日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

市川染五郎さん “新しい歌舞伎”への挑戦

2015-08-30 07:17:30 | 報道/ニュース

8月26日 おはよう日本


歌舞伎界の若手のエース 市川染五郎さん。
7月 公演に向けた染五郎さんの敬子が始まった。
今回 染五郎さんが演じるのは「鯉つかみ」という演目である。
主人公が鯉の化け物を退治する物語。
昔から人気の迫力ある立ち回りで初めて歌舞伎を見る人たちを驚かせようと考えた。
(市川染五郎さん)
「この日本で堂々と存在している伝統芸能ですので
 これだけの歴史がある歌舞伎を信じる
 代々続いて来た自分を信じる。
 堂々とお見せすることができるんじゃないか。」
染五郎さんが今回初めて取り入れたのがコンピューターグラフィックスを駆使した映像技術。
舞台上に映し出したCGと役者の演技を一体化しようというのである。
一番の課題はいかにCGと役者の動きを合わせられるか。
染五郎さんの映像をもとに調整する。
迫力ある映像と伝統の技の競演。
言葉の壁を越え視覚に訴える演出である。
(市川染五郎さん)
「持っているものを全部出し切れるようにしたい。
 歌舞伎ってラスベガスより歴史があるものなのっていうふうに
 それってさらにすごくないっていうことになるのが目標。」
舞台はハリウッド映画の撮影にも使われたこともあるラスベガス中心部の高級ホテル。
8月10日 ラスベガスに乗り込んだ染五郎さん。
さっそく舞台に向かう。
演じるのは広さ3万平方メートルもある人工の湖の上。
主人公が戦う鯉の化け物が吹き上がる噴水にCGで映し出される。
CGとどう自分を一体化させるか。
頭の中でイメージを膨らませる。
水面には幅約2,5メートルの通路が設けられている。
ここも舞台の一部である。
水に入って確認する染五郎さん。
ここを走っていく場面も見どころのひとつである。
その晩 演出についての話し合いで
CGを際立たせるため照明を減らしてほしいと染五郎さんは主張した。
(市川染五郎さん)
「走る通路の縁のLEDは照明?
 あれもなしで。
 走るところがばれてしまうので水の中を走っているふうにしたい。」
初めて歌舞伎を見る観客をあっと言わせる。
その思いが染五郎さんを突き動かしていた。
実際の衣装を着て本番同様の稽古が始まった。
物語は染五郎さん演じる侍と鯉の化けたお姫様の出会いのシーンから始まる。
ハイライトは正体を現した鯉との戦いの場面。
舞台全体を使った大立ち回りが繰り広げられる。
照明を消した通路にさしかかり水に落ちても染五郎さんは稽古を続ける。
(市川染五郎さん)
「絶対大丈夫なのと大丈夫じゃないのとのせめぎ合い。
 フィクションで人の心を揺さぶるのが役者の役割。
 よっぽどのことをしないとそうはいかない。」
8月14日 いよいよ公演初日を迎えた。
会場に集まった多くの人たち。
歌舞伎を見るのは初めてである。
船でさっそうと登場する染五郎さん。
しかし噴水に映し出されるはずのCGが出ない。
日中の気温が40度以上にもなり機械がオーバーヒートしてしまったのである。
その後 機械は復旧したものの満足のいく出来ではなかった。
翌日 本番直前CGを見ながら練習を続ける染五郎さんの姿があった。
CGの担当者たちも機械のチェックに余念がない。
そして臨んだ2回目の公演。
はたしてCGと一体化した演技は上手くいくのか。
噴水に巨大な鯉のCGが現れた。
観客の心をつかむ。
いよいよお姫様がその正体を現し染五郎さんと格闘する最大の見せ場である。
CGと染五郎さんの動きが一体となって展開する。
そして染五郎さんがこだわった場面。
暗闇の中水の上を走る。
公演は無事成功した。
(観客)
{すごく面白かった!」
「こんなの見たことがない!」
「伝統的なお芝居と最新の映像技術がミックスされていてよかった。」
CGの担当者たちもほっとした表情を浮かべた。
公演を終えた染五郎さんの目には充実感があふれていた。
(市川染五郎さん)
「幸せですね。
 映像とコラボして新しい『鯉つかみ』を作る。
 これがラスベガスのエンターテインメントのジャンルのひとつにという思いがあるので
 なんとか次につながることを祈ってます。」  




コメント