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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

母性ー湊かなえ

2019年05月19日 | 読書

評価5

母に褒められること、母に愛されることしか考えないで育った「私」と、母に気に入られるように、母に優しくしてもらえるようにしようと行動する「わたし」の物語。「私」の娘が「わたし」であり、「私」は「わたし」ではなく母のことしか考えていない女だった。

実にややこしい話なのだが、知らず知らずに引き込まれ、高校野球観戦の興奮はどこへやら一気に読了。しかし、「私」のマザコン振りが気持ち悪い、というか、おぞましい。ジワジワくる。いやはや母性について考えさせられ、う~んと唸ってしまった物語。所々、まだ消化しきれていない箇所があるので読み返す必要がありそう・・・こういう作品も有り、なんですね、湊かなえさん。奥の深い作家さんです。

三人の悪党・きんぴか1-浅田次郎

2019年05月17日 | 読書

評価3

きんぴかシリーズ第1弾(3回シリーズ)。
13年の刑期を終えたヤクザのピスケン(阪口健太)、単身クーデターを起こした自衛官の軍曹(大河原勲)、東大卒の元政治家秘書ヒデ(広橋秀彦)の3人が徒党を組んで彼らを欺いた巨悪に挑む!

有川浩の「三匹のおっさん」同様、悪に立ち向かうトリオではあるが、そこはそれ"浅田次郎"なので、ただたんに痛快で終わるわけがな~い、の、である。人情、父娘の情愛がほどよく味付けされたいつもの浅田ワールドなのであった!

虚ろな十字架ー東野圭吾

2019年05月15日 | 読書

評価4

中原道正・小夜子の一人娘が殺されて強盗犯は死刑になったが、犯人は死刑を淡々と受け入れ謝罪の声は聴かれなかった。道正と小夜子は事件に悩まされ離婚、今度は小夜子が刺殺される。その背景にある嬰児を殺害した男女の贖罪。死刑制度を問うサスペンス。

3分の2ぐらい読み進んだところでプロローグで示された男女の事件が明らかになって、ようやく登場人物の関係性が判明。ここまでが、「なんで?どうして?」と謎が謎を呼びかなりスリリング。「死刑は無力だ」重い言葉である。死刑制度について掘り下げて考えてみたいと思った。

神々の山嶺(下)-夢枕獏

2019年05月12日 | 読書

評価1

エベレスト南西壁冬期無酸素単独登攀に挑む伝説のクライマー・羽生丈二の姿を追うカメラマン・深町の語りで物語が進む。羽生の挑戦は?マロリーのカメラの行方は?

羽生の生き様を知りたかったのだが、どうやら主人公は深町だったようだ(泣)。延々と続く深町のどうでもよい自己陶酔的独白に閉口。元恋人加代子や取材で知り合った涼子との関係性もあっさり描いておきながら、何度も「加代子!涼子!」と叫ぶ姿に苦笑。登攀の臨場感も皆無。いったいこの作家は何を書きたかったのだろう!?久し振りに「俺の時間を返してくれ!」と叫びたくなった。