新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月10日 その2 冷静なる評論家が阿部慎之助新監督に一言

2023-11-10 13:50:34 | コラム
古き良き時代を偲ばせる古典的な指導者を目指しているのか:

読売ジャイアンツの阿部慎之助は二軍監督(だったと思うが)に任命されたときに先ずやったことはと言えば、所謂「千本ノック」式な猛練習と、ミスをした者に罰走を課したことだと報じられていた。昭和30年代に最も遍く実施されていた「絞る」型の練習法である。この方式は嘗てかの長嶋茂雄氏が静岡県の伊東にキャンプを張って、巨人軍を徹底的に鍛え上げたときの歴史的な練習法である。

その成果は目覚ましく、長嶋ジャイアンツには光り輝く黄金時代が到来した。現在のようなウエイトトレーニングなど影も形もなく、アメリカ仕込みのトレーナーが各選手の身体能力に合わせた体幹や体力の強化のメニューを作り出して、自発的に自らを鍛えてくるようにすることなど、誰も夢想もしていなかった。だが、21世紀の現在に、これらの科学的且つ合理的な練習法を取り入れていない集団はあるまい。

また、フットボールのように細分化されたポジション別のコーチが、綿密に緻密に選手たちを指導するようになり、数多くの分野の専門のコーチが存在するようになってきた。これが時代の流れであり、自然な現象だと認識している。

だが、阿部慎之助新監督は早速秋季キャンプを張られて、監督自らが手取り足取りで打者たちにバッテイングの指導をしたと報道されていた。私は記者さんたちが認識不足で「NPBの野球では監督(アメリカには「ヘッドコーチ」という名称が普通だが)がコーチを差し置いて実技の指導をも為さるものだと思い込んでいる」のか、阿部新監督は「自分が育った時代の指導法から未だに離れられていないのか」の何れかなと思ってみていた。

長嶋茂雄氏は病に倒れられた後でも、「グラウンドに登場されては、将来有望な若手のバッテイングの指導をされた」と何度も何度も報じられていた。熱心に指導されようとの熱意は解らないでもないが、球団はそれなりにそれ専門の打撃のコーチを任命してあるのだ。そこに過去の名選手が現れて、古式豊かな指導法で介入されて、良い結果に結びつくのだろうか。23年のジャイアンツは好成績を収めていただろうか。

阿部慎之助新監督はもしかして「新コーチ陣は球団側が決めたことであり、自分の意志ではない」などと言うのかも知れない。だが、監督たる者は選手の指導は細分化して任命したコーチらに任せて、自分はゆったりとベンチに座って選手たちがコーチ陣の指導宜しく上達する様を見守って、来季の布陣の構想でも練って楽しんでいれば良いのではないか。私は監督がノックをしているのでも時代錯誤の越権行為だと思うが。

話は少し違うようなことを言うと、「レイトヒット」の反則で物議を醸して、一時は下部リーグに落ちた日大フェニックスを立て直して、就任3年目に甲子園ボウル出場を果たした橋詰前監督の専門分野は「オフェンス」であり「ディフェンス」の指導者ではなかったのだ。だが、そのアメリカコーチ留学等の豊富な経験を活かした監督として、フェニックスを短時日で復活させたのだ。

ここで強調することは「監督には監督が担うべき特殊な専門の分野の任務と仕事がある。選手指導の担当者ではない」という点だ。それが近代の指導法の特徴である。故に、阿部慎之助も監督の任務のみに専念した方が宜しいのではないのかという事。


少し気にかかった話題

2023-11-10 07:14:13 | コラム
ハーバード大学の学生の認識:

今朝もチャンと4時に起きて、早速TBSのニュースを流してみた。すると「成る程。そんな事になるのか」と、少しだけ幻滅を感じた話題が流されていた。それは「ハーバード大学の学生たちがパレスチナ人たちの苦境に同情して、支持しようとの集会を開いた」という内容だった。

一般論としてアメリカ人たちが外国/海外の事情に疎いというか余り関心がないということは、私は良く承知している。だが、我が国で多くの方々に、どれ程そういうものであると知られているかは不明だ。当方はこのニュースを見て「この大学の学生にしても、こういうことを言うのか」と、意外なものだと受け止めたのだった。

このニュースでは追いかけて、この「反イスラエル」で「パレスチナ援助」の動きは必ずしも全面的に支持されていた訳ではなくて、この大学出身のユダヤ系の経営者たちは「このような運動に参加した学生は自社に採用しない」との声明を発表したとあった。「尤もだな」と思わせる感があった。

だが、疑問な点はある。それは「ハーバードなどの最高の私立大学の出身者が就職を希望するだろう大手企業でも、製造業では4年制大学の新卒者を採用することは先ずないと思っていて誤りではない。だが、私が知る限りでは、アメリカの金融・証券業界では四大の新卒者を大量に採用しているはずだ。言うなれば、今回は「Wall streetは歓迎しない」と言ったのではなかろうか。

このような文化の違い、即ち、我が国の言わば「就社」と、アメリカの「特定の会社の特定の事業部に採用されることを狙う就職」にまでも触れて解説しておいて欲しかった。そうでないと、折角のニュースの内容が理解されないように思えるのだ。それはそれとして、ハーバード大学ほどの学生の認識でもこういうことかと、少し残念に感じた。