評価
再読(前回2020年4月26日)。
越後長岡藩家老として維新史上最も壮烈な北越戦争に散った幕末の英傑・河井継之助の物語。下級藩士の家に生まれた継之助は、物事の原理を突き詰めるため30歳代中ごろに諸国漫遊の旅に出て京都、長崎、岡山を回ったのち藩の要職に就く。幕府の終わりの始まりの頃であった。
継之助が藩組織を嘆く箇所を記しておく(137頁)。
「おろか者の極楽浄土だ。藩のたてまえは(幕府でも)同職はつねに複数で、責任の所在というものがなく、いったん事がおこればけむりのごとく問題をうやむやにしてしまう。その点、まるで魔法のような組織なのである」
昔も今も何も変わっていないニッポンなのであった。