11月12日 経済フロントライン
国境EC(E COMMERCE)とは国境を超えたネット通販である。
海外の消費者が日本の企業から商品を取り寄せ購入できる。
これまでにもあったが
日本に来て大量に買い物をしていく爆買いが陰りを見せるなか
いま中国向けの越境ECサイトやアプリが続々と誕生している。
上海に住む朱潔さん(35)。
4年前に初めて日本を旅行した。
それ以来 日本製の化粧品や日用品を愛用している。
(朱潔さん)
「越境ECで買いました。
日本酒を使った化粧水です。
歯磨き粉です。
これはたくさん買っちゃいました。」
これまで何度も日本に行って大量の商品を購入していたが
今では買いものはもっぱら越境Cである。
(朱潔さん)
「日本の商品はもう日本に行ってまで買わないですね。」
中国で人気を集める越境EC。
市場規模は3年後に2倍以上になると予想されている。
いまこの市場で急速に売り上げを伸ばしている企業がある。
化粧品メーカーのウテナである。
主力商品は美容液をたっぷり含んだシートマスク。
これまではドラッグストアなどで販売してきた。
日本を訪れる中国人旅行者の目にとまり
爆買い商品になった。
しかし今年に入ってその勢いは失速。
9月から越境ECでの販売に乗り出した。
「今後 中国での市場性は非常にあると考えられる。
越境ECを中心に展開していくのが一番やるべきことではないか。」
売り上げは好調である。
発売2か月余でシートマスクの出荷数は計画の2倍以上の33万個を突破した。
(ウテナ マーケティング統括部長 松田一仁さん)
「お客様を待つだけではなく自分たちで越境ECで商品を届ける。
大きな市場に攻めていく。
そういう姿勢がないと企業は成長できない。
攻める絶好のチャンスだと考えている。」
“越境ECで中国市場に攻め込め”
10月に行われた参入を検討している企業向けのセミナーには600人が参加。
会場は満員となった。
(参加者)
「国を超えるとなるとハードルは高いが
市場として無視できない規模だと感じた。」
「日本だけの消費だと限界もある。
チャンスを見つけていかないといけない。」
しかし越境ECに参入するのは簡単ではない。
まずマーケティングで本当に中国で商品が売れるのか見極める必要がある。
さらに日本から中国への物流システムを構築し
決済の仕組みも整えなくてはならない。
そこで参入をサポートする企業も登場している。
2年前に設立されたインアゴーラである。
スマホで商品を買える越境ECアプリを作り運営している。
この会社は商品の配送や決済などの手続きを出店企業に代わって行う。
さらに中国の常駐しているスタッフがマーケティングを行い
どんな商品が売れるのかアドバイスしてくれる。
「中国の女性にはピンクが人気です。
若い人は薄いピンク
年配の人は深いピンクが人気です。」
いま中小から大手まで越境ECに参入したいという企業からの問い合わせが相次いでいる。
(インアゴーラ CEO 翁さん)
「日本の商品を中国の消費者に販売するチャンネルとしてナンバー1になりたい。」