虚しく響く「国連安全保障理事会決議違反だ」の声:
DPRKが自ら公表した予定時刻よりも1時間半ほど早くミサイルを発射した。政府は沖縄県を対象にしてJアラートを発令して警戒/避難を呼びかけたと報じられた。岸田総理は「我が国の国民の安全に関わる重要な事態だ。北朝鮮に既に厳重に抗議した」と発表された。さらに「国連安保理事会決議に違反だ」とも発表した。
これらの措置は当然我が国その他の民主主義を信奉する自由陣営の諸国が採るべき措置だ。だが、残念ながらDPRKが今日に至るまで、このUNの重大な決議に対して「解りました。今後は充分に注意して違反するような行動を取る事がないように努めます」と、一度でも恭順の意を表したことがあっただろうか。金正恩氏にはそういった意志はないのは明らかだ。
私が見ても、安保理がどれ程厳重に注意しようと、我が官房長官が声明を発表して抗議しようと、彼金氏以下が態度を変えることなどは考えられないのではないか。DPRKにはそもそもUnited Nationsの要望する事柄に従おうなどという意志は皆無であることが、今日まで繰り返して実証されてきたではないか。故に、岸田総理の抗議も国連安保理決議違反だという指摘も虚しく響くだけの結果に終わっている。
一向に終わりが見えてこないウクライナへのロシアの侵攻、この度のハマスのテロ行為が直接の原因となったイスラエル対ハマス(パレスチナのガザでの)の争いが「アメリカを筆頭に置く西側の民主主義諸国(我が国や韓国も含めて)」対「ロシア(を支援する中国、DPRK)、ハマスを支えるイラン、中国、ロシア」のように世界の勢力の構図が二手に分かれたという様相を明確に描き出してくれたのだった。
この二極分化の事態が生じていては、United Nationsの総会でも、如何なる分科会でも、どれ程討議/討論しても合意する決議案などが先ず出てくる訳がないのだと、何処の誰にでも解るように解りやすく示しているではないか。この情勢下にあって、人口で既に中国を抜いたとされている大国・インドの立ち回り方などは、刮目に値する巧妙さである。
上記の世界の現実を見る時に、岸田総理には支持率の回復も焦眉の急かも知れないが、国内での「経済。経済。経済」にも引き続き傾倒されたいが、同時に得意とされている外交面でも手腕を発揮されて、世界の四方八方から襲ってくる容易ならざる事態から我が国の安全保障対策もおさおさ怠りなきよう、改めてお願いする次第だ。