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昭和39年10月10日、「世界中の秋晴れを集めたような、今日の東京の青空です」と言われた奇跡的な日本晴れの下、東京五輪は開幕した。そんな中、身代金8千万円の受け渡しを巡って物語は終盤へ。
国立競技場に聖火が灯った直後、聖火台の下でダイナマイトを手にした島崎国男は刑事に右胸を撃たれオリンピックを人質にした事件は幕を閉じる。この後の島崎の様子(死んだのか?)は一切語られない。何事もなかったかのように人々の時間が過ぎていく。そして、何事もなかったかのように物語は終わる。
死んだ兄と同じ経験をするために五輪工事現場で肉体労働を黙々とこなす島崎。上京して来た同郷人を優しく案内する島崎。冷静な判断力で国家権力の追及をかわす島崎。読んで行くにつれて「島崎頑張れ!」と応援する気持ちが強くなって、読み終わった瞬間込み上げて来るものがあった。スリ師村田とのコンビも良かった。そして、大都会の繁栄と地方の貧困。国家権力とその日暮らしの人夫たち。当時の日本の光と影をうまく表している。
いや~傑作です!!!