7月28日 おはよう日本
家庭用ドライブゲームは実際にあるコースをもとに本物そっくりに作られている。
さらに車も自動車メーカーから設計図を取り寄せ
性能や操作性まで忠実に再現している。
いまやプロのレーサーが体験するのと同じような感覚を味わうことができる。
そこで
ゲームの達人ならレーサーになる素質があるのではないか、と
逆転の発想で人材発掘プロジェクトが始まった。
主催したのは自動車メーカーとゲーム会社。
7月中旬 東京六本木に集まった20人の若者たち。
のべ6万人以上が参加したゲームの予選を勝ち抜いた精鋭たちである。
そのドライビングテクニックは・・・。
コースぎりぎりで繰り広げられるデッドヒート。
巧みなハンドルさばきやペダル操作で車を操る。
ゲーム大国を、
レース大国に
ゲームの達人の中からレーサーの卵を見つけようという選抜テスト。
20人の中から選ばれるのは6人。
参加者にとっては大きな夢への第1歩である。
(参加者)
「小さいときにレーサーになりたい夢があり
今回こういうチャンスをいただいたので。」
「ゲームでここまで勝ち上がってきたので
絶対にいいドライビングをしたい。」
テストではゲームに加え
様々な観点からレーサーとしての素質を見極める。
その1つは基礎体力を見るテスト。
そして車の運転への適応を見る走行テスト。
さらに人間性や熱意を図る面接テストもある。
今回のプロジェクトを手掛ける日産自動車。
プロのレーサーが練習を積み重ねて身に着ける能力は
ゲームによって磨かれる能力と共通する部分があると言う。
(ニッサン・モータースポーツ インターナショナル株式会社 鈴木豊さん)
「視覚から入る情報でドライビング技術を鍛えることは最近盛んにされていますので
レーサーとして必要な条件をゲームを通して見極めることができる。」
実は海外ではゲームの愛好者からレーサーになった人が10人以上いる。
その1人 スペイン人のルーカス・オルドネス選手。
ゲーム好きだった大学生のとき選抜テストを勝ち抜きプロデビューした。
いま世界各地のレースで活躍している。
(ルーカス・オルドネス選手)
「このプロジェクトに出会い人生が変わり
子どものころからの夢を実現できました。
ゲームによってサーキットのことをすぐに学べ
より速く走ることができるんです。」
2日間にわたる選抜テスト。
面接でレーサーへの熱い思いを訴える若者がいた。
「昔からレーサーになりたいという夢があったので
もしなれたら大学を辞めレース1本で戦っていきたい意識が強い。」
選抜テストを勝ち抜き本物のレーサーになりたい。
神奈川県の大学に通う高橋拓也さん(20)。
自宅の部屋には手作りの操縦席。
ここで練習を重ねゲームの大会では常に上位に入る腕前である。
小さいころからレーサーになることが夢だった高橋さん。
しかし体力に自信がなくあきらめていた。
「レーサーに不向きじゃないですか、体型的に。
レーサーへの夢はほぼあきらめていたので
そんなの無理だろうと思っていた。」
大学3年生の今年 最初で最後のチャンスと考え選抜テストに挑んだ。
指示通りに車を運転できるかを見る走行テスト。
慌てず冷静にこなす。
しかし苦手意識を持っていた体力テスト。
他の参加者に大きく差をつけられてしまう。
選抜テスト 最後はゲームである。
体力テストでの遅れを挽回したい高橋さん。
コースアウトを恐れない攻めの走りで勝負に出る。
(高橋拓也さん)
「リスクを負ってでも攻めて1位になろうと。」
なんとか好タイムで選抜テストを終えた。
そしていよいよ結果発表。
エントリーナンバー11番 高橋選手!
見事選抜の6人に入った。
(高橋拓也さん)
「自分に厳しく叱ってレーサーへ全力で挑みたい。」
ゲームの感覚を車に応用できるセンスと気持ちの強さ。
プロジェクトを手がけた日産自動車は
それこそがレーサーの大切な資質だと言う。
(ニッサン・モータースポーツ インターナショナル株式会社 田中利和さん)
「レーシングドライバーになる資質があるか
この選抜テストの中で発掘するということ。
発掘されたその原石ですよね。
その中から生き残った数名だけが本当のレーシングドライバーになれる。」
選ばれた6人は8月にイギリスで行われる選抜テストに参加して
レーサーへの狭き門に挑む。