新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

流行語大賞の候補に思う

2023-11-04 11:23:05 | コラム
一寸言いたくなった事がある:

昨日だったか新聞には「候補30語が発表された」とあった。だが、テレビでは「ノミネートされた」と、また例によって例の如くにカタカナ語で来た。言いたくもなるが、nominateとは「・・・に指名する、(~賞に)推薦する」というような意味である。「発表された」とはずいぶん違うのである。テレビ局はこの単語を好んでいるが、文法的には過去形で使うべき性質なのだ、“were nominated“のように。

“I am wearing pants!”:
候補30語の最初にこのように出ていた。英語の話になるが「異議あり」と言いたい。それは、安村という人は、何度もテレビが流したのを聞いても“Don’t worry. I am wearing.“としか言っていないのだ。「心配しなさんな。私は履いてますから」と言っていたのだと思って聞いていた。だが、何処かで何方かの有識者かは「(文法的に?)正しくない」と指摘しておられた。その通りだと思う。

さらに、この「履いています」を英語で何というかは、案外に難問のように思える。私はアメリカ語の中で暮らしていたから“I have pants on.“としか思い浮かばないのだ。文法的な考察をすれば”wear“という動詞は「他動詞で目的語を取らなければならない」のであるから、有識者が安村式の“I am wearing.“は誤りだと指摘されたのだと思う。即ち、I am wearing pants.とすべきだと言われたのだと思う。これは、私に言わせて貰えば英連邦式の使い方だと思う。

問題にしておきたい点は、我が国の学校教育では「単語を覚えよう」という教え方をするので、wearに「着用する」の意味があると覚えていても「他動詞である」点まで教えておかなかったようなのである。故に、安村君はUK「くんだり」まで行って目的語を挙げずに終わったのだろう。これは些か屁理屈で、コメディアンに「文法を守れ」などという野暮を言うつもりはない。英語教育の問題だと言うのだ。

「ノミネート」:
このカタカナ語で問題にしたいことは「候補の30語の発表」は過去の出来事なのだから、「ノミネート」で切ってしまうのは「英語という理屈っぽい言語」から考えればおかしいのだ。日本語には英語のような厳密な「現在形」、「過去形」、「現在完了」、「大過去」のような概念がないので、テレビ局は無意識に「ノミネート」などと言わせているようだ。悪しき妥協である。

まさか「ノミネーテッド」とは言えないだろうから、せめて「ノミネートされた」と言うべきだ。それよりも、いっそのこと心を入れ替えて「推薦された」と、漢字の熟語を使えと説教してやりたい。

「何時も堅いことばかり言うな」と言いたい方はおられるだろうが、英語教育をキチンと普及させたいのであれば、現在と過去をチャンと使い分けられるような訓練が必要ではないか。先ほども、女性タレントが「~をゲット」と声高らかに叫んでいたが、文法に従って理屈を言えば「~をガット」でなければならないのだ。だが、その前に「何でgetを使うのか。入手と言え」なのだ。

襟を正すべきはテレビ局なのだが、彼らは「ミーハー」を対象にしているようだから所詮は「無駄な抵抗」になると承知で、一言指摘しておこうと思うのだ。