新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月2日 その2 「紙の新聞の将来は???」に加筆しました

2023-01-02 14:59:18 | コラム
紙の新聞の将来は???:

新聞協会の発表では15年先に新聞がゼロになる:

新春早々明るくない話題を採り上げて恐縮だが、昨元日に「新聞協会が昨年の新聞発行部数が200万部減少し、この儘減少傾向が続けばこれから先15年でゼロになる」と発表したと報じられていた。

私に言わせれば「今頃になってそんな事を言っているのか」なのだ。それは、今日までに何度も採り上げた話題で、10~15年ほど前に「アメリカでは既に新聞用紙の生産量が過去10年間に60%も減少し、多くの新聞用紙メーカーがChapter 11(我が国の民事再生法と同じ)による保護を求めて倒産するか、抄物の転換に追い込まれていたのだ。アメリカで起きた現象は遠からぬ将来に我が国でも発生するという流れがあるので、新聞社も製紙業界も要注意である」との、言わば警鐘を繰り返して鳴らしておいてあったのだ。

アメリカではその頃既に印刷(紙)媒体が、目覚ましく成長したインターネット広告に圧されて急速に衰退し、アメリカを代表するようなウエアーハウザーやインターナショナルペーパーが印刷用紙の生産から撤退を開始していたのだった。また、アメリカの日刊新聞社で1年365日間紙に印刷した新聞を発行するところも無くなって、週末はWeb版に移行していたのだった。

これを「時代の流れ」と言えば流れなのだろうが、ICT化とディジタル化が進めば、世の中はそういう方向に進んでいくのは避けて通れないのだということを、アメリカ市場がこれでもかと示していたのだった。しかしながら、新聞の存在がアメリカとは大いに違う我が国では、アメリカほど急激に新聞の発行部数も減らず、新聞用紙の生産も激減はしていなかったが、この度の新聞協会の発表をみれば「我が国でも安閑としてはいられない事態が迫っている」のは明らかである。

アメリカでその傾向が顕著になったのは、上記のように15年も前のことで、ウエアーハウザーがアメリカの紙パルプ産業界の先陣を切ってアメリカ最大の非塗工印刷用紙(=上質紙)事業をスピンオフしたのが2005年だったことが示しているのは「印刷媒体の暗い先行き」だったのだ。アメリカの産業界では、事ほど左様に「物事の先を敏感に敏速に読んで、速やかに二進法的思考で対応する」のである。

そうとは解っていても、私は未だ未だ情報源としての新聞には依存していくだろうが、15年先まで生存もしているとも思えないので、矢張り新聞は大事にしておかねばなるまいと思っている。それだからこそ、新聞業界の生存に向かってのこれまで以上の健闘を祈念したいものである。

ここまでで私が指摘したいことは「遠からぬ将来にこういう事態に陥ってしまうことくらい、新聞社も新聞協会も製紙会社も解っていたはずだろう」なのである。それにも拘わらず、若年層には新聞を読もうとしない傾向が明らかなのに何らの手を打たず、スマートフォンなどが情報源に使われるようになった結果が昨年度だけで200万部の減少。半ば本気で言えば「この半分は朝日新聞だと良いのだが」などと言いたくもなってしまう。今日まで何をやっていたのかということ。

振り返れば、1976年だったかに鳴り物入りで稼働を開始した、我がウエアーハウザーと十條製紙(現日本製紙)が最高の新聞用紙の品質を誇る合弁企業“North Pacific Paper Company(NORPAC)も既にタダ同然で売却され、今では段ボール原紙を作っていると言う涙も出ない有様だ。

私には我が国の新聞社も協会も製紙会社も、このアメリカでインターネットに市場を奪われて衰退の一途を辿っていた業界の惨状を知らなかったとは思えないのだ。



紙の新聞の将来は???

2023-01-02 08:36:37 | コラム
新聞協会の発表では15年先に新聞が:

新春早々明るくない話題を採り上げて恐縮だが、昨元日に「新聞協会が昨年の新聞発行部数が200万部減少し、この儘減少傾向が続けばこれから先15年でゼロになる」と発表したと報じられていた。

私に言わせれば「今頃になってそんな事を言っているのか」なのだ。それは、今日までに何度も採り上げた話題で、10~15年ほど前に「アメリカでは既に新聞用紙の生産量が過去10年間に60%も減少し、多くの新聞用紙メーカーがChapter 11(我が国の民事再生法と同じ)による保護を求めて倒産するか、抄物の転換に追い込まれている。アメリカで起きた現象は遠からぬ将来に我が国でも発生するという流れがあるので、新聞社も製紙業界も要注意である」との、言わば警鐘を繰り返して鳴らしておいてあったのだ。

アメリカではその頃既に印刷(紙)媒体が、目覚ましく成長したインターネット広告に圧されて急速に衰退し、アメリカを代表するようなウエアーハウザーやインターナショナルペーパーが印刷用紙の生産から撤退を開始していたのだった。また、アメリカの日刊新聞社で1年365日間紙に印刷した新聞を発行するところも無くなって、週末はWeb版に移行していたのだった。

これを「時代の流れ」と言えば流れなのだろうが、ICT化とディジタル化が進めば、世の中はそういう方向に進んでいくのは避けて通れないのだということを、アメリカ市場がこれでもかと示していたのだった。しかしながら、新聞の存在がアメリカとは大いに違う我が国では、アメリカほど急激に新聞の発行部数も減らず、新聞用紙の生産も激減はしていなかったが、この度の新聞協会の発表をみれば「我が国でも安閑としてはいられない事態が迫っている」のは明らかである。

アメリカでその傾向が顕著になったのは、上記のように15年も前のことで、ウエアーハウザーがアメリカの紙パルプ産業界の先陣を切ってアメリカ最大の非塗工印刷用紙(=上質紙)事業をスピンオフしたのが2005年だったことが示しているのは「印刷媒体の暗い先行き」だったのだ。アメリカの産業界では、事ほど左様に「物事の先を敏感に敏速に読んで、速やかに二進法的思考で対応する」のである。

そうとは解っていても、私は未だ未だ情報源としての新聞には依存していくだろうが、15年先まで生存もしているとも思えないので、矢張り新聞は大事にしておかねばなるまいと思っている。それだからこそ、新聞業界の生存に向かってのこれまで以上の健闘を祈念したいものである。