脚を組みポケットに手を入れるのは:
時事通信は「岸田総理の側近には・・・」と、私が取り上げた疑問点を報じていた。その中で木原誠二官房副長官の態度は動もすると傲慢と見られがちで、特に他人様の前で脚を組むことが非礼であるが如くに扱われていた。その脚を組むことについて木原氏は「欧米では一つの流儀」と回答。」と答えたそうだ。
私はこの「脚を組むこと」については、ウエアーハウザーで私より1年後にA総合商社から転進してきた、業界で鳴らした腕利きで、非常に英語力が高いことで知られていたニューヨークとカナダのヴァンクーヴァーで合計10年ほども駐在経験の持ち主のF君が示したことを取り上げたい。
それは、彼が本社のマネージャーがお客様の目の前で脚を組んだことを厳しく叱責した言うなれば驚きの出来事だった。私は今でも鮮明にその時の様子を覚えている。因みに、F君の営業マンのマナーついての持論では「お客様の面前で脚を組むべきではない」となっていた。
そのF君の上司に当たる本部の(アメリカ人だが)マネージャーが、そのFルールに違反して高々と脚を組んだのだった。彼は憤然とした表情で立ち上がったかと思えば、上司に歩み寄りその組んでいた脚を持ち上げて床に叩きつけたのだった「このお客様はあんたの汚い靴の底を見に来られたのではない。何度言えば解るのだ」と言って。一同呆気にとられたが、何とかその場は何事もなかったかのように話し合いが進んだ。
私はこの「脚を組む姿勢」がアメリカやヨーロッパの企業社会においては「マナー違反」なのかどうかは確認したこともなかったが、海外駐在経験が長い彼が許さないのでは「宜しくないと認識されているのか」と考えるようにしていた。
だが、アメリカのビジネスマンたちはこの点には無頓着のようだし、我が国の方々は絶対と言って良いほど商談の席で脱ぐことはない上着(jacket)を「さー、始めよう」とばかりに脱いでしまうし、ワイシャツの袖をまくって(Let’s roll up the sleeve”)と勢い良く交渉を始めるのだった。
実は、私よりも1歳年下のF君は既に故人だが、彼に木原誠二官房のマナーを診断して貰いたかった。