先日の試飲会で、
南仏のビオディナミ生産者「ドメーヌ・カズ」がコリウールとバニュルスの間に所有する
「レ・クロ・ド・ポリーユ」のワインを初めて飲みました。
Les Clos de Paulille Blanc 2015 /
Rouge 2015 Domaine Cazes
(France, AOC Colliure)
「レ・クロ・ド・ポリーユ」は2012年にカズが買収したドメーヌで、90haの土地のうちブドウが植えられているのは63ha。
南仏ルションのリヴザルトにある
「ドメーヌ・カズ」は1997年にオーガニック、ビオディナミに転換し、所有する220haの畑がビオディナミで栽培されていますが、レ・クロ・ド・ポリーユはまだビオディナミには至らず、オーガニックに近い栽培を行なっています。
今後は、よりオーガニックな方向になっていくようです。
さて、上のワインですが、
白は、グルナッシュ・ブラン80%、グルナッシュ・グリ20%のブレンド。
キリリとしたミネラル感があり、非常にフレッシュ。ほのかな塩味も感じます。まだまだ若い!冷えていたものを飲んだので、よりそう感じたのかもしれません。冷えたところから、温度を徐々に上げながら(放置しながら)飲むと、また印象が違ってくるかもしれません。
赤は、グルナッシュ60%、シラー25%、ムールヴェードル15%。
しっかりした凝縮感があり、とってもパワフル!そして、これも若い!
果実味も、タンニンも、酸もイキイキとして、フレッシュです。
ヴィンテージも2015年と若いので、開けてすぐ飲むと、硬さが気になります。
早めに抜栓して空気に触れさせ、ある程度大きさのあるブルゴーニュ型のグラスで、ゆっくり飲むことをオススメします。
※輸入元参考価格:白、赤とも 3920円(税抜)
リヴザルトは
天然甘口ワインVDN(Vin Doux Naturel)の産地です。
Rivesaltes Grenat 2012 /
Muscat de Rivesaltes 2013 Domaine Cazes
どちらも中身が空いているのでわかりにくいですが、
リヴザルト・グルナは、グルナッシュ・ノワール100%の稀少な赤の甘口で、
ミュスカ・ド・リヴザルトは、マスカット・オブ・アレキサンドリア50%、ミュスカ・ア・プティ・グラン50%の極甘口です。
どちらも素晴らしいデザートワインで、ビオディナミです。
ビオディナミのリヴザルトのワインは、世界唯一だとか?
※輸入元参考価格:各 2770円(税抜) 375ml
ドメーヌ・カズは、1895年に遡るワイナリーです。
1895年にブドウ栽培を始めたミシェル・カズの孫になる
ベルナール・カズさんが10年前の2007年5月に来日した際に、お目にかかる機会がありました。
1997年にオーガニックへに転換し、ちょうど10年目のことです。
この時、山梨県勝沼にあるメルシャンの城の平畑で、ビオディナミの散布液“プレパラシオン”を撒くデモンストレーションを取材しました。
プレパラシオン500番(牛の角に牛糞を詰め、土中に6カ月置いたもので、見た目は土と変わらず、匂いもなく、触っても無害)を使います。
容器に入れて雨水に溶かし、1時間手でかき混ぜて散布液を作り、それをベルナールさんがメルロ(2005年植樹)の畑に散布しました。
プレパラシオンをつくる作業を見たのも、実際に撒くのを見たのも、これが初でした。
ドメーヌ・カズでは、200haを超える広大な畑をオーガニック、ビオディナミで栽培し、ブドウ畑の周辺は、何もしない土地が囲んでいます。
ベルナールさんは、広い土地だからこそ、また、何もしない土地が囲んでいることこそ、オーガニック、ビオディナミがうまくいく秘訣だと言っていました。
我々は、小さい土地の方がいいんじゃないの?と思う傾向がありますが、広い方がいい、というベルナールさんの話に、なるほどね!と思ったものでした。
※輸入元:メルシャン株式会社