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首都の移転は必要か(2)

2011-05-01 | ラジオ
ロシアでもソ連時代、首都を一時的に移す案が存在した。副首都として候補に挙がったのは、ロシア南部ヴォルガ川沿岸の街サマーラだった。第二次世界大戦時、ドイツにモスクワが占領される恐れが出たとき、首都がサマーラに移される準備が真剣に行われた。
またここ10年では、ロシアの首都はシベリア、あるいは極東にあるべきだという声も聞かれるようになっている。
その理由は先ず第一に、この地域は現在、中国や韓国、日本など世界経済の主要国から近くに位置しているからだ。2つ目の理由はモスクワに多くの機能が集まり過ぎてしまい、その一部を開放する必要が出ているためだ。

首都移転案の擁護者の一人、政治学者で人口学者でもあるクルプノフ氏は、建築遺産がビジネスの中心地と共存するのは非常に難しいと述べ、次のように話している。
「首都は発展の視点から見て、より活発で展望ある地域の近くにあるべきだ。シベリアあるいは極東に首都が移されることで、これらの地域から以前去っていった人々が、ここでの生活に戻って来るだろう。
そしてモスクワに資金や人が集まり続けている現状にも、歯止めがかけられることになるだろう。
ですがその場合モスクワが、その役割を失うことはない。首都が移されても、モスクワは長きにわたり経済活動の主要都市として残り続けるのだ」
クルプノフ氏は、このように発言している。

この案は幾分、現実不可能にも聞こえるるが、この問題に付いて協議される日が来る可能性も排除することは出来ない。モスクワは居住、仕事、政治、歴史文化的な中心地として同時に存在することが実際にに難しくなっているからだ。
尚、ロシアの隣国カザフスタンでは1990年代後半に、同じような理由によって首都が移された。
以前の首都アルマトイは山脈に囲まれており、1990年代には、それ以上発展することが出来なくなったほか、環境も悪化したため、より好適な地域に首都が移転された。
新たな首都となったアスタナは、急速に現代のビジネス都市となった。そして以前の首都アルマトイは、歴史と文化の中心地として発展することが出来たのだ。

黒い都知事 石原慎太郎
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宝島社

4月25日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル