9月9日 キャッチ!
クマノミ、ナンヨウハギ、アマノガワテンジクダイ
フランスの水族館の人気者である。
子どもも大人も夢中になっている。
フランスには観賞魚が3千万匹いるとされていて
ある調査によれば8%の家庭に水槽があるということである。
魚はインターネットでも買えるが
愛好家の多くは専門店で購入する。
そこでは珍しい魚が高値で売られている。
(客)
「全部ほしいよ。」
「きれいだしいいムードだわ。」
魚の主な捕獲場所はフランスから遠く離れたインドネシアとフィリピンの海である。
ここでは漁師が禁止された手法で魚を捕獲している。
ダイバーが持つボトルには
水とシアン化合物を混ぜた毒薬が入っていて魚に振りかける。
魚は酔ったようになり
文字通りダイバーの手の中に落ちてくる。
この手法だと網を使うより何倍も魚が獲れるが
環境に甚大な悪影響を及ぼすと専門家は言う。
(ホルト・ドレ熱帯水族館 ドミニク・デュシュさん)
「1匹捕まえるのに1㎡位のサンゴが死滅することになります。
サンゴ礁は二酸化炭素を吸収し
生物多様性の保持に役立っています。
生態系を守ることはすべての生き物にとって重要なことです。」
この40年で約1,000トンのシアン化合物がサンゴ礁にまき散らされたと言われている。
しかしこの手法を使わずとも魚は捕獲できる。
パリに住むファブリス・オルタンさんは毎月2,000匹の観賞魚を輸入している。
主にインドネシアからだが別の国からも輸入する。
オルタンさんは魚の歩格方法を確認するため
毎年9か月ほどインドネシアで過ごす。
ダイバーと一緒に潜って品質をチェック。
ダイバーは手に持った網に魚を追い込んでいる。
認められている唯一の捕獲手法で
シアン化合物は一切使っていない。
(観賞魚 輸入業者 ファブリス・オルタンさん)
「ネットワークを作り捕獲業者から信頼できる方法で仕入れてます。
ベストな状態で捕獲された魚を入手しています。」
しかしこのようなルールをすべての輸入業者が行っているとはいえない。
サンゴを保護するためには養殖魚だけを買うのが好ましい、と
環境保護団体は言う。
クマノミやテンジクダイはヨーロッパで養殖されているが
愛好家が好む1,500種のうち10種にすぎない。
アメリカの環境保護団体などによる調査では
全米各地のペットショップで購入した89匹の熱帯魚のうち
半数以上からシアン化合物の陽性反応が出たということである。
(関西学院大学 文学部 田和正孝教授)
「1990年代後半と2000年代初頭に
インドネシアのスラウェシ島沖合の島々で漁業生活・漁村を見る機会を持った。
そのときも“魚毒”の問題が支配的だった。
大きな原因は小規模な生産者や貧困漁業者層が多数存在すること。
サンゴ礁島で水も得にくく農業は出来ないような小さな島々で
仕事としてはやはり漁業しかない。
漁船や魚網を持てない漁業者たちが大量に価格の良いものをとるため
シアン化合物などを使用し魚を捕り
たいへん価格が良い。
サンゴ礁や小動物などを痛めつけ殺してしまうようなことにつながる。
失うものがとても多い。
生物学者や海洋生態学者などが報告をして
我々も知っていかなければならない。」
日本観賞魚振興事業協同組合によると
日本でも1990年代には
毒物で捕獲されたとみられる熱帯魚が多く輸入されていたが
明らかに弱っていて数日で死んでしまう魚も多かったため
こうした魚を扱う現地の業者とは取引しなくなった。
現在ではほとんどないということである。