言葉は正しく意味を把握して使おう:
本日は某大学の法学部教授と懇談の機会があった。多くの話題が出たが、その中でも教授が指摘されて特に印象的だった点は「言葉/英単語を誤用するな」であり「キチンとその言葉が示す意味と使い方を理解してから使え」だった。当方にも全く異論などなかった。
具体的には「セクハラ=sexual harassmentの言葉の誤用というか、恣意的に意味を拡大してカタカナ語にしてしまっている、何とも困った現象」を指摘された点だった。即ち、「女性の体を触るとか、抱きつくとか、勝手に胸を触るような行為はharassmentの領域を逸脱した猥褻行為の範疇に入り、セクシュアル・ハラスメントどころではないのである」だった。
これは将にその通りなのだ。そう言うのには下記のような経験があったからだ。1980年代だったか、本部に出張したら私を呼んだ副社長が不在で「セクシュアル・ハラスメントとは何か」を法務部の弁護士が副社長兼事業部長を集めての講義に参加ということで、「全員待機世よ」との指令出ていたのだった。
副社長がきいてきた講義の概要は「セクシュアル・ハラスメントとは、女性社員に向かって『今日の服装は昨日よりも綺麗だね』とか『今日の髪型は美しいな』とか『女は何時見ても美しいな』という類いのことを言ってはハラスメントに該当するので要注意を」だった。
アメリカの企業社会における認識はこういうことであり、「女性社員の体を無闇に触るとか、腕を掴んで云々はハラスメントの域を逸脱して、性的犯罪の方に近いということだと聞かされてきた」と教授に伝えた。
教授は「将にそれがハラスメントであり、抱きつく等の行為は論外で、許されない性犯罪の範疇である」と改めて解説された。要するに「何でもかでもセクハラ呼ばわりするのは困った現象である。キチンと法律を調べてから、正確に意味を掌握してからカタカナ語にすべきだ」との結論に導かれた。
私は「パワーハラスメント」≠power harassmentは救いがないと思う困ったカタカナ語だと見ている。それはpowerという単語の意味は解りやすく言えば、ジーニアス英和にもあるように「権力、権限、支配する力に加えて勢力でもあるし、能力の意味もある」のだ。さらに、ジーニアス英和には「修飾語を伴って体力、知力、精神力を表す」とあり、用例にmental powerやphysical powerがやっと出てくる。
要するに「上司か誰か上に立つ人がその地位を利用して圧力をかけるとか、虐める」という意味にはならないのだ。「パワー」には中山キンニクンなる芸人が腕の力瘤を見せて叫ぶ「身体能力の強さ」か「力持ち」の意味はないと認識している。
確認しておくと、上司が部下を叱るのが「ハラスメント」ではないし、その前に「パワー」を付けても何の意味も為さないと言いたい。「叱る」という意味の単語にはscoldがあるが、これは特に子供を叱る場合に言うことという意味である。英語ではHe gave me a lecture.と言うと「お説教された」即ち「叱られた」の意味で使われていたと承知している。
上記のようなことを何処かの誰かさんに「この程度の英語と単語の勉強をしてから、カタカナ語を乱造しては如何か」と言いたいし、使っておられる方々にも「ご注意を」と申し上げて終わる。