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海外市場開拓の味方 ディストリビューター 

2016-12-30 07:15:00 | 報道/ニュース

12月4日 おはよう日本

 

国内市場の縮小で苦戦が続く各地の伝統産業。
美濃和紙や飛騨の家具がある岐阜県も他の産地と同じように
海外市場の開拓に力を入れている。
しかしその取り組みは他の自治体とは少し異なっている。
岐阜県が目をつけたのは「ディストリビューター」と呼ばれる流通のプロだった。

スイス チューリヒ。
ここに岐阜県の商品を売り込む男性がいる。
「今年から扱い始めた岐阜のものを紹介したい。」
雑貨の卸業者 トーマス・メルローさん。
彼がディストリビューターである。
この日はいま手掛けている美濃和紙の照明の売り込みである。
メルローさんは岐阜県とタイアップし
2年前から岐阜の産品をヨーロッパに卸している。
岐阜県には伝統の技術を受け継ぐ
和紙や焼き物 かごなどが多くある。
しかし生活様式の変化などから需要は減少。
技術の継承も危ぶまれている。
そこで目をつけたのが「ディストリビューター」を呼ばれる海外の卸業者。
ディストリビューターは単に商品を動かすだけでなく
さまざまな製品に付加価値を付けたうえで
それぞれが持つ独自の販路で店に売り込みをかけ売り上げアップにつなげる。
メルローさんの強みの1つは
消費者のニーズをつかみ商品開発に生かす提案力である。
岐阜市の和紙メーカーの窓飾り。
雪の結晶を窓に飾ることで冬を美しく演出する。
素材の美しさが気に入ったメルローさん。
ヨーロッパの人の季節感に合わせるともっと売れると
メーカーに改善を持ちかけた。
「春になったら冬は忘れたい。」
メルローさんが提案したデザインのモチーフは
羽や葉っぱの形の美濃和紙である。
冬だけでなく四季を通じて売れる商品を目指した。
さらに商品名からも「Winter」という単語を外し
「minoonglass」に変更。
季節に関係なく店頭に出せて
美濃の産地名も入れることで
他の製品と差別化する。
この日は試作品をショップに持ち込みバイヤーの反応を見る。
「これを見てほしい。
 羽の形を作ってみたんだ。」
「本物の羽みたいだわ。
 すごく気に入ったわ。
 冬だけじゃなくて秋にもいいわね。」
「羽なら1年中使える。」
さらにディストリビューターは実務面でも大きな役割を担っている。
この日メルローさんは
チューリヒで売り込みをかけている美濃和紙の照明について
岐阜のメーカーにアドバイス。
「その電球だと熱くなるから燃えやすい。
 LED電球がベターだ。」
ヨーロッパの安全基準をクリアするため
紙製のカバーが熱で燃えないよう電球の種類を限定すべきだと伝えた。
さらに「CE」と呼ばれるヨーロッパの安全認証を取る手続きも行う。
これがないと美濃和紙の照明は売れない。
ドイツの審査担当者と電話で交渉。
膨大な量の申請書も必要である。
岐阜県のメーカーだけではできない複雑な実務である。
「よし 終わった。
 すべて順調だ。」
海外に販路を広げる強い味方 ディストリビューター。
岐阜県はメルローさんの他にも
アジアやアメリカのディストリビューターと関係を築こうとしている。
(岐阜県海外戦略推進室 加藤英彦係長)
「ディストリビューターに正しいアプローチをすれば成功する確率は高くなる。」

岐阜県は
美濃和紙のほか
焼き物や刃物についても
ディストリビューターと連携して売り出しを図っていきたいとしている。




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