7月30日 おはよう日本
音楽ビジネスが盛んなアメリカ。
若者を中心に
ネットでデータを受信しながら再生する音楽ストリーミングを楽しむ人が急増している。
「このボタンでシャッフル再生できます。
とても簡単です。」
「無料で利用しています。
何でも聴けるし
CDを買ったりダウンロードでお金を払うよりずっといい。」
世界最大手のスポティファイは
有料サービスと広告付きの無料サービスの2種類を提供。
利用者の4分の3は無料版を選んでいると言う。
一方でアメリカレコード協会によると
有料の音楽ストリーミングの売上高も日本円で約1,000億円で前年比25%増加。
CDやダウンロードの売り上げが減る一方で急成長している。
6月末には
音楽をダウンロードして楽しむスタイルを定着させたアップルも音楽ストリーミングサービスを開始。
わずか3週間で利用者は世界で数百万人に膨れ上がった。
ところがミュージシャンの側からは抗議の声も上がった。
アメリカの人気歌手のテイラー・スイフトさん。
6月 アップルが無料で配信する間は印税を支払わないとしたことは不公平だ、として
人気アルバムを提供しないと表明した。
アップルが方針を転換したため両者は和解したが
音楽配信会社とミュージシャンとの軋轢が表面化した。
音楽ストリーミングに脅威を感じるミュージシャンは増えている。
ミュージシャンの権利を守る団体の代表を務めるメルビン・ギブスさん。
アメリカではストリーミング再生1回につき
ミュージシャンに支払われる対価は0,7セント程度(1円足らず)だと言う。
CDやダウンロードと比べてはるかに低く
ヒットを飛ばせるミュージシャン以外は生き残れなくなると訴えている。
(メルビン・ギブスさん)
「ジャズやブルースでは重要なミュージシャンであってもその価格では食べていけなくなります。
ファンがお金を払ってサポートしているのはミュージシャンではなく配信会社になってしまう。」
一方 音楽配信会社はミュージシャンとの共存は可能だと考えている。
シアトルにある企業は3,500万もの曲をストリーミングで配信している。
世界の33カ国で配信し急成長しているこの企業は無料サービスは無く
毎月約1200円での有料でのみサービスを提供している。
加えてレコード会社から信頼を得る取り組みもしていると言う。
それは知名度が低いミュージシャンの音楽でも再生されるよう促す仕掛けである。
利用者が聴いた音楽をすべて会社のデータベースに記録。
分析してその人の好みを把握したうえで
同じ傾向のミュージシャンを見つけ出しお勧めとして紹介する機能である。
(音楽配信会社 ラプソディー 担当者)
「私たちはあなたがきっと気に入る新しいミュージシャンとの出会いを手助けしている。
毎日膨大な規模の新たな音楽が加わっています。」
この会社は売り上げの7割をレコード会社など製作者に支払っている。
再生1回あたりの対価は少なくても
利用者が増えて売り上げが伸びればミュージシャンにもメリットがあると考えている。
(音楽配信会社 ラプソディー イーサン・ルーディンさん)
「音楽を所有するのではなくネットで聴くという大転換が今起きている。
ミュージシャンやレコード会社と親密な関係を築き
持続可能で利益上がる健全なビジネスにしたい。」
CDからダウンロード、そしてストリーミングへと変わる音楽の聴き方。
アメリカの音楽業界は変革の時を迎えている。