新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日本シリーズを2試合観戦して

2021-11-22 10:34:54 | コラム
投手戦なのか貧打戦なのか:

などとは言うが、結構楽しませて貰った2試合だったし、色々と物思わせてくれた野球だった。26年前だったかに同じ顔合わせがあってヤクルトスワローズが勝ったという記憶はなかった。第1戦を見ての率直な感想は「アナウンサーたちが騒ぎ立てる三振奪取の虚しさ」だった。

第一戦:
先ずは野球マスコミが三振奪取に拘泥するというか、三振を沢山取る事を過剰に賞賛することの虚しさを感じさせてくれたこの試合から。バッファローズの先発山本由伸投手は紛う事なきNPBを代表するような優れたピッチャーであるし、NHKで解説した藤川球児もそう認めていた。確かに、山本は6回まで112球も投げて三振も九つ獲っていた。アナウンサーはご丁寧に一個獲る度に数え上げていた。私は無意味な事だと思って聞いていた。

この辺りが我が国の野球マスコミの至らないところだと、私は確信している。何故そう言うかを、分かりやすいと思う極端な数字を挙げて述べてみよう。それは飛び抜けた剛速球と変化球を操る投手が毎回三者三振を9球で成し遂げたとすれば、9回で81球投じる事になる。一方では、打たせて取る投手が毎回3球投じただけで3者凡退に打ち取れば、9回では27球で終わるのだ。最少のエネルギーの消費だ。

山本由伸投手は6回で三振こそ9個獲れたが、投球数は112となって体力を消耗して降板となった。結論に飛躍すれば「三振奪取で疲れ果てた」のだった。対するスワローズの奥川恭伸投手は7回を投げ抜いても97球で三振は3個だけだった。どちらが効率的な投球をしたかは明らかではないだろうか。流行りのカタカナ語にすれば奥川の方が「コスパ」が良くはないか。更に論旨を飛躍させて言えば「マスコミさんよ。三振奪取礼賛は再考の必要がありはしませんか」なのだ。

第二戦:
実は、あの第1戦の劇的なというかスワローズが逃げ切れると思って出したのだろうマクガフ投手のアウト一つ取れずに逆転サヨナラ負けとなった惨状を見せつけられて、昨年までジャイアンツがソフトバンクホークスに無残な8連敗(だったか)で鎧袖一触されたのを見ていたので、矢張りパシフィックリーグが優位なのかと思って観戦を始めた。ところが、5回までだったかを完全試合風に抑え込んでいたバッファローズの宮城大弥が7回2/3で引き摺り降ろされ、立ち上がりが不安定だったスワローズの高橋奎二が完封・完投したのだった。

勝負とは解らないものだ、読みきれないものだと言う前に、パシフィックリーグとセントラルリーグの何れが上位乃至は優位なのかは、この2球団の試合振りからは俄に判断出来ないと思わせられたのだった。私は事NPBの12球団については、ジャイアンツを嫌悪している以外にはご贔屓の所はないので、今回の日本シリーズは冷静に見ていられるのだ。これまでの2試合とCSを見た限りでも、殆ど両者に優劣の差を付けられなかった。

第三戦以降は:
但し、両球団とも中心打者であるはずのバッファローズの吉田正尚と杉本裕太郎、対するスワローズの山田哲人と村上宗隆は当たっている(現在は「状態の良し悪し」で表現するように変わっている)とは言えない状況で、両テイームのスカウテイングが十分に機能しているとも考えられる。また、2戦目までで使った投手を除けば、残る顔ぶれには勝利を計算できそうな強力な者がいないとしか見えない。要するに、どっちに転ぶかは読みたくても読めないのだ。残るは、試合開始の直前に来るかも知れない「閃き」が頼りといえば頼りか。

不思議な事に神宮球場ではなく東京ドームで行われる第3戦以降は、両監督が如何に知恵を絞って継投の作戦を臨機応変に立てるかと、主力打者以外から俗に言うシリーズ男的な活躍をする打者が出てくるかに懸かっていると思う。実に陳腐な見通しで申し訳ないが、それほど何も閃いてこない対戦なのだ。但し、中島監督には「何を仕掛けてくるか読みにくい」点があるのだが、この場合は策士策に溺れる危険性を否定できない。そうすると、かなり正攻法で押している高津監督に分があるのかも知れない。だが「終わるまで解らない」と逃げておきたい。