2016年3月、チリのウルトラプレミアムワインのひとつ 「SEŇA セーニャ」 から CEO エドゥアルド・チャドウィック氏が来日し、貴重なバックヴィンテージを含む垂直テイスティング会が行われました。
セーニャは、チリの「エラスリス」とカリフォルニアの「ロバート・モンダヴィ」のジョイントベンチャーで誕生したウルトラプレミアムワインで、ファーストヴィンテージは1995年。
SEŇA 1995 (70% Cabernet Sauvignon, 30% Carmenere)
南米では約100年前日本ワインづくりの歴史が始まりましたが、良質のワインが市場に出てきたのは1970年代になります。
カリフォルニアのナパ・ヴァレーで実績と名声を重ねてきたロバート・モンダヴィも、1979年のオーパス・ワンでさらなる評判を得ます。
エドゥアルド・チャドウィック氏
「モンダヴィとの出会いがキッカケとなった。これで素晴らしいワインがつくれる!と思った」と、チャドウィック氏は言います。
「セーニャ SEŇA」は、スペイン語で「サイン」という意味で、サインは「シグネチャー(署名)」です。
新しい側面からチリワインを見て欲しいということから名付けた、といいます。
セーニャは、海岸線から40km内陸の冷涼なアコンカグア・ヴァレーの“セーニャ・ヒルサイド・ヴィンヤード”で育ったブドウからつくられます。
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カルメネールの3種を基本的に使用し、主体はカベルネ。
1995年以来、毎年仕込まれ、不作の年でも少量は生産します。
今回は、セーニャの1999年、2003年、2009年、2011年、2012年、2013年の6ヴィンテージを、古いものから順に垂直試飲しました。
セーニャは、エレガンスさがあり、洗練され、繊細でなめらかな味わいが特徴、ということですが、ヴィンテージの違いはあるでしょうか?
各ヴィンテージは天候が異なり、3種のブドウのブレンド比率も異なります。
それぞれのVTのコメントを、ワイナリー(前半)と私(後半)で紹介します。
1999年
75% Cabernet Sauvignon, 16% Merlot, 9% Carmenere
比較的暖かい年で、ブドウはよく熟しました。スムーズで飲みやすく、果実味の後に、ミント、タバコの風味が感じられます。セーニャのエイジングのポテンシャルを感じます。長期熟成向きの年で、まだフレッシュ感があり、これから先も楽しみなヴィンテージ、という説明がありました。
私の感想は、うっとりするような香りが素晴らしく、タンニンはよく溶け込み、なめらかでビロードのよう。ボルドーらしさを感じさせ、非常にキレイなタイプ。パワフルというよりも、気品を感じるワイン。
ただし、ボトル差があるようで、骨格がガッチリとし、タンニンがパワフル!というボトルもあったようです。私が飲んだボトルは、今、いい飲み頃に入ってきていますが、ガッチリ系ボトルはまだまだ熟成しそうです。
2003年
52% Cabernet Sauvignon, 40% Merlot. 6% Carmenere, 2% Cabernet Franc
暑いヴィンテージ。フローラルで、フラワリーで、バルサミックのニュアンスがノーズがあり、口当たりはなめらかで、味わいはエレガント。
飲んでみると、ブラックチェリー的で、野性的な風味があり、とても若々しく、シュッとしています。果実っぽさ、艶やかさ、甘みがあり、シルキーで、ボルドー右岸のサン・テミリオン的なスタイルを感じました。別ボトルでは、もっとガッツリ!というのもあったそうです。
2009年
54% Cabernet Sauvignon, 21% Carmenere, 16% Merlot, 6% Petit Verdot, 3% Cabernet Franc
あたたかく、素晴らしいヴィンテージ。ブラックベリー、ブルーベリー、プラムの風味があり、リッチでパワフルなフルボディスタイルのワインができた年。タンニンに厚みがありますが、スムーズで、上品な酸もあり今後長期熟成が見込まれます。
私が思うに、まだまだ若くてキレイで、これもシュッとしたスタイルのワインだと思いました。果肉の弾力感があり、ふっくらとして、なめらかで、飲みやすいですね。今から飲めますが、今後の変化を見守りたいと思いました。
2011年
58% Cabernet Sauvignon, 15% Carmenere,15% Merlot, 7% Petit Verdot, 5% Cabernet Franc
冷涼な年。カシスやブルーベリーのニュアンスがあり、タンニンが溶けこんでいます。あと10年から15年は熟成するでしょう。
口当たりが非常にやわらかく、超ソフト。軽めのヴィンテージなのかもしれません。少々雑味がザラつく感じがしますが、牛肉などの肉料理と合わせながら飲むと、おいしく楽しめるのではないでしょうか。
2012年
52% Cabernet Sauvignon, 23% Carmenere, 12% Merlot, 7% Malbec, 6% Petit Verdot
暖かく、降雨量も少ない年。アロマティックなフルーツやリコリスのフレーバーが感じられます。
2005年からビオディナミに取り組んでいますが、その成果がワインに出てきているようで、サンダルウッド的なニュアンスも表現されています。
若くしっかりとしたタンニンがイキイキとして、クールな雰囲気を表現しているように感じます。とてもキレイなワイン。洗練、ピュア。
2013年
58% Cabernet Sauvignon, 15% Carmenere,12% Malbec, 10% Merlot, 5% Petit Verdot
歴代の中で最も冷涼な、特別な年。古典的で、純粋さがあり、エレガント。非常によい出来となり、専門誌で99ポイントを獲得。
リリースされている中で最新のヴィンテージだけに、若くてキレイですが、今、開けるには全然もったいない!本領発揮には程遠いので、しばらくのガマンが必要でしょう。長期熟成させるなら、たしかにこの2013年は最適です。
以上、貴重な1990年代のヴィンテージも交えながらの垂直試飲をしましたが、セーニャでは、ヴィンテージごとに品種の組み合わせや比率も細かく変え、年ごとの特徴に応じたワインづくりを行なってきているのがわかります。
年による味わいの個性もあります。
私がセーニャを初めて飲んだのは、1997年ヴィンテージで、2000年頃だったと思います。
1996年ヴィンテージも1998年、1999年ヴィンテージも飲んだと思います。
その頃、セーニャを飲むと、いつも塩味(セイバリー)を感じました。
ですから、セーニャは「塩」の印象があったのですが、近年のヴィンテージを飲むと、その印象はほとんどありません。
どんどん洗練されてきています。
そうした進化も素晴らしいと思いますが、昔に飲んだセーニャも懐かしく思うのです。
エドゥアルドさん、貴重な機会をありがとうございました!
セーニャは、チリの「エラスリス」とカリフォルニアの「ロバート・モンダヴィ」のジョイントベンチャーで誕生したウルトラプレミアムワインで、ファーストヴィンテージは1995年。
SEŇA 1995 (70% Cabernet Sauvignon, 30% Carmenere)
南米では約100年前日本ワインづくりの歴史が始まりましたが、良質のワインが市場に出てきたのは1970年代になります。
カリフォルニアのナパ・ヴァレーで実績と名声を重ねてきたロバート・モンダヴィも、1979年のオーパス・ワンでさらなる評判を得ます。
エドゥアルド・チャドウィック氏
「モンダヴィとの出会いがキッカケとなった。これで素晴らしいワインがつくれる!と思った」と、チャドウィック氏は言います。
「セーニャ SEŇA」は、スペイン語で「サイン」という意味で、サインは「シグネチャー(署名)」です。
新しい側面からチリワインを見て欲しいということから名付けた、といいます。
セーニャは、海岸線から40km内陸の冷涼なアコンカグア・ヴァレーの“セーニャ・ヒルサイド・ヴィンヤード”で育ったブドウからつくられます。
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カルメネールの3種を基本的に使用し、主体はカベルネ。
1995年以来、毎年仕込まれ、不作の年でも少量は生産します。
今回は、セーニャの1999年、2003年、2009年、2011年、2012年、2013年の6ヴィンテージを、古いものから順に垂直試飲しました。
セーニャは、エレガンスさがあり、洗練され、繊細でなめらかな味わいが特徴、ということですが、ヴィンテージの違いはあるでしょうか?
各ヴィンテージは天候が異なり、3種のブドウのブレンド比率も異なります。
それぞれのVTのコメントを、ワイナリー(前半)と私(後半)で紹介します。
1999年
75% Cabernet Sauvignon, 16% Merlot, 9% Carmenere
比較的暖かい年で、ブドウはよく熟しました。スムーズで飲みやすく、果実味の後に、ミント、タバコの風味が感じられます。セーニャのエイジングのポテンシャルを感じます。長期熟成向きの年で、まだフレッシュ感があり、これから先も楽しみなヴィンテージ、という説明がありました。
私の感想は、うっとりするような香りが素晴らしく、タンニンはよく溶け込み、なめらかでビロードのよう。ボルドーらしさを感じさせ、非常にキレイなタイプ。パワフルというよりも、気品を感じるワイン。
ただし、ボトル差があるようで、骨格がガッチリとし、タンニンがパワフル!というボトルもあったようです。私が飲んだボトルは、今、いい飲み頃に入ってきていますが、ガッチリ系ボトルはまだまだ熟成しそうです。
2003年
52% Cabernet Sauvignon, 40% Merlot. 6% Carmenere, 2% Cabernet Franc
暑いヴィンテージ。フローラルで、フラワリーで、バルサミックのニュアンスがノーズがあり、口当たりはなめらかで、味わいはエレガント。
飲んでみると、ブラックチェリー的で、野性的な風味があり、とても若々しく、シュッとしています。果実っぽさ、艶やかさ、甘みがあり、シルキーで、ボルドー右岸のサン・テミリオン的なスタイルを感じました。別ボトルでは、もっとガッツリ!というのもあったそうです。
2009年
54% Cabernet Sauvignon, 21% Carmenere, 16% Merlot, 6% Petit Verdot, 3% Cabernet Franc
あたたかく、素晴らしいヴィンテージ。ブラックベリー、ブルーベリー、プラムの風味があり、リッチでパワフルなフルボディスタイルのワインができた年。タンニンに厚みがありますが、スムーズで、上品な酸もあり今後長期熟成が見込まれます。
私が思うに、まだまだ若くてキレイで、これもシュッとしたスタイルのワインだと思いました。果肉の弾力感があり、ふっくらとして、なめらかで、飲みやすいですね。今から飲めますが、今後の変化を見守りたいと思いました。
2011年
58% Cabernet Sauvignon, 15% Carmenere,15% Merlot, 7% Petit Verdot, 5% Cabernet Franc
冷涼な年。カシスやブルーベリーのニュアンスがあり、タンニンが溶けこんでいます。あと10年から15年は熟成するでしょう。
口当たりが非常にやわらかく、超ソフト。軽めのヴィンテージなのかもしれません。少々雑味がザラつく感じがしますが、牛肉などの肉料理と合わせながら飲むと、おいしく楽しめるのではないでしょうか。
2012年
52% Cabernet Sauvignon, 23% Carmenere, 12% Merlot, 7% Malbec, 6% Petit Verdot
暖かく、降雨量も少ない年。アロマティックなフルーツやリコリスのフレーバーが感じられます。
2005年からビオディナミに取り組んでいますが、その成果がワインに出てきているようで、サンダルウッド的なニュアンスも表現されています。
若くしっかりとしたタンニンがイキイキとして、クールな雰囲気を表現しているように感じます。とてもキレイなワイン。洗練、ピュア。
2013年
58% Cabernet Sauvignon, 15% Carmenere,12% Malbec, 10% Merlot, 5% Petit Verdot
歴代の中で最も冷涼な、特別な年。古典的で、純粋さがあり、エレガント。非常によい出来となり、専門誌で99ポイントを獲得。
リリースされている中で最新のヴィンテージだけに、若くてキレイですが、今、開けるには全然もったいない!本領発揮には程遠いので、しばらくのガマンが必要でしょう。長期熟成させるなら、たしかにこの2013年は最適です。
以上、貴重な1990年代のヴィンテージも交えながらの垂直試飲をしましたが、セーニャでは、ヴィンテージごとに品種の組み合わせや比率も細かく変え、年ごとの特徴に応じたワインづくりを行なってきているのがわかります。
年による味わいの個性もあります。
私がセーニャを初めて飲んだのは、1997年ヴィンテージで、2000年頃だったと思います。
1996年ヴィンテージも1998年、1999年ヴィンテージも飲んだと思います。
その頃、セーニャを飲むと、いつも塩味(セイバリー)を感じました。
ですから、セーニャは「塩」の印象があったのですが、近年のヴィンテージを飲むと、その印象はほとんどありません。
どんどん洗練されてきています。
そうした進化も素晴らしいと思いますが、昔に飲んだセーニャも懐かしく思うのです。
エドゥアルドさん、貴重な機会をありがとうございました!