手紙のやりとりだけで真相が明かされる短編ミステリー3作品。
「十年後の卒業文集」
高校時代放送部員だった面々が同じ部出身の二人の結婚披露宴で久し振りに顔を合わせる。その後、高校時代に起こった事故を巡って手紙のやりとりが始まる。「う~む、、、高校で同じクラブだった人が他人に変装して来て気が付かないのは変だろう」と私は思う。かなり無理がある話だった。
「二十年後の宿題」
映画「北のカナリヤたち」の原案だそうですが、中学時代の恩師という立場を使って教え子である現役高校教師に「昔担任をしていた時の6人の子どもたちの近況を調べて教えて欲しい」と頼むのはあまりにも現実離れをしていると思った。
「十五年後の補習」
3作品の中で一番気に入った作品。中学校時代に起きた事件について、遠く離れた純一と万里子が手紙で記憶の空白を埋めて行く。読んでいて「二人別れないでくれ!」と願った。
「一年後の連絡網」
結末がモヤモヤだった「二十年後の宿題」と「十五年後の補習」のその後を埋めてくれた8頁。正直ホッとしました。この辺は湊かなえさんお見事です。