5月15日は20世紀ロシアの文豪ミハイル・ブルガーコフの、生誕120周年に当たっている。
今日ブルガーコフの作品は多くの言語に訳されて世界中で読まれている。彼の小品や自伝的な物語は少しも色褪せておらず、戯曲は成功裏に舞台にかけられ、中編小説や最も有名な作品「巨匠とマルガリータ」などの長編は、ロシアばかりでなく、外国でも一度ならず映像化されている。
しかし、このブルガーコフに対する国民的と言っても良い程の、幅広い人気も、彼の死後十年経って、やっとやって来たものだ。
ロシアの声記者は、作家のマクシム・カントール氏に話を伺った。
「ブルガーコフが文学界の巨匠である事は、証明するまでもない。彼は、その類稀な表現力だけをとっても、プーシキンやゴーゴリ、トルストイ、チェーホフなどの列に並ぶ存在だ。
彼は革命という転換期に生き、しばしば日常生活上の快適さを奪われましたが、彼の言葉を誰も奪い去ることは出来なかった。
ブルガーコフの言葉というのは、ロシア文学の他のほとんど誰も持てなかったようなものだ」
作家は、このように述べている。
ブルガーコフは医者から作家となった。あのチェーホフもそうだ。おまけに彼は「若い医師の手記」という、チェーホフに大変似た作品を残した。
とは言え二人の類似点は、ほぼそれが全てである。ブルガーコフは全く別の歴史的時代に生きた。
1917年の革命と国内戦争の動乱の時期だ。帝政ロシアがだんだんと、ソビエト・ロシアの変容しつっつある時代だった。君主制を確信を持って支持する宗教アカデミー教授の家庭に育ったブルガーコフにとって、そうした変革は、彼個人の人生を揺るがすドラマだった。
ここで再びカントール氏の話をご紹介しよう。
「ブルガーコフが実際心配していたのは、彼の国、彼の国家、ロシア民族、権力と人々、またロシア社会内部の関係のヒエラルキーで、一体何が起きているのかという事だけだった。
ブルガーコフの全てのその他のドラマ、そして彼の仕事の核心をなすものはロシア革命との葛藤だ。
彼は革命をロシア国家の文明化された歴史を破壊した、野蛮な現象と捉えていた。彼はとりわけロシア文学とロシアのインテリゲンチィヤを、ロシア国家の守り手と受け止めていた。
どの作家にも自分の好きなヒーロー達がいる。その中に作家は、ある歴史的未来を信じるのだ。
ブルガーコフの好きなヒーロー達、それはいまでもなく(※「いまでもなく」ってなんだ???。もしかして「言うまでも無く」じゃないの???)インテリゲンチヤだろう。ブルガーコフは彼らのために、また彼らを通して、ロシアの歴史が今後歩んでゆく道を見ていたのだと思う」
作家は、このように答えてくれた。
尚17日の火曜日に放送する「文化の世界」の時間では、ブルガーコフの長編小説「巨匠とマルガリータ」から、その一部を朗読で御紹介致しますので、どうぞお楽しみに。
5月15日放送 ロシアの声・週間ラジオ展望
今日ブルガーコフの作品は多くの言語に訳されて世界中で読まれている。彼の小品や自伝的な物語は少しも色褪せておらず、戯曲は成功裏に舞台にかけられ、中編小説や最も有名な作品「巨匠とマルガリータ」などの長編は、ロシアばかりでなく、外国でも一度ならず映像化されている。
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しかし、このブルガーコフに対する国民的と言っても良い程の、幅広い人気も、彼の死後十年経って、やっとやって来たものだ。
ロシアの声記者は、作家のマクシム・カントール氏に話を伺った。
「ブルガーコフが文学界の巨匠である事は、証明するまでもない。彼は、その類稀な表現力だけをとっても、プーシキンやゴーゴリ、トルストイ、チェーホフなどの列に並ぶ存在だ。
彼は革命という転換期に生き、しばしば日常生活上の快適さを奪われましたが、彼の言葉を誰も奪い去ることは出来なかった。
ブルガーコフの言葉というのは、ロシア文学の他のほとんど誰も持てなかったようなものだ」
作家は、このように述べている。
ブルガーコフは医者から作家となった。あのチェーホフもそうだ。おまけに彼は「若い医師の手記」という、チェーホフに大変似た作品を残した。
とは言え二人の類似点は、ほぼそれが全てである。ブルガーコフは全く別の歴史的時代に生きた。
1917年の革命と国内戦争の動乱の時期だ。帝政ロシアがだんだんと、ソビエト・ロシアの変容しつっつある時代だった。君主制を確信を持って支持する宗教アカデミー教授の家庭に育ったブルガーコフにとって、そうした変革は、彼個人の人生を揺るがすドラマだった。
ここで再びカントール氏の話をご紹介しよう。
「ブルガーコフが実際心配していたのは、彼の国、彼の国家、ロシア民族、権力と人々、またロシア社会内部の関係のヒエラルキーで、一体何が起きているのかという事だけだった。
ブルガーコフの全てのその他のドラマ、そして彼の仕事の核心をなすものはロシア革命との葛藤だ。
彼は革命をロシア国家の文明化された歴史を破壊した、野蛮な現象と捉えていた。彼はとりわけロシア文学とロシアのインテリゲンチィヤを、ロシア国家の守り手と受け止めていた。
どの作家にも自分の好きなヒーロー達がいる。その中に作家は、ある歴史的未来を信じるのだ。
ブルガーコフの好きなヒーロー達、それはいまでもなく(※「いまでもなく」ってなんだ???。もしかして「言うまでも無く」じゃないの???)インテリゲンチヤだろう。ブルガーコフは彼らのために、また彼らを通して、ロシアの歴史が今後歩んでゆく道を見ていたのだと思う」
作家は、このように答えてくれた。
尚17日の火曜日に放送する「文化の世界」の時間では、ブルガーコフの長編小説「巨匠とマルガリータ」から、その一部を朗読で御紹介致しますので、どうぞお楽しみに。
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5月15日放送 ロシアの声・週間ラジオ展望