の上位10社を見れば、アメリカからは3社で、中国が2社で、日本からは王子1社のみとなっていた。尤も、アイルランド国籍になっていたスマーフィット・カッパグループは、私はアメリカの企業だと認識しているが。

日本のメーカーでは紙パルプ製品で王子が第4位、日本製紙は13位だった。案外だったと思わせられたのは中国のメーカーで、上位10社の8位に玖龍隆紙業だけがあったことだろうか。但し、年産100万トン以上の大手ともなれば、1位が玖龍紙業、理文造紙が7位で、8位に山鷹国際が登場。王子は9位で、日本製紙は17位だった。

因みに、この上位75社中の我が国のメーカーは売上高で王子(ホールディングス)が4位、日本製紙が13位、レンゴーが18位、大王製紙が35位、41位に北越コーポレーション、51位に(一寸疑問な)丸紅グループ、67位に三菱製紙が入っていた。

なお、この統計を従来は“Pulp & Paper International誌(RISI)が担当していたが、2016年からTAPPIが引き継いでいるそうだ。