8月27日 おはよう日本
アフリカ ケニア。
市場には新鮮なマンゴー、ココナッツ、パイナップル、スイカなど
さまざまなフルーツが並ぶ。
しかし流通システムが整備されていないため
収穫しても傷んで捨てられてしまうものも多いほか
現地では安い値段しかつかず
農家は安定した収入を得ることができていなかった。
こうした貧しい農家を支援したいと
単身ケニアで起業した日本人女性がいる。
山本歩さん(36)。
一昨年 山本さんは首都ナイロビ近郊に
マンゴーやパイナップルなどをドライフルーツに加工する会社を設立した。
せっかく実った豊富なフルーツ。
腐らせるのではなくビジネスとして活用できると考えた。
山本さんはフルーツを農家から通常の2割ほど高い価格で買い取る。
今では農家にとって貴重な取引先である。
(農家)
「アユミは神様のような存在です。
農家みんなの生活を良くしてくれました。」
大学で農業を学び
“アフリカで農業支援をしたい”と
5年前 青年海外協力隊の一員としてケニアにやって来た山本さん。
豊かなフルーツがありながらも貧困にあえぐ人々の生活を変えたいと
企業を決意したという。
(山本歩さん)
「良い売り先はないのかと農家の人から何回も聞かれたり
加工先があって
そこに安定的に脳科学だものを売ることができれば
収入向上につながるんじゃないかと。」
“フルーツに手を加えるだけでビジネスとして成立する”
山本さんはドライフルーツの生産にかけたのである。
貯金を取り崩し借金までして
約500万円をかけて工場の運営を始めたが
当初は苦悩の連続だった。
(山本歩さん)
「当初は毎日同じことばかり言っていて
全然進歩がなくて
このままだったら続けていけないなというくらい
あまりよくなかった。」
衛生管理という概念に乏しかった従業員たちに
消毒や掃除を一から教えた。
均等に切るというだけの作業にも手間取った。
「加工作業で大事なことを言ってみましょう。」
「効率・質・安全性
それに生産性を上げることです。」
基本を何度も繰り返し教え込む努力を重ねた。
1年半が経ってようやく生産が安定しはじめ
売り上げが50万円にのぼる月もある。
いま山本さんの取り組みは多くの農家に広がろうとしている。
この日 山本さんが訪れたのはケニア南西部の集落。
(山本歩さん)
「農家の人たちからドライパイナップルを作りたいと要望があって
連絡が来たので。」
山本さんの活動を聞きつけた農家が
自分たちも加わりたいと声をかけてきたのである。
農家の人たちだけで加工したドライフルーツを
山本さんが買取る仕組みをつくることになった。
パイナップル農家のマーガレットさん。
“生活を変えたい”と
村から1時間かけて歩いて山本さんを訪ねて来た。
ドライフルーツ作りで収入を増やして
4人の子どもたちに十分な食事を食べさせたいのだという。
(農家 マーガレットさん)
「私も参加して
たくさん収入を得て
子どもたちを学校にも通わせてあげたいです。」
(山本歩さん)
「まだやりたいことの1%くらいしかできていないと思うので
これから少しずつ農家からの買い取り量も増やして
生産規模も増やして
少しでもケニアの社会に貢献できるように続けていきたいと思います。」
アフリカの文化に寄り添い
根気強く
地元に合った産業を育てようという山本さんの取り組み。
大きな実を結ぼうとしている。
山本さんのドライフルーツは
今のところケニア国内だけでの販売だが
今後 日本やヨーロッパにも輸出したいということである。
地元の人たちの雇用の機会も増やしていきたいと話している。