神戸製鋼所について:
10月22日に rakko というハンドルネームの方が
<神鋼はJIS木格やISO9001まで疑われていますが、絶対に品質はクリア-しています。新聞の一面で騒ぐほどのものでしょうか 。元々生産現場は品質管理が厳しいんですよ。騒ぐマスコミが異常です。世界中にインチキ商品を売りさばく神戸製鋼と騒いで、日本国の傷をつける意図です。>
と言っておられた、と高橋利幸氏のメールで知った。私には神戸製鋼所を擁護する義理もないし、何が事の真相か実態かが解らないままに、技術者でもない私が烏滸がましくも、あらためて感想を述べていこう。
この件で、ある我が国を代表する製紙会社のOBの意見を聞いてみた。彼は「その方が言う通りかも知れない。メーカー(納入業者)が需要家と詳細に事前に打ち合わせをして、そのユーザーが製造する最終製品に合わせた十分なというか寧ろ過剰な品質となるスペックを設定して生産に入ることは大いにあり得るだろう。そして、一部にそのスペックを満たさない物性値が出たことが解ったので、その箇所を改ざんしてユーザーに提出したとしたらどうだろう」と言うのだ。
彼は「これは現実にあり得ることで、ユーザーが求めるギリギリの物性値でスペックを設定しておけば、如何に厳しく製造過程で管理しても基準外の物性値が出る製品になってしまう危険性だってあり得るのだ。故に、そんな危険性があるようなスペックを設定する納入業者があるとは先ずあり得ないと思うから言っているのだ」と補足した。
「神戸製鋼所が実際に前述のような十分な安全性を見込んだスペックの設定をしていたかなどは、外部から窺い知る術はない。だが、現実に自動車、航空機その他の需要家先から何らの具体的な品質問題のクレームが発生していないことを、どうやって説明するのかと言いたくなる」と、彼は述べていた。ここまでの彼の意見を rakko という方の意見と重ね合わせると、何処となく納得させてくれるものがあるのだ。
などと言えば、いち早く神戸製鋼所の社長や副社長の顔相までを採り上げて非難した私は、穴でも掘って待っていなければなるまいかと考え込まされてしまった。即ち、反省点は「我が国の新聞報道を鵜呑みにして、先ず fake ではないかと疑ってかかることをしなかった」のである。そして思うことは、この一件が本当に fake であって欲しいという願いだ。
私は既に1970年代にW社の技術サーヴィスマネージャーが指摘した「500 ton/日の生産量の中の1 ton または1本の巻取の物性値のデータを取っても、500 ton を代表するデータとは言えないのではないか。また、そのデータを受領したユーザーがその数多い物性値のどれが基準に達していなかったを見定める能力があるのか。その場合に如何なる不具合が生じるか解るのか。解った場合にどのような処置を採って対応するのか事前に準備できるのか」と、データ提出を強硬に求める需要家の面前で述べたのが忘れられない。
念の為に補足しておけば、製紙会社も鉄鋼会社も装置産業であって、一旦設備が稼働を開始すれば、極端な表現をすれば365日、24時間操業し続けて初めて採算が取れるのである。途中で止めてスペックを入れ替えるようなことをすれば、取りも直さず時間的なロスを生じ、コストも跳ね上がる仕組みになっているのだ。
10月22日に rakko というハンドルネームの方が
<神鋼はJIS木格やISO9001まで疑われていますが、絶対に品質はクリア-しています。新聞の一面で騒ぐほどのものでしょうか 。元々生産現場は品質管理が厳しいんですよ。騒ぐマスコミが異常です。世界中にインチキ商品を売りさばく神戸製鋼と騒いで、日本国の傷をつける意図です。>
と言っておられた、と高橋利幸氏のメールで知った。私には神戸製鋼所を擁護する義理もないし、何が事の真相か実態かが解らないままに、技術者でもない私が烏滸がましくも、あらためて感想を述べていこう。
この件で、ある我が国を代表する製紙会社のOBの意見を聞いてみた。彼は「その方が言う通りかも知れない。メーカー(納入業者)が需要家と詳細に事前に打ち合わせをして、そのユーザーが製造する最終製品に合わせた十分なというか寧ろ過剰な品質となるスペックを設定して生産に入ることは大いにあり得るだろう。そして、一部にそのスペックを満たさない物性値が出たことが解ったので、その箇所を改ざんしてユーザーに提出したとしたらどうだろう」と言うのだ。
彼は「これは現実にあり得ることで、ユーザーが求めるギリギリの物性値でスペックを設定しておけば、如何に厳しく製造過程で管理しても基準外の物性値が出る製品になってしまう危険性だってあり得るのだ。故に、そんな危険性があるようなスペックを設定する納入業者があるとは先ずあり得ないと思うから言っているのだ」と補足した。
「神戸製鋼所が実際に前述のような十分な安全性を見込んだスペックの設定をしていたかなどは、外部から窺い知る術はない。だが、現実に自動車、航空機その他の需要家先から何らの具体的な品質問題のクレームが発生していないことを、どうやって説明するのかと言いたくなる」と、彼は述べていた。ここまでの彼の意見を rakko という方の意見と重ね合わせると、何処となく納得させてくれるものがあるのだ。
などと言えば、いち早く神戸製鋼所の社長や副社長の顔相までを採り上げて非難した私は、穴でも掘って待っていなければなるまいかと考え込まされてしまった。即ち、反省点は「我が国の新聞報道を鵜呑みにして、先ず fake ではないかと疑ってかかることをしなかった」のである。そして思うことは、この一件が本当に fake であって欲しいという願いだ。
私は既に1970年代にW社の技術サーヴィスマネージャーが指摘した「500 ton/日の生産量の中の1 ton または1本の巻取の物性値のデータを取っても、500 ton を代表するデータとは言えないのではないか。また、そのデータを受領したユーザーがその数多い物性値のどれが基準に達していなかったを見定める能力があるのか。その場合に如何なる不具合が生じるか解るのか。解った場合にどのような処置を採って対応するのか事前に準備できるのか」と、データ提出を強硬に求める需要家の面前で述べたのが忘れられない。
念の為に補足しておけば、製紙会社も鉄鋼会社も装置産業であって、一旦設備が稼働を開始すれば、極端な表現をすれば365日、24時間操業し続けて初めて採算が取れるのである。途中で止めてスペックを入れ替えるようなことをすれば、取りも直さず時間的なロスを生じ、コストも跳ね上がる仕組みになっているのだ。