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パリ同時テロ1年 ②イスラム系移民の苦悩

2016-12-07 07:15:00 | 報道/ニュース

11月15日 国際報道2016


フランスで暮らすイスラム教徒の移民は500万人にのぼると言われ
フランス社会の一部を形成してきた。
ところが同時テロを受けて国内に非常事態宣言が敷かれると
「違法な活動を行っていた」などとして
20か所以上のイスラム教の礼拝所は強制的に閉鎖に追い込まれた。
イスラム教徒の間では「いわれのない嫌疑をかけられ不当だ」と不満が募っている。
(イスラム教徒)
「今や起きていることすべてがイスラムのせいになる。
 どこでも悪者扱いされる。」
「すごく不満です。
 もう周囲と手を携えて何かしようという気になれません。」
この1年
特に差別や偏見の標的となってきたのがイスラム教徒の女性がかぶるスカーフである。
最近では大学や職場でもスカーフの着用が問題視されるようになり
路上ではぎとられる事件まで起きている。
10月 パリ郊外で開かれた小さな写真展はイスラム女性への差別をなくそうと開かれた。
スカーフをかぶった女性たちが自身の主張を表現。
作品に登場するハシバ・サトーリさんは心の内を思い切って現した。
(サトーリさん)
「閉ざされたシャッターは国家を示し
 “イスラム嫌い”人種差別を表現しています。
 私は閉ざされたシャッターを開きたいのです。
 大切なのは閉じこもらずに行動すること。
 自分たちのことをもっと話すのです。」
週末になると青空市場に足を運ぶサトーリさん。
支援団体とともにイスラム教徒の女性への理解を呼び掛けている。
しかし活動の最中に非難を浴びることも少なくない。
(男性)
「宗教はいま過激な方向へ向かっている。」
(サトーリさん)
「過激派と一緒にしないで。
 私は自分の意志でスカーフをかぶっているのよ。」
(男性)
「スカーフを脱げないのは夫が許さないからだという人もたくさんいる。」
(サトーリさん)
「そういうケースもあるけれどすべて一緒にしないで。」
(男性)
「哲学者も言っている。
 自分で考えろ 服従するなとね。」
(サトーリさん)
「ほらね これが“イスラム嫌い”です。
 自由と言いながら私に自由を与えない。」
フランス社会に広がるイスラム教徒への差別や偏見。
これに拍車をかけたのが今年7月に南部ニースで起きたテロ事件である。
チュニジア人の男が大型トラックで花火見物客に突っ込み
86人が犠牲になった。
フランス国民にとって大切な「革命記念日」に
子どもを含む大勢の命が奪われたことで
イスラム教徒への風当たりがますます強くなっているのです。
(住民)
「イスラムの人たちを何かにつけて疑ってしまう。
 いけないことだけど過激派と重ねてしまいます。」
(イスラム教徒の住民)
「以前と全く違い
 皆から疑いの目で見られます。
 娘のことが心配で買い物にも行けません。」
当時 現場に居合わせたアメンダリ・ヤヤウィさん(32)。
チュニジア人の父とフランス人の母を持ち移民2世としてこの町で育った。
ヤヤウィさんはトラックが目の前に迫るなか海岸に飛び降りて危うく難を逃れたが
その時の光景はいまだに脳裏から離れないと言う。
「逃げ惑う人の中に幼い男の子もいたんだ。」
実はこの時の犠牲者の約3割はイスラム教徒で
ヤヤウィさんが目撃した男の子も同じ町に住むイスラム教徒の移民だった。
男の子はテロの犠牲になった。
ヤヤウィさんの心をさらに傷つける出来事があった。
追悼の場で父の祖国チュニジアの国旗をあしらったTシャツを着ていたヤヤウィさんに
若者が突然心ない言葉をあびせたのである。
(ヤヤウィさん)
「彼は僕を見て『そのTシャツに描かれているのはISの旗か?』と聞いてきた。
 自分がテロリスト扱いされたことに衝撃を受けた。
 二重に傷つけられた。」
自分もフランス人なのになぜこのような差別を受けなければならないのか。
ヤヤウィさんは不条理を感じている。
(ヤヤウィさん)
「人々は僕を見てフランス人だと思わない。
 アラブ人の顔で髭があるだけでテロリスト扱いだ。
 でも僕はフランス人だ。
 フランスで生まれ育ち学校に通い働き
 フランスで生きている。
 僕はテロリストじゃない。
 同じ人間です。」
いつまたテロが起きるのか。
社会全体が漠然とした不安に包まれるなか
国民の分断は一層深まっている。
’イスラム教指導者)
「イスラム差別は頂点に達しています。
 まるで社会とイスラム教徒の衝突を望んでいるかのよう。
 10年後のテロの予備軍を生み出す恐れもあるでしょう。」






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