8月24日 おはよう日本
宙返りしたり
人を持ち上げたり
能力の高さに驚かされるイルカ。
「こんなにできるなんてやっぱり頭いいんですね。
人間みたい。」
愛知県美浜町にある水族館。
イルカが数の多い・少ないを理解しているか
確かめる実験が行われている。
トレーナーの櫻井夏子さんはイルカに様々な芸を教えるが
難易度によって与える魚の数を変えている。
こうした中でふと疑問がわいた。
(櫻井夏子さん)
「イルカたちが生活している中で
“数”に対して認識・概念があるのか
単純に疑問に思っていた。」
そんな櫻井さんの疑問に一緒に取り組もうと手をさしのべた人がいる。
京都大学霊長類県空所の友永雅己教授である。
(京都大学霊長類県空所 友永雅己教授)
「“チンパンジーは数を数えることが出来るのか”
という研究は以前からあった。」
哺乳類が数をどう理解しているのか研究するなか
イルカのある能力に注目した。
(京都大学霊長類研究所 友永雅己教授)
「エコーロケーションを使って数を比べるということができないか。」
イルカが持つ特殊な能力エコーロケーション。
おでこの部分から人には聞こえない音 超音波が出る。
跳ね返ってきた超音波をキャッチすることで
エサの魚がどこにいるか
障害物が無いかなど把握することが出来る。
(京都大学霊長類研究所 友永雅己教授)
「哺乳類でそういうのが出来るのはイルカとコウモリぐらいしかいない。
今回の実験はチャレンジと言うか
挑戦的と言うか
すごく面白い。」
イルカは超音波で数の多い・少ないが分かるのか。
実験で使うのは金属のボルトをつけたパネル。
イルカには事前に訓練を行う。
多い方を選んだらエサを与える。
逆に少ない方を選んだらエサを与えない。
こうして数が多い方を選ぶようにしつけていく。
実験に参加するのは2頭のバンドウイルカ。
この日は12歳の♀のティーラである。
パネルに付けるボルトは1~8個。
さらに位置を変えたものも用意した。
(櫻井夏子さん)
「もし1枚だけ使っているとこの形で覚えてしまうので。」
さらにティーラの側には黒い板を取り付け
目では見えないようにした。
いわば“目隠し”の状態にする。
いよいよ実験スタート。
この日は「1と8」「1と4」の区別かつくか確かめる。
まず一番数の差が大きい1と8。
ティーラの側からは見えないが8の前でうなずいた。
今度は先ほどより数の差が小さい1と4。
少し迷ったようだが4の前でうなずいた。
実験を始めて4か月
これまでのところ7割以上の確立で数が大きい方を選んだ。
今後は「7と6」「6と5」など
差が小さい組み合わせで
どういう結果が出るか楽しみだという。
(櫻井夏子さん)
「数字の差が大きいと認識できるということは
なんとなく言えてくるんじゃないかと思う。
もしイルカが数の概念を持っているのであれば
何かしら生活するなかで数というものを数えながら生活していると思う。
そういったことを今後検証できたらなと思います。」
櫻井さんたちはこの数を認識する能力について
イルカが見通しの悪い水中で魚を追うとき
より数の大きな群れを選ぶために使われているのではないかと考えているということである。