野球という競技の怖さと面白さを味わって見ていた:
この試合の最大の興味であると同時に心配事は「オリックスの日本を代表する山本由伸投手が、何処まで第1戦の大敗の原因になった失態を挽回できるのか」だと思って見ていた。TBSのカメラは山本の試合前の表情を余り捉えてくれなかったが、少なくとも第1戦も前よりも引き締まった顔付きに見えた。残された問題点は1回の表で阪神の近本と中野を抑えられるかだと思っていた。
近本はゲストで登場していたヤクルトの中村洋平が「近本は先ず先頭打者の時に1球目を打ってくることはないのに、打ちに来たのは何か意図があるのかと疑いたくなる」と言ったほど珍しい凡退の仕方だった。この回は何とか切り抜けて見せたが、山本本来の手元から捕手のミットまで一本の太い棒を渡してしまったような速球ではなく、私の目には未だ不安が残った。
終わってみれば138球も投げて、ノイジーの珍しい反対方向へのホームランを含めてヒットを9本も打たれながら、1失点で完投して見せた。通俗的な表現では「魂の138球」とでもなるだろうが、アナウンサーが褒めたほどの安定感はなかった。制球力が整っていなかったし、158kmなどと表示が出る割には速球に凄味はなかった。でも三振は14も取れていた。「阪神は山本ほどの投手が必死で投げれば」打てないのは当たり前だと思った。
前回は中嶋監督の采配を批判した。するとどうだろう。その声が届いたのか、広岡を下げ、紅林を3番に入れ、駄目だと言ったはずの森を4番で頓宮を5番に下げた。すると、紅林は決定的な2ランホームランを打ったし、やる気が見えないと非難した頓宮も5点目になるホームランを打ったし、ヘラヘラしていると腐した杉本は天井に当てる2塁打を打った。あんな言い方をしたのが聞こえたのかと疑いたくなった。ピシッとなるとは怖いものだと思った。
貶した者たちが森を除いて大いに勝利に貢献した。監督も山本の奮起に賭けたようで成功していた。オリックスは宗と森が阪神のスカウティングが功を奏して押さえ込まれているのか不振なのか不明だが、今夜のように横手投げの青柳が相手では、この2名が働かないと苦しいのでは。ここで、宗と森を貶したので、今夜は働くのかもしれない。
阪神は居合わせた長男が「山本よりも速球が10kmも遅いのでは」と疑問を呈した村上頌樹が、2試合続けてオリックスを抑えることが出来なかった。だが、懸命に投げていたことは評価できる。打つ方では近本、中野、糸原、木浪と打つべき左打者は打ったが、結果として散発9安打になってしまって、ホームランの1点で終わった。今夜は左投げの宮城大弥が来るのだから、彼ら左打者と大山の出来次第ではないか。
どちらが勝つかにも関心はあるが、どのような展開になるのかも大いに気になるところ。ところで、NPBもMLBに倣って「ピッチクロック制」の採用を本気で検討させたくなった。4時間近くも引っ張られるのは見ている方にも負担になる。特にMLBの牽制球の数の制限だけでも取り入れて欲しくなった。なお、今夜は順番で阪神が勝つ方に賭けてみることにした。