8月1日 経済フロントライン
ベトナム ホーチミンで人気のスイーツの店。
最近甘いものを好む人が増え砂糖の消費量は10年間で1,5倍に増えている。
こうしたなか新たな問題が生じている。
ベトナムでは虫歯になる人が急増している。
歯磨きの習慣がまだ十分に浸透していないためである。
(歯科医師)
「歯のケアについての知識が食品の多様化に追いつけず虫歯率が高くなっている。」
この問題に注目しビジネスにつなげようとしている日本企業ある。
ホーチミン郊外にある日本の歯ブラシメーカーの生産工場。
13年前 安い人件費を求めてベトナムに進出。
欧米の大手メーカー向けに歯ブラシを生産して来た。
しかしここ数年 他社との競争が激しくなり受注を奪われるケースが相次いでいた。
(歯ブラシメーカー オカムラ 岡村謙太郎専務)
「グローバル化で中国や台湾との価格勝負になってしまった。」
そこで会社の方針を大きく転換。
これから市場としての可能性が期待できるベトナムで
自社ブランドの製品を販売することにしたのである。
この会社ではまず歯磨きの講習会を開くことから始めた。
参加した子どもたちに自社ブランドの歯ブラシを配り歯磨きの大切さを教える。
会社がこれまでに提供した歯ブラシはすでに3万本以上。
子どものころから使うことで将来のユーザーになってもらうことが狙いである。
自社ブランドを作るにあたってベトナム人の歯磨きの実情も調べた。
ホーチミンの住むダン・ヴァン・ラップさんは
毎日朝と夜の2階の歯磨きを欠かさないと言う。
(ラップさん)
「歯磨きをするのは自分の歯を守りたいからですよ。」
ところが歯磨きの替えもなく奥歯に虫歯が見つかった。
ラップさんが使っていたのはアメリカのブランドの歯ブラシ。
歯医者からは「歯ブラシが大きすぎて奥歯に磨き残しができている」と指摘された。
こうした実情をもとに作った歯ブラシは
欧米のブランドに比べてヘッドが約2ミリ小さくなっている。
このわずかな違いが歯磨きの精度を高めると言う。
現地の事情をくみ取ることでこの会社はベトナムでの売り上げを4年で2倍に増やした。
今後はアジアの他の新興国でも販売していきたいをしている。
(歯ブラシメーカー オカムラ 岡村謙太郎専務)
「ベトナムの国民に親しまれる会社・製品づくりをこころがけて
自社ブランドの製品を確立していくことが今後の目標。」